航空レーザ測量の仕組み

航空レーザ測量
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1.航空レーザ測量の仕組み

航空レーザ測量の計測イメージの画像
航空レーザ測量の計測イメージ
 
 上の画像のように、航空レーザ測量は「レーザ測距・GNSS・IMU」という3つの技術の合体から実現しています。

(1)レーザ測距装置は、レーザ光を発射して地表から反射して戻ってくる時間差を調べて距離を決定する装置です。図のように進行方向に対し横方向にスキャンさせて高さを調べるので、「レーザスキャナ」とも呼ばれます。飛行高度2000mでスキャン角度が左右の合計20度で計測する場合、地上を幅約700mで一度に測ることができます。また、レーザ光を1秒間に50,000~100,000回発射が可能になっており、地表で50~60cm間隔、またはそれ以下の間隔でも計測が可能になっています。ただし、レーザ計測点の配置はランダムであり、計測点のレーザスポットは点ではなく円形です。この円の大きさは計測高度1,000mで直径が約30cm、計測高度2,000mで約60cmになります。 なお、航空レーザ測距装置にはカメラがついているため地表の画像も同時に取得することが可能になっています。

(2)GNSS受信機は、航空機の位置(x,y,z)を知るための装置です。一般に地上の電子基準点を利用することにより「連続キネマティック測量」を実現し、地上の測量と同様に高精度な位置測定を可能にしています。

(3)IMU(慣性計測装置)は、いわゆるジャイロを改良したもので、飛行機の姿勢や加速度を測ることができます。この測定値によりレーザ光の発射された方向を正しく補正することが可能になります。  

 これら、「レーザ測距・GNSS・IMU」の3つの技術で、地表まで達したレーザ光(「レーザ計測点」という)の位置(x,y)と高さ(z)を正確に算出することが可能となります。レーザ計測点の高さは1cm単位で記録されますが、高さの精度は±15cm程度です。なお、水平方向の位置精度は、高さの精度に比べて劣りますが、概ね1m程度となります。

2.レーザ光から得られるデータ

航空写真上のレーザ計測点の画像
 航空写真上のレーザ計測点

 上の画像は、「フット・プリント」などと呼ばれ、航空写真上にレーザ計測点の位置を赤で示したものです。
 このフット・プリントをよく見ると、赤のレーザ計測点の少ない部分(画像の左下)を見つけることができます。この部分は青い屋根のようです。航空レーザ測量に使われるレーザ光は、このような青や黒い部分が苦手で、反射して戻ってこない場合があるのです。このような状況を「欠測」と呼んでいます。
 この他、航空レーザ測量のレーザ光が苦手なものには、静水面があります。しかし、少しでも波があればレーザ光は戻ってくる場合が多いようです。
 もう少し詳しく、レーザ計測で得られるデータについて説明しましょう。
レーザ光の模式図
レーザ光の樹木や地表面での反射の様子

 上の模式図を見て下さい。レーザ光は、樹木や地表面で反射します。レーザスポットは点ではなく円形の面で、樹冠にあたって反射するだけでなく色々なところで反射し最後に地表で反射します。受信した反射信号の波形を模式図に示しました。樹木等の最初に反射してくる光をファーストパルス、地表面で最後に反射するものをラストパルス、その間で反射するものをアザーパルスといい、それぞれの高さを検出できます。ただし、照葉樹のように葉が密に茂るところでは、レーザ光が地上にまで達しないことがあります。この場合は地面の高さのデータは得られません。

3.DSMとDEM

 航空レーザ測量のレーザ光は、上のフット・プリントにでも見られるように地面ばかりでなく、建物や樹木の上で反射して戻ってきます。このため、航空レーザ測量で直接得られる高さのデータは、建物や樹木の高さを含んでいます。このような高さのデータよりグリッド化した地表モデルを数値表層モデル、通称DSM(Digital Surface Model)といいます。
 これに対して、一般の地図のように地表の高さを示したい場合は、これらの建物や樹木の高さを取り除くことが必要です。この建物や樹木の高さを取り除く作業を「フィルタリング」と呼んでいます。フィルタリングを行って得た地表面だけの高さのデータからグリッド化した地表モデルを数値標高モデル、通称DEM(Digital Elevation Model)といいます。
 下の画像のようにDSM(画像左)やDEM(画像右)を陰影段彩図として表現すると真上から見た図でも立体的に見ることができます。陰影段彩図は高さのデータに対し、高いところを赤、低いところを青として、その間を橙、黄、黄緑、緑、青緑と連続的に表現し、さらに影をつけたものです。
 
DSM及びDEMの陰影段彩図
DSM画像                         DEM画像
 
DSM及びDEMのイメージ
DSMイメージ                                DEMイメージ