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平成21年度国土地理院重点施策

- 高度な地理空間情報社会の実現を目指して -

 社会全体の基盤が、従来型のハードウエアによるものだけではなく、「情報」を主体とするソフトウエアによるものと統合して形成されるようになってきている。その情報の中で、地理空間情報*は、あらゆる社会基盤に関わり、すべての基礎となるばかりか、課題解決のカギを担うものとなっている。

 社会経済のグローバル化による世界的な競争の激化、少子高齢化の進展、防災や海洋保全をはじめとした国土管理のさらなる課題、地球温暖化等の環境・エネルギー問題の深刻化等、我が国が直面している厳しい課題の解決のために、様々な活動分野において重要な役割を果たす地理空間情報は、社会全体の情報化や行政の効率化が求められる中で、その重要性と活用の可能性が一層高まっている。

 とりわけ、近年の情報通信技術の発達・普及、測量法の改正、地理空間情報活用推進基本法の制定及び同基本計画の決定、さらには海洋基本法や宇宙基本法の制定を背景に、地理空間情報は、今後急速に社会全体に普及・浸透し活用されていくであろう。これにより、住みやすい国土の形成が進むと同時に、国民誰もが、いつでも・どこでも国土や身の回りの場所についての情報を容易に知り、最大限活用できる「高度な地理空間情報社会」が実現すると考えられる。この実現のためには、国民の誰もが容易に安心して地理空間情報を活用できるための包括的な連携・管理など、地理空間情報に関する国家的な仕組みづくりと新商品・新サービスの開発等に繋がる新たな視点からの発想が必要になる。

 一方、国家の存立には、「国土」「国民」「統治機構」の三つの要素が不可欠であり、地理空間情報は「国土」そのものの姿でもある。この「国土」について、その範囲(領土)を地理空間情報により明示し、それを用いて適切な管理、安全の確保、危機管理、災害対策等を実施することは、国が責任を持って取り組むべき根源的役割である。

 国土地理院は、我が国の測量・地図に係る唯一の国家行政機関として、測量法を所管するとともに、基本的な地理空間情報を一元的かつ国際的連携の下で整備・管理し、情報インフラとして社会全体に提供する重大な使命を強く認識し、国民の生命と財産を守るための責務を果たしていく。

 また、地理空間情報に係る国民ニーズや近年の社会情勢の変化、基盤地図情報*の整備など、新たな基本測量*の実施とこれに伴う基本測量全体の構成の見直し等に対応した新基本測量長期計画の策定を進めており、国全体の地理空間情報の整備とその活用を我が国のリーダーとして進めていく。

 特に、平成21年度重点施策は、この新基本測量長期計画の「初年度」と位置付けて、産学官との連携の下において国土地理院の総力を挙げ、以下の事項を重点的に推進する。
 地理空間情報活用推進基本法の施行及び同基本計画の決定を受け、地理情報システム(GIS)*と衛星測位等の活用を通じて、誰もが、いつでも・どこでも必要な地理空間情報を、測位から導かれる情報と併せて、その場で入手し行動できる「地理空間情報社会」の実現を目指し、電子地図上における位置の基準となる基盤地図情報の整備及び流通をさらに推進する。

 一方、我が国の国土は、地震、津波、暴風、豪雨、地すべり、洪水、高潮、火山噴火、豪雪など極めて多種の自然災害が発生しやすい自然環境下に位置し、「安全・安心な社会」の構築のためには、災害時に国民が危険を回避するための情報を迅速に提供することが必要である。そのため、いかなる情報がどのような形であれば最大限に活用されうるのかをユーザーの視点から十分に考慮した上で、全国に展開した電子基準点*網によるGNSS*連続観測データ、陸域観測技術衛星「だいち」*によるSAR*データ及び光学画像、航空機による高精度デジタル空中写真*、保有する地図データや防災地理情報等を利活用し、離島を含む広範な国土の位置・形状の変化をはじめとする必要な地理空間情報を迅速に収集・整備・分析し、分かりやすく提供する。

(平成21年度に推進する施策)
(1)電子地図上における位置の基準となる基盤地図情報等の整備と提供
  • 都市計画区域における縮尺レベル2500の基盤地図情報を早期に整備し、整備を完了した地域から順次電子国土Webシステム*による閲覧、インターネット提供を行う

