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平成22年度国土地理院重点施策

<地理空間情報をいつでも、どこでも、誰でも活用できる社会の実現>

 我が国は、頻発する自然災害、地球温暖化の影響によると見られる異常気象現象の増加、化石エネルギー資源の枯渇等の長期的課題に取り組むとともに、百年に一度とも言われる世界規模の経済・雇用危機に加え、深刻化する少子・高齢化社会がもたらす様々な課題を克服しつつ、未来に向けた新たな経済成長を模索し、安心と活力のある社会を実現するという大きな課題に直面している。このような中で、国民一人ひとりが安心して豊かな生活を営むことができる経済社会を実現していくためには、国土や社会の実態を示す地理空間情報の高度な活用を推進することが極めて重要である。
 平成19年から20年に行われた測量法の改正、地理空間情報活用推進基本法、海洋基本法及び宇宙基本法の制定、さらにはこれら基本法に基づいてそれぞれ策定された基本計画により、地理空間情報を高度に活用していくための社会環境の整備が大きく前進した。
 国土地理院は、我が国における地理空間情報の高度な活用の推進に向けて先導的役割を果たしていくために、平成21年度を初年度とする「基本測量に関する長期計画」を新たに策定し、地理空間情報を活用した活力ある社会の実現に向けた取組を推し進めることとした。この長期計画の実施に当たっては、国民を中心とした利用者の視点に配慮し、地理空間情報を安心して最大限活用できる仕組み作りが重要である。
 以上を踏まえ、平成22年度重点施策は、「基本測量に関する長期計画」の第二年次として、次のとおり地理空間情報の整備・更新及び活用の推進、並びに国際連携の強化に重点的に取り組む。

 国家を構成する三要素の一つである国土の実態を明示する地理空間情報の整備・更新は、国の根幹的責務である。また、自然災害・地殻変動・経済活動等により国土が変貌する我が国において、地理空間情報の整備・更新は国土の適切な管理に不可欠であり、安全・安心な社会を実現するための基本となることから、国が自ら取り組むべき施策である。特に、位置の基準となる情報や国土を表す地図の基準となる情報の整備・更新及び災害時における地理空間情報の迅速な提供は、国民が安心して豊かな生活を営むために必要な最も基本的な国の責務の一つである。

 そこで、我が国における位置の基準を定める位置情報基盤の高度化、電子地図上の位置の基準となる基盤地図情報の整備・更新及び国土を表す基準となる電子国土基本図の整備を進め、さらに測量用航空機の運用、電子国土基本図と整合がとれた土地条件図の整備・活用により、災害時の迅速な対応や防災に役立つ情報提供を推進するとともに、安全・安心な社会の実現に向けた研究開発を進める。

 

 (平成22年度に推進する施策)

(1) 国土の位置の基準を定める位置情報基盤の高度化の推進

・地殻変動の大きな我が国の国土において、より正確な位置の基準を提供できるように、VLBIとGPSのコロケーション測量を継続的に実施するとともに、これら異なる宇宙測地技術による時系列的な観測間の整合性を高めるための統合解析手法の高度化を図る。また、地殻変動で生じた歪みを取り除くために公共測量におけるセミ・ダイナミック補正を実用化する。

・準天頂衛星をはじめとする次世代の衛星測位システム(GNSS)に対応できるようGPS連続観測システム(GEONET)の高度化に向けた基本設計を進めるとともに、測量分野における次世代GNSS利活用環境の構築を図る。

・我が国の領土の外縁等に位置する離島に国家基準点を設置し、離島の保全・管理のための位置情報整備とともに位置の高精度化を図る。

 

(2) 電子地図上の位置の基準となる基盤地図情報の整備・更新

・非線引き区域を含めた都市計画区域における縮尺レベル2500のシームレスな基盤地図情報の初期整備を推進するとともに、整備を完了した地域の更新に着手する。

 

 (3) 国土を表す地図の基準となる電子国土基本図の整備・更新

・国土管理のために不可欠な地形や植生などの地理空間情報を位置の基準である基盤地図情報に統合し、我が国の国土を表す基準となる電子国土基本図(地図情報、オルソ画像及び地名情報)を基盤地図情報の整備に併せて整備及び更新する。

・特に、離島をはじめ、その表記に揺らぎや重複がある地名については、我が国における共通な活用が図られるように、標準地名等に地理識別子を加えた電子国土基本図(地名情報)を整備する。

 

 (4) 災害時の迅速な対応及び防災に役立つ情報の整備

・地震による急激な地殻変動、地盤沈下、火山活動等に加え、広域の地すべりの状況を把握するために、人工衛星による干渉SARデータの解析を全国の地すべり地域に拡大して実施する。

