三角点標高成果改定 Q&A

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【補正パラメータによる標高成果改定編】

Q1-1 中国・四国・九州地方のジオイド・モデルは昨年4月に改定されましたが、なぜ三角点の標高成果は併せて改定しなかったのですか?

A.
三角点の成果改定では、ジオイド・モデルの改定量のほか、測量時期の違い等によって三角点間に生じている標高の乖離を解消する必要がありました。この乖離を解消するには、これまでに実施されたGNSS測量データから、標高変動量を整理しなければなりません。昨年4月の段階では、まだデータ整備が完了しておらず、標高改定を実施することができませんでした。

Q1-2 測量時期の違いによる標高不整合は以前から発生していたと思いますが、なぜこれまで(測地成果2000構築時など)に標高成果改定をしなかったのですか?

A.
平成14年の世界測地系移行時には、水平位置は基準が変更されるということで、全面改定を行う必要がありましたが、高さについては基準面に変更がなかったこと及び高さを変えても水平位置に与える影響がほとんどなかったことにより、全面改定の必要がなかったからです。
しかしながら、平成14年以降、GNSS測量が普及したことで、電子基準点と三角点との標高の整合をより一層図る必要性が高まってきました。これを受けて平成20年度以降、北海道、紀伊半島及び東北地方で三角点標高改定を実施してきました。その他の地域についても標高変動量データが完了しましたので、今回の改定に併せて不整合を解消することとなりました。

Q1-3 新たに複数の標高補正パラメータが公開されていますが、なぜ複数必要なのですか?1つにまとめられなかったのですか?

A.
4つの標高補正パラメータはそれぞれ異なる要因の不整合に対して必要なものです。そのため、パラメータ毎に適用範囲や補正の対象となる測量の種類が異なります。補正量を1つのパラメータにまとめると、各補正の切り分けができず、場合によっては不必要な補正が含まれてしまうため、4つの補正パラメータに分けて公開することとしました。
過去に実施された測量の標高成果を改定する場合は、対象とする測量の実施時期や地域、既知点の種類で使用すべき補正パラメータが異なりますので、十分にご注意ください。

Q1-4 これまでに公開された標高補正パラメータとの関係性はどうですか?

A.
今回作成したパラメータのうち、「測量時期の違いによる標高不整合補正パラメータ」については、平成20年度以降に北海道、紀伊半島、東北地方で実施された三角点標高改定での補正パラメータと同様のものですので、パラメータの境界地域についても問題なく整合しております。その他のパラメータについては、今回新たに作成したものですので、これまでに公開されたパラメータと関係しているものはありません。
これまでに公開したパラメータと新たに公開したパラメータを使用して成果を改定する場合は、公表時期の早いパラメータから使用し、補正計算を実施してください。

Q1-5 従来の標高との違いは何ですか?

A.
今回の標高改定では、ジオイド・モデルが高精度なモデルに改定されたことに伴う改定量を考慮しています。ジオイド・モデルはGNSS測量の際に求められる楕円体高から標高を算出する際に必要で、モデルが高精度化されることで、より水準測量に整合した標高をGNSS測量で算出することが可能となります。そのため、改定後の三角点標高は従来の標高より水準測量に整合したものとなります。

Q1-6 今回の標高成果改定により、三角点の標高精度は向上するのでしょうか?

A.
今回の標高改定では、GNSS測量によって求められた成果とGNSS測量によらない旧来の測量方式によって求められた成果との間に生じている標高の乖離を解消し、ジオイド・モデルの改定量を考慮することで、三角点の標高を水準測量に整合した体系とします。これによって、三角点自体の標高精度が向上するのではなく、点間(三角点-三角点、三角点-電子基準点、三角点-水準点)における標高の整合性が高まることになります。
但し、旧標高に局所的な不整合があった場合には、必ずしも整合性が高まるわけではないことにご注意ください。三角点の標高に不整合が見られた場合には、改測を実施する必要も考えられますので、国土地理院までお知らせください。

Q1-7 なぜ改定量に地域差があるのですか?

A.
今回の改定量には、長年の地殻変動による標高変動の補正が含まれています。標高変動量は地域によって異なり、地殻変動の活発な地域では1m以上、活発でない地域では変動量は0となっています。標高変動量が大きい地域ほど、三角点の成果改定量も大きくなります。

Q1-8 今後も広域に標高成果を改定することはありますか?

A.
日本は地震・火山噴火等の発生が多い国です。これらの地殻変動等により、標高成果が現状に合わなくなる場合があります。標高成果改定は、地殻変動の規模(改定量)、改定範囲、必要性などを精査した上で行います。

Q1-9 東北地方太平洋沖地震の余効変動は今回の標高補正パラメータに含まれていますか?