  • 国・地方公共団体との連携による基盤地図情報の整備・利用・更新の基本的サイクルが確立されるよう、地方測量部等における公共測量*行政の推進、基盤地図情報の技術基準等を踏まえた地方公共団体への技術的支援を行う

  • 地理空間情報を支える基準点の高精度化を実現するため、地殻変動に起因する誤差を減少させるセミ・ダイナミック補正*を導入し、公共測量での実用化を図る


(2)国土管理に不可欠な国土の基礎的情報の整備
  • 新たな基本図体系に基づき、国土地形基盤*として基本図データを整備し、国土画像基盤*としてデジタルオルソ画像*を整備する。また、小縮尺図の基準となる地図データベースを整備する

  • 我が国領土の外縁等に位置する離島の国家基準点を整備する

  • 航空機を用いた空中写真の撮影が困難な地域において、人工衛星画像を用いた基本図の整備に着手する

  • 位置情報の核となる次世代の衛星測位システム(GNSS)に対応した電子基準点の計画的な更新を行う

  • GPS連続観測システム(GEONET)*について、地殻変動情報を速やかに提供するため、準リアルタイム解析ができるプロトタイプのシステム開発を行う。また、火山変動地域の詳細な地殻変動情報を取得するため、国内他機関の所有するGPS*観測網との統合解析を実施する

  • 位置の基準となるものを、その形状や測位原理にとらわれず一般化した測量・測位に関わる位置情報基盤を整備し、それに基づく次世代基準点体系を検討する


(3)安全・安心の確保のため地理空間情報を迅速に提供
  • 民間団体と連携した災害時の緊急観測及び情報収集、航空機の更新、観測機器の高度化等により、被災地域の情報を迅速に収集する体制を強化する

  • 空中写真の撮影、災害概況図*及び災害対策用図*等の迅速な作成・提供により、被災自治体等の災害対応を支援する

  • デジタル標高地形図*、都市圏活断層図*、土地条件図*等の防災地理情報の確実な整備と迅速な提供により、防災・減災活動を支援する

  • 詳細で分かりやすい防災情報を提供するため、国内すべてのGPS観測網の統合解析等の地殻変動解析技術及びその表現方法の高度化を行う

  • 地理空間情報の多様な利用目的、伝達のしやすさ等の利便性にも配慮し、電子ペーパー*等新たな媒体による提供方法を検討する

国土の管理、危機管理、災害対応等を通じた安全・安心な社会づくり


PDF:374KB

 我が国を巡る環境は、本格的な人口減少及び高齢化社会の到来、経済のグローバル化の進展による競争の激化など、大きく変化している。現在の高度情報通信ネットワーク社会は、情報と知識が付加価値の源泉であり、多種多様な情報と知識の蓄積・活用によって社会の高度化と経済の発展が促進されるものである。これにより、豊かな国民生活が実現し、また、社会活動・産業活動における経営・管理のさらなる合理化・適正化が実現していくものである。

 情報資源による国民生活の向上や地域の活性化は、適切な秩序を確保することによってもたらされ、国土の情報である地理空間情報の整備・流通はもとより、その活用においても、それぞれの目的に応じて必要となる基本的なルールづくりは国の役割である。

 国土地理院は、測量法及び地理空間情報活用推進基本法に基づいて必要となる基準・規格・規程等について、国際規格等に連動して策定するとともに、技術的な指導・助言を行い国内に普及させる。

 また、地理空間情報の活用を担う人材の育成、基盤地図情報や公共測量成果を入手できるワンストップサービス*の推進、複製・使用承認の迅速化、電子国土Webシステムを活用した国土交通地理空間情報プラットフォーム*の構築等により、地理空間情報の流通及び活用の中核を担うとともに、地理空間情報に関連する技術研究開発を産学官の連携により実施し、その成果を自らの施策に反映させるとともに、国内に普及させる。

(平成21年度に推進する施策)
(1)地理空間情報の活用を加速する仕組みの整備
  • 全国の地方測量部等を中心に、地域に密着した産学官の連携強化を図り、広く関係者・有識者と連携した連絡会議を発足させ、位置の基準となる基盤地図情報の流通・活用を促進するための行動計画を立案する

  • 地理空間情報のうち、特に地図や空中写真等の内容について、個人情報保護及びデータの二次利用などの知的財産権等の取扱いに関するガイドラインの作成、並びに国の安全に関する調査・検討を実施する