・地震時の地殻活動を迅速に捉えるために電子基準点による地殻変動の準リアルタイム解析を実現するとともに、火山活動による地殻変動を高密度で捉えるために、他機関による火山地域のGPS観測点と電子基準点との統合解析を実用化する。

・活動が活発な火山の正確な地殻変動観測に資するため、GPS火山変動リモート観測装置(REGMOS)の高機能化を図る。また、噴煙等により詳細な地形の把握が困難な火山について、航空機搭載型SARによる地形測量を実施する。

・地震等の発災直後の被災状況を迅速に把握するため、測量用航空機による画像撮影及びそのリアルタイムな伝送を実現する。また、被災地域の地理的特性を分析して発災直後に被害の種類や範囲を迅速に推定・提供するための研究を行う。

・人口が密集し、自然災害の影響が大きな都市部の最新のハザードマップ作成に資するため、開発により地形の人工改変等が進展して現実の地形との乖離が著しい大都市圏の土地条件図について、精密3D電子基盤情報を活用しつつ、電子的に更新する。

・内陸部の地震発生メカニズムの理解に不可欠な「ひずみ集中帯」の地殻変動特性の解明を行うとともに、電子基準点による地殻変動観測の信頼性を向上させるための大気擾乱の影響評価に関する研究を行う。

安全・安心な社会の実現に不可欠な地理空間情報の整備・更新


 世界規模の経済危機に伴う不況や雇用不安等の当面の課題に加え、少子・高齢化等の長期的な課題を克服して、国民一人ひとりが我が国の未来に希望を持てる活力ある社会を実現していくためには、新しい情報基盤である地理空間情報を国、地方公共団体や民間等が積極的に活用することにより、行政事務の効率化、国民への行政サービスの向上、民間の創意工夫による地理空間情報の新しいサービスやビジネスの創生等を図り、国民一人ひとりが地理空間情報活用の恩恵を享受できる環境を整備することが必要である。特に、地理空間情報の活用に対する取組が地域ごとに異なる状況に鑑み、政府の地理空間情報活用推進の取組における国土地理院の体制強化を図るとともに、地域の特性を活かした産学官連携や地域のニーズに合致した技術的支援を推進することが、地域の実情に応じた地理空間情報の活用を図り、真に活力ある地域社会を実現するために不可欠である。また、基盤地図情報を常に最新の状態に更新しておくため、その迅速かつ効率的な更新の仕組みの構築が重要である。さらに、インターネットはもちろん、ICタグやucode等の先端デジタル技術や地理識別子を活用するとともに、地理空間情報の活用に積極的に取り組む人材の育成が必要となる。

 そこで、政府の取組に対する国土地理院の体制強化、地方公共団体も含めた産学官連携の推進、基盤地図情報の更新の仕組みの構築、先進デジタル技術の活用、人材育成などを通して、利用者の視点に立った地理空間情報の活用推進施策を進めることにより、国民生活の利便性を向上させるとともに、我が国の新しく活力ある社会の実現に貢献する。

 

 (平成22年度に推進する施策)

(1) 産学官連携による地理空間情報活用の推進

・ 政府の地理空間情報活用推進会議及び地理空間情報産学官連携協議会において、地理空間情報活用推進基本計画に基づく施策の推進に中核的な役割を果たすための体制の強化を図る。また、地図や空中写真等における個人情報保護、知的財産権等の取扱い及び国の安全に関する調査・検討を行い、地理空間情報の活用のあり方に関する政府のガイドライン等の策定に資する。

・ 地域の特性を活かした産学官の連携や地域のニーズに合致した技術的支援を推進するために、地方公共団体を含めた地域における産学官連携の枠組みを構築する。

・ 地理空間情報活用推進基本計画に基づいて産学官が連携して開催する「G空間EXPO」において、基盤地図情報の整備・活用を促進するためのフォーラムを開催する。

・ 地理空間情報の活用推進において、基盤地図情報の内容が常に最新の状態に更新されていることが重要であることから、公共測量成果等を用いた迅速かつ効率的な基盤地図情報の更新の仕組みについて、地方公共団体等と密接に連携しつつその構築を図る。

 

(2) ネットワークによる地理空間情報活用のための環境整備

・ 最新の地理空間情報を誰もが容易に活用できるように、基本測量及び公共測量の成果の複製や使用のための申請手続きのワンストップ化を推進する。

・ 電子国土基本図(オルソ画像)や地理空間情報プラットフォームのデータの閲覧が迅速に行えるように、電子国土Webシステムの機能の強化を図る。

・ 電子国土基本図のデータのインターネットからのダウンロードや紙地図での刊行を実現する。

・ 国の機関や地方公共団体が整備する法定図書等に含まれる地理空間情報の共用や重ね合わせが容易に可能となるように、基盤地図情報を活用した地理空間情報の位置的整合を図る手法の確立を図るとともに、モデル地区において手法の検証を行う。