A.
余効変動量は含まれていません。今回の標高補正パラメータを用いて標高成果を改定することで、測地成果2011における測量の基準日(東日本)である2011年5月24日時点での標高値となります。

Q1-10 改定量がどのくらいだと、測量に影響がでてくるのでしょうか。目安があれば教えてください。

A.
判断の基準として、測量作業地域の中心付近で改定量がおおむね10cmを超える場合は、標高の改定を行った方がよいと考えます。補正量を確認できる標高補正パラメータによる補正量チェックサイトをご活用下さい。

Q2-1 対象とする測量が、パラメータ適用範囲の境界を跨ぐ場合、パラメータでの補正計算はどのように実施すればよいでしょうか?

A.
対象とする測量がパラメータ適用範囲の境界を跨いでおり、測量の既知点も適用範囲内外に配置されている場合は、補正対象とする基準点が位置する場所をもとに都道府県を特定し、必要な補正パラメータを選択してください。
ただし、既知点の配置によっては、必要とする許容範囲内に収まらない場合があります。その場合は、対象とする測量の既知点それぞれについて標高補正パラメータを選択・補正の上、基準点が設置された当時の計算簿等に遡り改算するか改測していただく必要があります。

Q2-2 「測量時期の違いによる標高不整合パラメータ」の適用範囲外の地域では、その他のパラメータのみ使用すればよいのでしょうか?

A.
「測量時期の違いによる標高不整合パラメータ」が適用できない地域は以下のとおりです。

1.北海道、東北、紀伊半島地域
平成20年~22年にかけて三角点標高成果改定を実施しており、別途補正パラメータが提供されています。対象とする測量が各地域での三角点標高成果改定前に実施され、パラメータによる改算が実施されていない場合は、北海道、東北、紀伊半島の三角点標高改定パラメータをご利用ください。

2.平成16年中越地震の影響地域
中越地震では、地震による地殻変動が複雑であったことから、標高補正パラメータを作成することができませんでした。そのため、中越地震前の測量成果を修正する場合には、改測作業を実施してください。
地震後に改測作業を実施し、成果を修正した基準点については、該当する改測作業での測量地域、時期、既知点の種類を選択いただき、補正パラメータによる標高計算サイト(以下、標高成果計算サイト)」あるいは補正パラメータ適用パターンに従って補正計算を実施してください。

3.平成19年中越沖地震の影響地域
中越沖地震では、地震による変動量を補正するための標高補正パラメータが公表されており、測量時期の違いによる標高不整合補正も含まれています。標高成果計算サイト及び補正パラメータ適用パターンについては、中越沖地震の補正パラメータも考慮していますので、対象とする測量作業の測量地域、時期、既知点の種類を確認したうえで補正計算を実施してください。

4.平成19年能登半島地震の影響地域
能登半島地震では、地震による変動量を補正するための標高補正パラメータが公表されており、測量時期の違いによる標高不整合補正も含まれています。標高成果計算サイト及び補正パラメータ適用パターンについては、能登半島地震の補正パラメータも考慮していますので、対象とする測量作業の測量地域、時期、既知点の種類を確認したうえで補正計算を実施してください。

5.平成23年東北地方太平洋沖地震後の余震の影響地域
(新潟県十日町・上越市・津南町、長野県栄村周辺、茨城県高萩市・北茨城市)
平成23年東北地方太平洋沖地震後に生じた余震により、複雑な地殻変動が確認された上記地域において、地震前の測量成果を修正する場合には、改測作業を実施してください。
地震後に改測作業を実施し、成果を修正した基準点については、該当する改測作業での測量地域、時期、既知点の種類を選択いただき、標高成果計算サイトあるいは補正パラメータ適用パターンに従って補正計算を実施してください。

Q2-3 4種類のパラメータでもっとも影響(補正量)が大きいのはどれですか?

A.
パラメータ補正量は場所により異なりますので、一概には言えませんが、全体的に見た場合、補正量の最小値と最大値の差がもっとも大きいのは「測量時期の違いによる標高不整合補正パラメータ」で約2mです。詳しくは、 各標高補正パラメータの説明ページを参照してください。

Q2-4 補正したい基準点の測量履歴は、どうすればわかりますか?

A.
測量計画機関等が保有する三角点・基準点の成果が求められた際の測量の記録(平均図、観測図等)をご確認ください。

Q2-5 補正したい基準点の測量履歴を調べることが困難で、「測量の既知点」等の情報が分かりません。パラメータでの改算は可能でしょうか?

A.
既知点の種類を特定することができない場合は、適切なパラメータを選択することができません。改算による成果改定は難しいため、成果の修正が必要な場合は、改測を実施してください。

Q2-6 過去に公表された標高補正パラメータですでにパラメータ改算を実施した基準点については、どのように扱えばよいでしょうか?

