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2003年5月26日宮城県沖の地震に伴う崩壊等地形変動調査について

 国土地理院では、2003年5月26日に発生した宮城県沖を震源とする地震に伴う崩壊等地形変動調査を5月28日~29日に実施しました。
 今回の調査は、災害地域における被災状況と地形との関係を明らかにするとともに、調査結果が今後の災害対策に活かされることを目的としています。
 調査を行った場所は、斜面崩壊が発生した宮城県築館町、新幹線の橋脚が損傷した岩手県石鳥谷町、液状化が発生した岩手県大船渡市、落石が発生した宮城県気仙沼市および石巻市の5ヶ所です(図1 現地調査実施地区の一覧図)。

1.宮城県築館町の斜面崩壊(高速土砂流動)

 築館町役場より西へ約750mの館下地区で幅約40m、長さ約200mに渡り土砂が道路下の水田まで達する斜面崩壊が発生した。
 地質は火砕流堆積物から成り、昭和45年に谷を埋めて同質の盛土がなされた。源頭部の直上には古い地すべり状の崖(比高70cm)が幅約20mに渡って観察された。今回の斜面崩壊は地下水を含む緩やかな傾斜地で、地震動で盛土の地盤内に液状化が生じ高速土砂流動を起こした可能性がある(図2:現地調査実施の位置図図3:斜面崩壊の現地写真、空中写真図4:斜面崩壊区域の地形と地質)。

2.岩手県石鳥谷町の新幹線橋脚損傷

 東北新幹線盛岡~水沢江刺間で、石鳥谷町市街から南南東に約5kmの大明神地区の調査を行った。地形図や空中写真によると東から流れる稗貫川の緩扇状地が段丘化し4段に分かれている。被災現場は、この中の最も高い部分にあたるため、沖積層などの軟弱地盤による被害ではなく、別の要因による可能性がある(図5:現地調査実施の位置図図6:新幹線橋脚損傷の現地写真、地形分類図)。

3.岩手県大船渡港岸壁の液状化

 大船渡駅より南東約500mの大船渡港野々田埠頭で、岸壁周辺の液状化による地形変動調査を行った。野々田埠頭は昭和63年と平成元年の2回に分けて海側に岸壁が建設された。今回の災害では、この埋立ての継ぎ目部分で約8cmの開口が生じた。また、その部分から礫(最大礫径約10cm)混じりの噴砂がみられた。これらの砂礫は、岸壁の建設時に埋立てに使用したものが噴出したと考えられる。また、西側の埋立中心部が沈下し、東側との段差(7~23cm)が確認された(図7:現地調査実施の位置図図8:大船渡港における被害地と海岸線の変化図9:大船渡港岸壁の液状化の現地写真)。

4.宮城県気仙沼市の落石

 気仙沼市魚浜町気仙沼港の海岸から約200m西方の崖で落石が発生した。一部吹き付けなどの落石防止対策がなされていたが、それ以外では対策工はなく、高さ約18mの崖の上部から巨岩が落下した。地質は石灰岩で崖下には最大縦約1.5m、横2.5mの落石があった。崖面にはまだ多くの割れ目が入った岩盤がみられ、落石の可能性がある(図10:現地調査実施の位置図図11:落石現場の現地写真)。

5.宮城県石巻市の落石

 石巻市牧山トンネル出口から約300m東にあるアパートの裏の約30mの高さの崖で落石が発生した。崖には右側3分の1程度に落石防止のネットが覆われていた。また、ネット間には約1mの隙間があった。今回の落石はネットを破ったものやネットの隙間から落ちたものと考えられる。地質は中生代の頁(けつ)岩、砂岩、粘板岩で、崖下からの観察では高さ約30mの崖で5つの層に分かれ、頁岩層には板状節理が生じたり浮石が見られた。今後も落石の可能性がある(図12:現地調査実施の位置図図13:落石現場の現地写真)。

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