三宅島・陥没カルデラと雲仙普賢岳・水無川流域における地形変化について

Landform change analysis in a collapsed caldera, Miyakejima Volcano and Mizunashi River watershed, Unzen Volcano

地理地殻活動研究センター  長谷川裕之・佐藤 浩・岩橋純子・吉田幸子
Geography and Crustal Dynamics Research Center  Hiroyuki HASEGAWA,Hiroshi P. SATO,Junko IWAHASHI and Sachiko YOSHIDA

要旨

 航空レーザ測量と写真測量で計測した数値地形モデル(Digital Elevation Model: DEM)を用いて,三宅島の2001年2月~2003年9月までの陥没カルデラ内の地形変化と,雲仙普賢岳の水無川本川流域の1995年9月~1999年10月までの地形変化を解析した。その結果,火山活動が静穏化すると,著しい地形変化も急速に抑制されるという従来の知見が,差分DEMから得られる標高変化量の解析を通じて裏付けられた。
 三宅島では,上記の期間にカルデラの容積が1,000万m3増加しており,うち860万m3は主火口(長径は232 m,短径は87 m)の形成による標高の低下,残りは主に,カルデラ壁の崩壊によることが判った。しかし,この変化量は,カルデラ形成期よりもはるかに少ない。雲仙普賢岳・水無川本川流域では火山活動終了,地形は直ちに無変化になることが判ったが,より詳細に見ると,表面流出による開析を受けやすいガリにおいては,1997年を境に地形がほとんど無変化となることが判った。

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