A.
過去に公表された標高補正パラメータですでに改算された場合は、以下のように測量地域、時期、既知点の種類を選択し、標高成果計算サイトあるいは補正パラメータ適用パターンに従って補正計算を実施してください。

  測量地域:基準点の所在地
  測量時期:使用した補正パラメータの公表日(パラメータのヘッダー情報をご確認ください)
  測量の既知点:パラメータごとに異なります
補正パラメータ適用パターン表
パラメータの種類(パラメータ名) 測量の既知点の選択
平成23年東北地方太平洋沖地震標高補正 電子基準点に準拠した三角点・基準点
(※平成22年に東北三角点標高改定後にパラメータ改算あるいは改測を実施していることが前提。実施していない場合は「その他」を選択)

<茨城県>
選択できません。標高成果計算サイトでは対応していないため、PatchJGD(標高版)にて、以下の補正パラメータによる補正計算を実施してください。
・hyokorev2014_meiji_h.par
・hyokorev2014_geoid2011_h.par
その他 電子基準点に準拠した三角点・基準点

Q2-7 「一括計算」で複数の都道府県の点を同じファイルに記述することはできますか?

A.
記述することは可能ですが、補正計算は選択された都道府県で適用する補正パラメータも用いて実施されます。適用する補正パラメータが異なる都道府県の点を同一ファイルで一括計算すると、誤った補正計算が実行されることになりますので、入力ファイルは計算条件ごと(測量地域、測量時期、測量の既知点)に作成し計算してください。

Q2-8 測量の既知点に、電子基準点あるいは電子基準点に準拠した三角点・基準点と準拠していない三角点・基準点が混在している場合、「測量の既知点」として何を選択すればよいでしょうか?

Q8図
A.
電子基準点に準拠した基準点と準拠していない基準点を混合した測量で求められた基準の場合は、「電子基準点に準拠した三角点・基準点」を選択してください。
ただし、準拠していない基準点を使用しているため、計算結果によっては必要とする許容範囲内に収まらない場合があります。その場合は、準拠した基準点としていない基準点それぞれについて標高補正パラメータを選択・補正の上、基準点が設置された当時の計算簿等に遡り改算するか改測していただく必要があります。

Q2-9 「座標補正の有無」はどういう時に必要なのでしょうか?

A.
基準点成果は、標高だけでなく水平座標も地震等により変動している場合があります。これらの基準点について補正パラメータによる標高成果の改算を行う際は、水平座標を変動後の座標に補正してから行う必要があるため、補正したい基準点の水平座標が地震等による変動前の成果の場合は、「座標補正を考慮する」を選択してください。

Q2-10 平成23年東北地方太平洋沖地震だけでなく平成20年岩手・宮城内陸地震などの地震についても水平座標は補正されるのでしょうか?

A.
補正されます。標高成果計算サイトは国土地理院が過去に公表した全ての座標及び標高の補正パラメータに対応しており、測量地域、測量時期等を入力し、「座標補正を考慮する」を選択すると自動的に適用されます。

Q2-11 平成23年東北地方太平洋沖地震以降に測量した場合で、「地震前に新設、改測された三角点」と「地震後に新設、改測された三角点」を混合し使用していた場合、「測量の既知点」として何を選択すればよいでしょうか?

A.
測量地域が東北地方太平洋沖地震に伴う成果改定の必要な地域でなければ、地震補正は関係有りませんので、「地震後に新設、改測された三角点」を選択してください。なお、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う公共測量成果改定が必要な地域は、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」に伴う公共測量成果の改定について」を参照ください。
また、上の地域であったとしても、三角点であるなら必ず成果改定は行われていますので、「地震前に新設、改測された三角点」と「地震後に新設、改測された三角点」とを混合で使用という事態はありえません。この三角点を公共基準点に読み替えたとしても、「地震前に新設、改測された公共基準点」は、必ず地震補正を行ってから使用することになっております。したがって、測量時期はそのまま当該基準点が設置された(または改測された)時期を、測量の既知点は「地震後に新設、改測された三角点」を選択してください。

Q2-12 PatchJGD(標高版)で改算しようとしましたが、複数のパラメータを選択することができません。どのようにすれば良いのでしょうか?

A.
標高補正ソフトウェア“PatchJGD(標高版)”は、1回の計算で1種類の補正パラメータファイルしか読み込めませんので、複数のパラメータを適用する場合は、1つのパラメータ補正の出力値を次のパラメータ補正の入力値とし、計算を行ってください。 その際、順序にご注意ください(Q11参照)。なお、標高成果計算サイトでは、複数のパラメータを同時に適用した計算が行えますので、そちらもご利用ください。

Q2-13 PatchJGD(標高版)で複数のパラメータ補正を行う場合、パラメータ補正を行う順番はありますか?

A.
順序はあります。三角点標高成果改定適用パラメータ確認サイトで条件を選択し、表示される補正計算で必要な標高補正パラメータ順に補正計算を行ってください。

Q2-14 離島部の場合、パラメータでの補正計算はどのように実施すればよいでしょうか?

A.
離島によって適用パターンが異なります。「ジオイド・モデルの改定に伴う標高補正パラメータ」のみを適用する離島、「測量時期の違いによる標高不整合パラメータ」と「ジオイド・モデルの改定に伴う標高補正パラメータ」の両方を適用する離島の二種類が存在します。対象となる離島については補正パラメータによる補正計算方法[PDF形式:63KB]、パラメータ適用の仕方については三角点標高成果改定適用パラメータ確認サイトよりご確認ください。

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