国土地理院概要

未来に向けた研究・開発

AIを用いた河川氾濫による浸水範囲の自動検出の流れ

近未来を見据え研究開発に取り組んでいます

国土地理院は、将来の地図作成の効率化や既存の地図の自動更新の実現及び災害状況把握・共有の迅速化を目指し、ビッグデータやAI(人工知能)技術を用いた研究を行っています。また、発生が危惧されている巨大地震に対応するための地震発生メカニズムの解明のための研究や、宇宙測地技術の高度化に向けた研究等、近い将来における新たな技術の実用化に向けた研究開発も行っています。

これらの成果は、国内外の学会や学術雑誌で発表し、広く発信することで、科学技術の発展に貢献するとともに社会に広く還元しています。

国際学会で研究成果を発表(アメリカ)

研究・技術開発

AIを活用した地図の自動作成・更新

国土地理院では、過去から現在までの大量の空中写真と地理空間情報を保有しています。これらをビッグデータとして、AI技術を活用することで、画像から自動的に地図情報を作成する研究に取り組んでいます。

地図作成は技術者に頼る面が大きく、完成までに多くの手間と時間がかかります。将来的に地図の自動作成・更新を実現することを目指して、航空機から撮影した空中写真画像を用いて、AI技術を活用して地上の道路や建物などを自動抽出する技術の研究を行っています。

この技術は、災害発生時の状況把握にも活用できます。例えば、河川氾濫時に防災ヘリコプターにより撮影された映像から自動的に浸水範囲を検出することにも利用でき(下のページの口絵)、これを自動で地図上に重ねて表示することで、被災状況を迅速に情報共有する技術開発にも取組んでいます。

空中写真画像(左)からAIで道路()、建物()、森林()を自動抽出

南海トラフ地震の解明

東海地方から九州地方の沿岸沖に広がる南海トラフでは、巨大地震が起こる可能性が指摘されています。巨大地震発生前に起こり得る現象として、プレート間の固着状態の変化があり、これについての重点的なモニタリングが重要と指摘されています。

この地域では、ゆっくりすべりという、蓄積された地震のエネルギーをゆっくりと解放する現象が繰り返し発生していることも知られており、通常発生する地震と互いに影響を及ぼしあっていると考えられています。

この状況に対応するため、南海トラフにおけるプレート間の固着状態の変化を、より高精度かつ高頻度に把握するための研究開発を行っています。

ゆっくりすべりの発生場所とその分布(:地震のエネルギーを解放)

未来社会を支える基盤となる位置情報の構築

近年急速に進歩するIoTやAI、ビッグデータ技術などを活用することで、「Society 5.0」が目指す“サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の融合”の実現に向けた取組が進んでいます。この仮想空間と現実空間の高度な融合には、仮想空間で正確な位置を与えるベースとなる地図などの位置情報が、現実空間の位置と“合っている”ことが欠かせません。

地震や火山噴火などによって急激な地表の変形が生じても、こうした変化に応じて素早く位置情報を更新し、提供できるように、地球の形とその変化を素早く測るための宇宙測地技術の高度化に関する研究を行っています。