 

(3) 新世代位置情報基盤の実現に向けた環境整備

・ 衛星測位やICタグ等による様々な位置情報サービスの拡大が予想されることから、それぞれのサービスが共通に利用できる位置情報を含むucodeの標準化を図るなど、これらのサービスを基準点等とともに容易かつシームレスに活用できるような次の世代の位置情報基盤を実現するための環境整備及びその普及を進める。

 

(4) 地理識別子の活用推進

・ 地理空間情報の活用を図るためには、それぞれの地理空間情報の名称の有無や重複にかかわらず、コンピュータによって一意に地物を識別するためのコードである地理識別子が重要であることから、その整備や標準化を進め、活用・普及を図る。

 

(5) 地理空間情報を活用できる人材の育成

・ 地理空間情報の活用を推進するには、学術分野や産業界はもちろん、地方を含めた行政の分野でも業務の効率化やサービスの向上に地理空間情報を役立てていくことが重要であるため、地理空間情報の活用に習熟した人材の育成を進め、測量技術者資格制度の見直しを推進する。

暮らしやすく活力ある社会を実現するための地理空間情報の活用推進


 地理空間情報の整備や活用に関しては、国際分野においても地球規模のデータ整備、国際標準の策定、国際共同観測の実施など、我が国の国益に係る取組が行われており、これらの取組に我が国を代表して積極的に参加するとともに、これまでの我が国の経験や技術を活かして国際的な取組においてリーダーシップを発揮し、国際連携の推進に貢献していくことは、我が国の地理空間情報の整備・活用のみならず、技術先進国としての国際的な責務を果たす意味でも重要である。

 そこで、我が国が先導的に取り組んできた地球地図プロジェクトや、設置当初から主要メンバーとして取り組んできたISO/TC211において積極的にリーダーシップを発揮するとともに、地殻変動の大きな我が国の測地基準系を高精度で維持するためのVLBIやGNSSの国際共同観測に積極的に参画する。特に、アジア太平洋地域において、宇宙測地技術等を活用した地殻変動監視体制を関係各国との協働により構築し、プレート運動、地震・火山噴火等にともなう地殻変動を把握する。また、このような国際的な連携が我が国の地理空間情報の整備や活用にも有用であることを踏まえ、海外の国家測量・地図作成機関との交流を深め、互いの経験や技術的蓄積を共有することにより、新技術や異分野との連携が加速する地理空間情報分野において、国内での取組を先導するのはもちろんのこと、国際的な取組においてもリーダーシップを発揮していく。

 

(平成22年度に推進する施策)

(1) 地球地図プロジェクトの推進やISO/TC211におけるリーダーシップの発揮

・ 我が国が先導的に取り組んできた地球地図プロジェクトや設置当初から主要メンバーとして取り組んできた地理情報の国際標準化に向けた枠組みであるISO/TC211について、我が国のこれまでの経験や技術を活かしつつ、積極的にリーダーシップを発揮しながらその推進を図る。

・ 開発途上国における地球地図データの円滑な更新及び品質向上を図るため、品質管理のためのプログラム等を作成する。

 

(2) VLBI、GNSS等の国際共同観測への積極的な参画と推進

・ 地球上における我が国の位置を正確に定めるには、VLBIやGNSSをはじめとした宇宙測地技術を活用した国際的な共同観測が不可欠であるため、これまでの技術的蓄積を踏まえつつ積極的に参画するとともに、先導的役割も果たしていく。特に、PCGIAP(アジア太平洋GIS基盤常置委員会)のアジア太平洋地域測地観測プロジェクトにおいて、GPS観測網の確立、地殻変動監視、並びに測地基準座標系の構築に向けた取組を積極的に推進する。

 

(3) 海外(アジア太平洋地域)の国家測量

・地図作成機関との緊密なネットワークの構築

・ 測量・地図作成の分野では衛星測位や地理空間情報の活用をはじめとした新しい技術や異分野との連携の必要性が急速に高まっており、諸外国の国家測量・地図作成機関の取組や経験は、我が国においても有用であるとともに、我が国の経験を海外でも役立てることができるため、国家測量・地図作成機関との国際的ネットワークの構築をアジア太平洋地域において重点的に進める。

国際連携におけるリーダーシップの発揮


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