セミ・ダイナミック補正
3. 概要と標準的な補正方法
セミ・ダイナミック補正に必要なもの
セミ・ダイナミック補正に必要なものとして、次の3つを紹介します。
測量法第34条で定める「作業規程の準則」

作業規程の準則のページからダウンロードできます。
セミ・ダイナミック補正の補正方法や、セミ・ダイナミック補正支援 ソフトウェア(SemiDynaEXE)の概要、地殻変動量の計算方法等、詳細については、 平成21年度に作成された国土地理院技術資料「公共測量におけるセミ・ダイナミック補正マニュアル」 をご参照ください。
地殻変動補正パラメータ

セミ・ダイナミック補正支援ソフトウェア及びパラメータは、ダウンロードページ よりダウンロードできます。
地殻変動量の計算を簡便に行うために開発したサイトです。 「セミダイナエグゼ」と読みます。
測量計算サイトのSemiDynaEXEでセミ・ダイナミック補正の計算ができます。
地殻変動補正パラメータとは
地殻変動補正パラメータは元期から今期までに生じた地殻変動を表すもので、 電子基準点でのGPS連続観測や高度地域基準点測量で検出された地殻変動量を基に作成しています。
図の赤い矢印は、電子基準点等で検出された地殻変動量を表しています。
クリギング法という補間法を用いて、電子基準点等で検出された地殻変動量をもとに 約5km間隔の格子点上での地殻変動量を求めました。
この格子点上の地殻変動量(図では緑の矢印)を、「地殻変動補正パラメータ」と呼びます。
「元期から今期への補正」では、元期の座標値に「地殻変動補正パラメータ」を加えます。また、「今期から元期への補正」では、今期の座標値から「地殻変動補正パラメータ」を差し引きます。
地殻変動補正パラメータは、約5km間隔の3次メッシュコードごとに、元期から今期までの緯度の変動量(秒)、経度の変動量(秒)、高さの変動量(m)で表現し、原則として4月1日から翌年3月31日までの年度単位を適用期間とし、毎年更新します。
地殻変動補正パラメータの提供範囲

一部の無人の離島は、近傍に電子基準点が無いため 地殻変動補正パラメータを作成していません。 地殻変動補正パラメータが提供されない範囲については、 必要に応じて国土地理院の技術的助言を求めてください。
地殻変動補正パラメータを用いて、任意の点での地殻変動量を計算する

右図の黄色い三角点の位置(元期の位置座標)で、元期から今期までの地殻変動量を求めるには、 求めたい点に最も近い4つの格子点の地殻変動量(=地殻変動補正パラメータ/緑の矢印)をもとに、 バイリニア補間法で求めます。
バイリニア補間法で求めた地殻変動量を、黄色い三角点の元期の位置座標に加えることで、今期の位置座標を求めることができます。
この計算は、セミ・ダイナミック補正支援ソフトウェア「SemiDynaEXE」を使って 簡単に行うことができます。
標準的な補正手順
ここで、測量計算にセミ・ダイナミック補正を適用する手順について説明します。
3点の電子基準点を既知点として、新点1点を設置する場合について考えてみましょう。
- まず、従来と同じように既知点の測量成果を固定して、 基線ベクトル(現在の位置関係)
を求めます。
- つぎに、SemiDynaEXEと地殻変動補正パラメータを使って 既知点の測量成果
を今期の座標値
に補正します。
- 既知点の今期の座標値
を固定して網平均計算を行い、 新点の今期座標値
を求めます。
- 最後に、SemiDynaEXEと地殻変動補正パラメータを使って 新点の今期座標値
を1997年1月1日において 得られたであろう元期座標値
に補正します。
こうして得られた新点の元期座標値を測量成果とします。
計算過程をまとめると、図のようになります。