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地下水の汲み上げが上下変動に影響した例

茨城県つくば市周辺の事例

1.毎年春から夏にかけて日々の座標値(高さ)に異常が見られる電子基準点「阿見」(960584)、「つくば1」(92110)、「石下」(960583)、「三和」(93003)の事例を示します。

季節による高さの変化

 電子基準点「阿見」周辺の日々の座標値の変化の傾向を把握するため、基線変化グラフを確認したところ、2016年5月以降、沈降が見られることが分かります。また、それ以前の変化を見ると、毎年5月頃から8月頃にかけて沈降し(図1の赤枠)、9月頃から翌年の春にかけてゆっくり隆起するという季節的な変化をしていることも分かりました。

阿見周辺の時系列図
図1 電子基準点「阿見」、「つくば1」、「石下」、「三和」の時系列図(2012年1月から2016年7月まで)【固定点:「岩瀬」】

周辺地域の地盤の変動に関する知見

 この地域では、毎年春から夏にかけて農業用水(主に水田灌漑用水)としての地下水の汲み上げが行われており、この地下水位の変化に伴う高さ方向の変化があることが知られています。
参考文献 飛田ほか(2004):つくば市周辺の地下水位と地盤の季節変動、測地学会誌、第50巻、第1号、pp. 27-37

 また、最近の農林水産省の農業用地下水利用実態調査によれば、これらの電子基準点周辺の常陸台地は、引き続き地下水利用量の多い地域とされています。
参考文献 農林水産省(2011):農業用地下水の利用実態-第5回農業用地下水利用実態調査の概要-、平成23年8月 [PDF形式:884KB]

結論

 上記のことから、電子基準点「阿見」周辺の日々の座標値(高さ)の変化は、毎年春から夏にかけての地下水の汲み上げが地盤の上下変動に影響を与えていることが原因と判断されます。

新潟県小千谷市の事例

2.毎年冬から春にかけて日々の座標値(高さ)に異常が見られる電子基準点「小千谷」(950240)の事例を示します。

季節による高さの変化

 電子基準点「小千谷」周辺の日々の座標値の変化の傾向を把握するため、周辺の電子基準点「栃尾」、「松之山」と「小千谷」の間の基線変化グラフの高さ成分を確認したところ、「栃尾」と「松之山」の間の基線の上下成分では特段の変化が見られないのに対して、2015年12月以降、「小千谷」では沈降が見られることが分かります。また、それ以前では、毎年12月頃から2月頃にかけて沈降する一方(図2の赤枠)、3月頃から5月頃にかけて隆起し、その後も11月頃までゆるやかに隆起が継続するという季節的な変化をしていることも分かりました。

小千谷周辺の時系列図
図2 電子基準点「小千谷」、「栃尾」、「松之山」の時系列図(2011年7月から2016年7月まで)

周辺地域の地盤の変動に関する知見

 この地域では、毎年冬に消雪パイプによって地下水を路面に散布するという融雪を目的とした地下水の汲み上げが行われており、この地下水位の変化に伴う高さ方向の変化があることが知られています。なお、汲み上げによって低下した地下水位は、翌年の春には元に戻っています。
(参考文献 Sato et.al.(2003):GPS-measured land subsidence in Ojiya City, Niigata Prefecture, Japan. Engineering Geology 67, 379-390)

結論

 上記のことから、電子基準点「小千谷」の日々の座標値(高さ)の変化は、毎年冬の地下水の汲み上げが地盤の上下変動に影響を与えていることが原因と判断されます。

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