測量に関するミニ知識

第11回 航空レーザ測量について その1

  航空レーザ測量をご存じですか?  聞いたことがある方も多いと思いますが、地表の高さについて、航空レーザ測量では、従来の写真測量等に比べ、高精度で詳細に求めることが出来ます。
  国土地理院では、この航空レーザ測量を平成13年度より実施し、様々な機関で利用されています。
  このコーナーでは、今回から2回にわたり「航空レーザ測量」について紹介したいと思います。

1.航空レーザ測量ってなに?

  航空レーザ測量って何?という方のために、一言で説明すると、これは、航空機から地上の高さをレーザにより直接計測する測量です。
  もう少し詳しく言うと、航空機に搭載したレーザ測距装置から地上に向けて放射状にレーザパルスを照射し、広範囲に高密度・高精度な地表の座標(x,y)、高さ(z)を取得する測量方法です。

  航空レーザ測量におけるレーザ計測点一点ごとの高さの精度は、概ね±15cmです。また、平面位置の精度は高さの精度に比べて劣ると言われています。


2.どうやって地表の座標(X,Y)及び高さ(Z)を求めているの?

  では、どうやって地上の座標や高さを求めているのでしょうか。
  航空レーザ測量では、「レーザスキャナ・GNSS・IMU」という3つの技術を利用することにより、これらを実現しています。そこで、 この3つの技術について説明したいと思います。

1.レーザスキャナの仕事
  航空機から地表までの、航空機を基準とした方向と距離を計測
どうやって地表の座標及び高さを求めているの?
2.GNSS(GPS)受信機の仕事
  航空機の位置を計測
3.IMU(慣性計測装置)の仕事
  航空機のゆれ・傾き・加速度を計測
   
 
 

 


3つのシステムについてもう少し詳しく説明しましょう。

  1. レーザスキャナ
      航空機に搭載され、飛行しながら、進行方向と垂直な向きに地上に向けて放射状にレーザパルスを照射し、地表から反射して帰ってくるまでの時間差を求めて、航空機から地表までの距離を計測する装置です。レーザパルスは、地上にあたり、その1点ごとの高さを1cm単位で記録していきます。
    レーザ計測点
  2. GNSS(GPS)受信機
    地上の電子基準点を基準局としてGNSSによる「連続キネマティック測量」を行い、1秒ごとに航空機の位置を測定します。
  3. IMU(慣性計測装置)
      ジャイロを改良したもので、1/50~1/200秒ごとに航空機の姿勢や加速度を計測し、GNSS(GPS)で計測する間を補完しています。
      この計測値を用いてレーザパルスの発射された方向を地上の座標等に基づく方向に補正することが可能になります。
航空レーザ測量では

  1.GNSSとIMU(加速度)により、航空機の位置
2.   2.レーザスキャナにより、地上までの距離
  3.IMU(向き・傾き)により、レーザパルスの発射方向

 この3つの計測値を組み合わせることにより、レーザパルス1点毎の地上の座標(x,y)、高さ(z)を求めることが出来ます。

3.レーザ測量のメリットデメリット

メリット:高密度のデータ取得が可能

  •   地表で50~60cm、または、それ以下の間隔で計測可能(1秒間に数十万回発射)であり、地表面の高さを面的に把握できる。
  •   レーザパルスは細いながらも一定の広がりを持った円形をしており、1ビームで、樹冠に当たって反射する信号(ファーストパルス)だけでなく、いろいろなところで反射し、最後に地表で反射(ラストパルス)した信号まで帰ってきます。そのため、レーザパルスが樹間を通り抜けることが出来れば、林地では、樹上と地盤のそれぞれの高さを計測できる。
  •   人が入っていけないところでも計測が可能。
  •   反射強度も計測しているため、強度の違いからどんな地物(建物・アスファルト道路・樹林帯等)によって反射したのかをある程度推計できる。
パルスモードの違い
異なる反射によるパルスモードの違い
 
レーザ計測による断面図
各パルスモードによる
反射点の標高

デメリット

  •   雨や雲により散乱・反射の影響を受ける。
  •   求めたい点をピンポイントで計測できない。(狙った地点にレーザパルスを照射することは出来ない。)
  •   照葉常緑樹(シイ、カシ、ツバキなどの密林)では、レーザパルスは地面まで到達しづらい。
  •   水中、地下は不可能(レーザの種類によっては、浅い水深で計測可能なものもある)
  •   費用が高い。

  航空レーザ測量とはどういうものか、何となくでもわかっていただけたでしょうか。

  次回は、航空レーザ測量から作られるデータ「DSMとDEM、メッシュデータ」と、その利用例について、お話ししたいと思います。

 

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