地理情報 − 応用スキーマのための規則(要約)

ISO/CD 15046-9 (1998年12月10)


序文

 国際規格のこのパートの目的は,地物を定義するための原理,データ構造,及び応用システムデータの確立と変換のための標準規則を規定することである。
 

適用範囲

 応用スキーマを定義するための規則の定義。これは地物の定義のための原理を含む。
 

表現,表記法,及び構成

 この文書の意図は,応用スキーマを作成するための必要な情報を含むことである。この文書は,単に規則を述べるだけでなく,文と例でサポートされ,ISO15046規格の他のパートから応用スキーマへ情報を統合するためのガイドとしてある程度使うことができる。
概念スキーマは,規定扱いのパートにおいて,UMLを用いて示される。附属書にEXPRESSを用いたいくつかの例が示される。UMLの図はUML表記法ガイドに従って示される。
 

文脈

1 応用スキーマの目的

 応用スキーマ(application schema)は同様のデータ要求をもつ応用システム(application)の為の概念スキーマである。
 応用スキーマは,応用システムによって使用されるデータの内容と構造,及び応用システムによるデータの操作と処理の方法を定義する。
 応用スキーマの目的は,特定の応用システム領域のデータ構造の為の規則を文書化することにより,データの共通で正しい理解を達成すること,及びコンピュータ可読のデータ記述形式を提供することである。
 

2 応用スキーマのための規則

 この国際規格は応用スキーマを標準化しない。その代わりに,異なる利用者,システム,場所の間での地理データの取得,処理,解析,アクセス,提示,転送を促進するために,一貫した方法(地物の一貫した定義を含む)で内部応用スキーマを定義するための規則を定義する。データ転送又はデータ交換の場合,国際規格のこのパートの規則はまた,地理データの供給者及び利用者が,外部転送応用スキーマを組み立てるため,また,彼らの内部応用スキーマを,この外部スキーマに変換する/外部スキーマから解釈するために使うことが出来る。
 

3 データ交換をサポートする規則

 規則は,データ転送モデル及び相互運用性モデルの2つのデータ交換モデルをサポートする。
 

4 規則の要約

 要約すると,国際規格の本パートは,内部又は転送応用スキーマを組み立てること,内部スキーマを転送応用スキーマに変換すること,及び転送応用スキーマを内部応用スキーマに解釈することのための規則を定義する。
応用スキーマは,ISO 15046の空間スキーマ,時間スキーマ,地物カタログ化法,座標による空間参照,地理識別子による空間参照,品質原理,品質評価手順,メタデータ,描画のパートによって規定される規則に適合しなければならない。
 

地物を定義する原理

1 地物

 地理データの分野において,情報の基本的構成単位は地物と呼ばれる。地物は実世界の現象を抽象化したものである。
 

2 一般地物モデル(The General feature model)

 概念レベルでの地物の定義は,図1の一般地物モデルに記述される概念モデルに従っていなければならない。

2.1 地物(Feature)

 地物は,実世界からの地理的オブジェクト及び他の関係するオブジェクトのデジタルの表現である。地物型は共通の特性を持つ地物のクラスであり,地物の定義と分類を表現する。

2.2  地物属性(Feature attribute)

 地物属性型は,地物型のすべての特性の定義と分類を表現する。

2.3 地物間関係(Feature relationship)

 地物間関係型は,地物型間の論理関係の定義と分類を表現する。

2.4 地物機能(Feature function)

 地物機能型は,地物型の振舞いの定義を表現し,また,計算により地物の特性を返す機能又はメソッドのクラスを表現する。
 

3 地物属性パッケージ

 地物属性は,空間属性,時間属性,品質属性,地理識別子属性,及び主題属性の5つのグループに分類される。
 

4 地物間関係パッケージ

 地物間関係は,特化関係,集約関係,空間関係,及び論理関係の4つのグループに分類される。
 

応用スキーマのための規則

1 応用システムのモデル化過程

 応用スキーマを作成するステップを簡単に記述すると,次の通りである:
a)応用システムの意図された領域からの要件を調査すること
b)一般地物モデルで定義された用語で応用システムをモデル化すること。この仕事は,地物型,地物間関係型,地物属性型,地物機能型,及び制約を識別することからなる。
c)本規格で定義される規則に従い,形式モデリング言語(例えばUML)を用いて応用スキーマを記述すること
d)形式的応用スキーマを,例えば空間スキーマ,品質スキーマのような他の標準化されたスキーマと統合し,完全な応用スキーマにすること
 

2 応用スキーマ

2.1 応用スキーマの識別

 各応用スキーマの識別は,名前と版を含まなければならない。
 UMLにおいて,ステレオタイプ <<Application Schema>> は,このUMLパッケージを他の規格のスキーマから区別するために使われなければならない。

2.2 応用スキーマと規格のスキーマの統合

 応用システムのデータ構造は応用スキーマにおいてモデル化されなければならない。
 UMLのパッケージの仕組みは,応用スキーマの,データ構造の完全な定義を形成するために必要となる他の規格のスキーマとの統合を記述するために使われなければならない。
 

3 UMLを用いた地物の実装

3.1 主要規則

 地物型は,UMLにおけるクラスとして実装されなければならない。ステレオタイプ <<Feature>> が使われなければならない。
 地物属性型は,普通はUMLにおけるクラスの属性として実装されなければならないが,地物属性がクラスによって表現されなければならない場合は例外である。
 地物間関係型は,普通はUMLにおける関連として実装されなければならないが,例外はサブタイプの集約,特化,及び空間関係型である。
 地物機能型は,UMLにおける操作として実装されなければならない。

3.2 地物型の特化と汎化

 地物型の特化関係は,UMLにおけるサブタイプの関係によって表現されなければならない。

3.3 地物の集約

 集約はUMLにおける集約関係によって表現されなければならない。
 

4 メタデータの規則,品質規則,時間規則,空間規則,カタログ化規則,描画規則,地理識別子を用いた空間参照,座標による空間参照のための規則

ISO15046の他のパートのスキーマの応用スキーマへの統合等について述べている。
 
 

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