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樹木の繁茂が座標変化に影響した例(境の事例)

 2015年5~9月頃の日々の座標値に異常が見られた電子基準点「境」(020956)の事例を示します。

日々の座標値に見られる座標変化の特徴

 まず、日々の座標値の時系列データから地殻変動ベクトル図を描きます(図1)。ここでは、各電子基準点について、9月1日から9月7日までの座標値の平均と10月1日から10月7日までの座標の平均の差を1ヶ月間の地殻変動として、電子基準点「荘川」(岐阜県)を固定して表示しています。すると、電子基準点「境」は周辺の観測点と比べ、座標変化量が大きいことが分かります。ここで、1日分のデータだけでなく1週間の座標値の平均を使うのは、数日間の時間スケールで変化する気象の変化などによる誤差の影響を軽減するためです。

変動ベクトル図
図1 2015年9月から10月の1ヶ月の変動ベクトル図(固定局:荘川)

 さらに、電子基準点「境」の座標変化の傾向を詳細に把握するため、基線変化グラフ(図2)を確認したところ、南北成分が2015年5月頃から北側に、2015年9月頃から南側に変化していたことが分かります。また、2014年の同時期にも規模は小さいですが同様の変化が見られていることも分かりました。このような現象が特に夏頃に見られる場合、樹木の繁茂の影響が疑われます。

基線変化グラフ
図2 電子基準点境の時系列図(左:6ヶ月間、右:3年間)

観測点の周囲の状況の確認

 上空写真、周辺写真、マルチパス指標のスカイプロット(図3)を確認したところ、南側の樹木が電子基準点の高さ以上に生長していることが分かりました。

上空写真およびスカイプロット
周辺写真
図3 電子基準点「境」の上空写真(右上)、周辺写真(下)、スカイプロット(左上)

結論

 上記のことから、電子基準点「境」の座標値の変化は、南側の樹木が生長し2015年5月から9月頃の葉が生い茂る時期にGPSの信号に影響を与えたことが原因と判断されます。
 国土地理院では電子基準点「境」において、2015年11月21日に電子基準点近傍の樹木について枝払いを実施することにより、観測環境の改善を図りました(図4上)。その結果、2016年の同時期には、2015年に見られたような座標値の変化が見られなくなりました(図4下)。

枝払い後の写真

枝払い前後の時系列図
図4 電子基準点「境」の枝払い後の写真(上)、枝払い前後の時系列図(1年6ヶ月間)(下)

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