  • 国・地方公共団体や民間と連携し、空中写真、衛星画像等によるリアルタイム更新(変化後数ヶ月)を推進するとともに、電子国土を活用した変化情報を収集する仕組みを構築する

  • 地理空間情報の品質確保等を図るため、測量技術者に要求される資質・技能等を踏まえ、測量資格制度について必要な制度改正を検討する

  • 公共測量成果の複製・使用承認のワンストップサービスを円滑に実現させるため、申請方法の見直しなど効率化に向けた改善を行う


(2)地理空間情報の活用を推進するための技術研究開発とその普及
  • 測量の効率化、高精度化を目的に、衛星測位に含まれる誤差要因を補正する情報を生成し配信する技術を開発する

  • 異なる主体により整備されたデータが相互利用できるよう、国際規格と連動した国内規格である地理情報標準の更新とセミナーの開催等による普及啓発を図る

  • 公共測量の一層の効率化を推進するため、測量新技術の迅速な活用と公共測量における作業規程の準則*の円滑な運用を推進する

  • 地域経済を支える産業の活性化を目的に、電子国土Webシステムを活用した地方公共団体における施設情報、環境、観光等の情報発信を技術的に支援する

  • 電子国土Webシステムの操作性、表示等の機能を拡充し、それを活用した国土交通地理空間情報プラットフォームの本格運用に取組む

  • 次世代を担う人材への地理教育を引き続き積極的に推進するため、全国児童生徒地図優秀作品展の開催、教職員への地理講座や体験型出前講座の開催等、学校教育との連携を推進する

国民生活の向上、地域活性化に向けた地理空間情報の活用の推進


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 基盤的な地理空間情報等の整備・活用における国際的な取組において先導的役割を果たすとともに、国際連合、国際標準化機構(ISO)等の会議の場において国を代表した活動を行う。

 特に、日本の産業はGPS、GISのカーナビゲーションや建設重機管理への利用等、先端技術の民生利用を得意としており、地理空間情報を活用したビジネスが国際市場の開拓に繋がることも期待できる。地理空間情報が、国内での活用に留まらず、諸外国での活用とも整合すべき性格のものであることを踏まえ、地理空間情報に関する標準化や国際共同観測をはじめとした国際的取組や海外の関係機関との連携・協働に対して、引き続き積極的に参加し、リーダーシップを発揮していく。

 また、平成19年度に完成した全球陸域を対象とする地球環境に係る植生、土地被覆等のデータセットである地球地図*第1版について、誰もが容易に利用できる環境を整備するとともに、地球地図プロジェクトを積極的にアピールすることなどを通じて、地球環境問題の解明等への利活用を一層推進する。

 さらに、VLBI*、GPS、地球観測衛星などの宇宙技術を駆使した国際社会への貢献として、地球規模の防災・環境問題の解決のための監視、解析、情報提供を積極的に推進する。

(平成21年度に推進する施策)
(1)国際協働を先導的に推進
  • 国際協働の基本が人と人との繋がりであることに立ち返り、人的ネットワークを活用して測量・地図技術を活用した国際社会への貢献を行い、先進各国の国際協力に係る施策、技術動向の調査及び開発途上国へのニーズ調査等を実施する

  • 地球地図国際運営委員会(ISCGM)*事務局として、平成19年度に完成した地球地図第1版の利活用を推進し、平成24年度の完成を目標に地球地図第2版の整備を積極的に推進するため、地球地図ワークショップ*を開催する

  • 国連アジア太平洋地域地図会議(UNRCC-AP)*、アジア太平洋GIS基盤常置委員会(PCGIAP)*への積極的な参加を通して、国際的な地理空間情報活用推進の活動を行うとともに、アジア太平洋地域における地殻変動監視プロジェクトを推進する

  • アジア太平洋地域における自然災害発生時に、干渉SARを利用した現況把握・分析を行うとともに、我が国の国際貢献活動を支援するために、必要な地域については人工衛星画像による地理空間情報の整備を検討する


(2)地理空間情報の国際標準化
  • 国連地名標準化会議(UNCSGN)*における地名標準化活動、地理空間情報に係るISOの国際規格策定等の国際的なルールづくりへ積極的に参画する
  • 地球基準座標系の維持、GPS衛星の精密軌道決定等に資するため、国際VLBI事業(IVS)*、国際地球回転・基準系事業(IERS)*、及び国際GNSS事業(IGS)*へ積極的に参画する

技術力を活かした国際貢献の推進


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