アンテナレドームへの着雪が座標値の変化に影響した例

秋田県横手市周辺の事例

着雪による座標値の変化

 2017年1月、電子基準点「横手」(950190)の日々の座標値(南北成分と高さ)に図1に示すような異常が見られました。
電子基準点「横手」の座標変化グラフ
図1 電子基準点「横手」の時系列図(2017年1月)

 電子基準点「横手」では、1月13日から16日頃に、南に約2cm、高さが約3cm下がる変化が見られました。
 大雪の際に、アンテナレドームへの着雪による伝播遅延が原因と考えられる座標値の跳び(実際の変動を伴わない見かけの座標値の変化)が発生することがあります(参考文献 今給黎ほか(2014):降雪がGEONET測位解に及ぼす影響について、日本測地学会第122回講演会講演要旨)。
 電子基準点「横手」から約900m離れたところに気象庁のアメダス観測点「横手」が設置されており、気温や積雪深などの気象観測が行われています。アメダスの観測結果によれば、図2に示すように、1月11日頃から積雪深が増え始め、13日までの2日間に約60cm大きくなりました。同じ時期に気温も低下しており、16日頃まで連続して氷点下であったことが分かります。
アメダス「横手」の観測データ
図2 アメダス「横手」の観測データ(上:積雪深、中:気温、下:日照時間)(2017年1月)

結論

 上記のことから、電子基準点「横手」では、大雪により1月13日頃から16日頃にかけてアンテナレドームに着雪したため、見かけの座標値の変化が生じ、気温の上昇または日射によって、着雪した雪が解けた、またはすべり落ちたことで座標値が元に戻ったと判断されます。