平成28年4月の地殻変動について
発表日時:2016年5月12日(木)16時00分
全国の地殻変動概況
別紙1~7は、国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた2016年3月下旬から2016年4月下旬までの1ヶ月間の地殻変動を表したものです。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が東日本の広い範囲で見られます。九州では、2016年4月14日以降の「平成28年(2016年)熊本地震」に伴う地殻変動が見られます。
火山周辺では、硫黄島において継続的な地殻変動が見られます。
- 別紙1 全国 (PDF形式:475KB)
- 別紙2 北海道地方 (PDF形式:158KB)
- 別紙3 東北地方 (PDF形式:150KB)
- 別紙4 関東・中部地方 (PDF形式:190KB)
- 別紙5 近畿・中国・四国地方 (PDF形式:505KB)
- 別紙6 九州地方 (PDF形式:352KB)
- 別紙7 沖縄地方 (PDF形式:143KB)
トピックス
- 「平成28年(2016年)熊本地震」では、4月14日21時26分に発生した地震(M6.5、最大震度7)に伴い、震源域に近い「城南」で北北東方向に20cmの大きな変動をはじめ、熊本県内の複数の電子基準点で地殻変動が観測されました。(別紙8-1)また、4月16日1時25分に発生した地震(M7.3、最大震度7)に伴い、震源域に近い「長陽」が南西方向に98cmの変動、上下方向に24cmの隆起をはじめ、熊本県を中心とした地域で大きな地殻変動が観測されました。(別紙8-2)
また、「だいち2号」合成開口レーダーでも、震源域付近で地殻変動が観測されています。(別紙8-3)
電子基準点及び「だいち2号」合成開口レーダーで観測された地殻変動に基づき、震源断層モデルを推定しました。(別紙8-4) - 豊後水道周辺で非定常的な地殻変動が観測されています。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界における地震動を伴わないゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと推定されます。変化は2015年12月頃から始まりました。なお、この付近では、1997年、2003~2004年、2009~2010年などにも長期的なゆっくり滑りが観測されています。(別紙9-1、9-2)
- 吾妻山周辺では、2015年10月頃から一部の基線で山体の収縮を示す地殻変動が見られていましたが、2016年1月頃から停滞に転じています。(別紙10)
- 草津白根山周辺では、2014年春頃から湯釜付近の膨張を示す地殻変動が継続していましたが、2015年8月頃から停滞しています。(別紙11)
- 浅間山周辺では、2015年6月頃から浅間山を挟む基線で小さな伸びが見られていましたが、10月頃から鈍化し、2016年1月頃から停滞しています。(別紙12)
- 御嶽山周辺では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙13)
- 硫黄島の「硫黄島1」及び「M硫黄島A」は、2015年3月頃から隆起速度が上がっていましたが、10月以降は2月以前の速度に戻っています。「硫黄島2」は、南向きの変動が継続しています。(別紙14)
- 阿蘇山周辺では「平成28年(2016年)熊本地震」の影響を受け、阿蘇山を囲む基線で最大0.9m程度の伸びが発生し、その後わずかな伸びの傾向があります。(別紙15)
- 霧島山周辺では、「平成28年(2016年)熊本地震」の影響を受け、全体的に南北方向の短縮が見られましたが、その後目立った変動はありません。(別紙16)
- 桜島島内の基線では、2015年1月上旬頃から伸びの傾向が見られており、2015年8月15日の前後で伸びが見られた後はほぼ停滞していましたが、2016年1月頃から再び伸びの傾向が見られます。鹿児島(錦江)湾を挟む一部の基線で、2015年1月上旬頃から伸びの傾向が見られます。なお、「平成28年(2016年)熊本地震」の影響を受け、全体的に南北方向のわずかな短縮が見られます。(別紙17)
- 口永良部島の観測点では、2014年12月頃から見られていた新岳から遠ざかる方向のわずかな変動は、2015年10月頃から停滞しています。なお、「平成28年(2016年)熊本地震」の影響を受け、「枕崎」-「口永良部島」の短縮が見られます。(別紙18)
補足説明
- 全国の1年間の地殻変動(2015年4月下旬から2016年4月下旬まで、別紙19)からは、以下のような傾向が見られます。
- 北海道から中日本までの広い範囲で、東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
- 九州では、2016年4月14日以降の「平成28年(2016年)熊本地震」に伴う地殻変動が見られます。
- 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
- その他の地域では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。
別紙一覧
- 別紙8-1 平成28年(2016年)熊本地震(4月14日 M6.5,4月15日 M6.4)前後の観測データ (PDF形式:1.3MB)
- 別紙8-2 平成28年(2016年)熊本地震(4月16日 M7.3)前後の観測データ (PDF形式:1.3MB)
- 別紙8-3 平成28年熊本地震「だいち2号」による地殻変動分布図 (PDF形式:3.3MB)
- 別紙8-4 平成28年4月16日の熊本県熊本地方の地震(Mj7.3)震源断層モデル(暫定) (PDF形式:2.4MB)
- 別紙9-1 豊後水道周辺の非定常的な地殻変動 (PDF形式:1.5MB)
- 別紙9-2 推定されたプレート境界面上の滑り分布 (PDF形式:1.5MB)
- 別紙10 吾妻山周辺の地殻変動 (PDF形式:417KB)
- 別紙11 草津白根山周辺の地殻変動 (PDF形式:413KB)
- 別紙12 浅間山周辺の地殻変動 (PDF形式:445KB)
- 別紙13 御嶽山周辺の地殻変動 (PDF形式:633KB)
- 別紙14 硫黄島周辺の地殻変動 (PDF形式:683KB)
- 別紙15 阿蘇山周辺の地殻変動 (PDF形式:185KB)
- 別紙16 霧島山周辺の地殻変動 (PDF形式:784KB)
- 別紙17 桜島周辺の地殻変動 (PDF形式:317KB)
- 別紙18 口永良部島周辺の地殻変動 (PDF形式:213KB)
- 別紙19 全国の地殻変動(水平)-1年間- (PDF形式:489KB)
問い合わせ先
国土交通省国土地理院 〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番 測地観測センター 地殻監視課長 千早 昭二 (029-864-5971) 測地観測センター 地震調査官 檜山 洋平 (029-864-4825) 地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室長 矢来 博司 (029-864-6925) FAX 029-864-8381