傾いた至仏山の三角点を復旧〜地元の高校生もお手伝い〜
先ずは、尾瀬、片品村、至仏山の位置関係を理解して頂くために次の質問に○か×で答えてみてください。
Q1:群馬県片品村は3つの県(新潟県、福島県、栃木県)と接する珍しい自治体である。
Q2:群馬県片品村に降った雨は、太平洋にも日本海にも流れる。
Q3:群馬県片品村には深田久弥の日本百名山が3山もある。

復旧した「至仏山」。後ろに見える山は尾瀬ヶ原を挟んで対峙する「燧ケ岳」

答えは全て○です。少し解説すると、
A1:片品村は「尾瀬ヶ原」で、新潟県魚沼市、福島県桧枝岐村と接しています。また、村の東側の金精峠や白根山を越えると栃木県日光市です。
A2:村に降る多くの雨は片品川から利根川を経由して太平洋に注ぎますが、村の北部に降る雨は尾瀬ヶ原、只見川、阿賀野川を経て日本海に流れ出ます。
A3:(1)日光白根山−日光白根山より北に日光白根山より高い山なし− (2)武尊山−「ほたかさん」と読む。ピークは片品村ではないが、登山道や避難小屋、前武尊は片品村にある− (3)至仏山−広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対峙している燧ケ岳と至仏山(深田久弥日本百名山より)。多彩な花の名山としても有名である−
このように群馬県北部の片品村とみなかみ町との境界に位置する標高2,228mの至仏山の山頂からは、東側に夏が来れば思い出す遥かな尾瀬を、西側に利根川の源流域にそびえる山々と水を湛えたダムを望むことができます。また、尾瀬ヶ原から見る至仏山は、湿原の雰囲気と相まって絶景です。もちろん晴れていればですが。

7月の晴れた日に尾瀬ヶ原から見上げる至仏山の穏やかな容姿
さて、二等三角点至仏山は、明治37年(1903年)に設置されましたが、長年の風雪・浸食によりいつの頃からか柱石が露出・転倒してしまいました。 燧ヶ岳、至仏山などの山岳地は、平成19年8月に尾瀬国立公園に指定され、国立公園内の三角点が修復されれば喜ばしいという要望もあり、片品村役場と協力して倒れている三角点を復旧して約100年ぶりに最新の技術を使って測量することになりました。 また、尾瀬高校自然環境コース理科部の皆さんにも国土地理院への理解を深めてもらうという趣旨のもと、一緒に登山・作業を実施する運びとなりました。 測量作業は7月29日の早朝登山から始まりました。6時30分に尾瀬ヶ原西端の山ノ鼻登山口から国土地理院職員、高校生、役場職員、新聞記者からなる総勢約20名が、小雨の降る中を至仏山頂目指して登山を開始しました。

雲に覆われた至仏山を目指して尾瀬ヶ原を進む測量隊

GPS受信機、三脚等の器材を背負ってどんどん進む高校生

105年ぶりに地上に現れた盤石

尾瀬ヶ原と燧ケ岳を背景に最高地点を測量する。100年ぶりにこの地で望遠鏡を覗いた測量士ということになる。

登山客で賑わう三角点のある山頂。写真右側に降る雨は日本海に、左側に降る雨は太平洋に。

雨の中、GPS測量の状況を熱心に見守る高校生と新聞記者
本作業は、登山者の登頂記念のモニュメントとしての三角点を、地元の人々と一緒になって守っていくことを目的の一つとして行いました。役場の人や高校生を通じて、また、新聞2紙に取り上げてもらうなど、地域の人や登山者へのPRの一助となったと考えています。また、高校生に国土地理院や三角点、測量、地理について理解を深めてもらうことにも繋がりました。この場をかりて片品村の皆さん、尾瀬高校の皆さんに感謝いたします。

早朝からの8時間に及ぶ作業を無事終了して尾瀬の玄関口「鳩待峠」で記念撮影

ヒメシャジン

ハクサンフウロ

ウラジロヨウラク

