最終更新日:2012年8月2日

G空間EXPO2012において開催された防災地理空間情報活用シンポジウムに関するアンケートによる質問及び回答

質問及び回答の内容について

以下は、シンポジウム終了後に、聴講していただいた皆様から会場アンケートによりお寄せいただいた質問に対し、講演者の方から回答していただいたものです。

五野井氏(東松島市)の講演に対する質問と回答

質問者の職業 質問内容 回答
測量・地図会社 災害時にGISなど情報共有が重要であるという事ですが、以下のことに対してどのような対応を行っていますか?また、考えていらっしゃいますか?
  1. 非常時の電気の確保について(24時間以内の復旧までの間)
  2. 地震でサーバーが壊れた場合
  3. インターネット回線などのインフラが無い場合(状況)
  1. 防災本部の非常用発電は約48時間稼働できましたが、市庁舎の停電が一週間となり燃料確保に苦慮しました。また、電源車配置(自衛隊、電力、NTT)による確保についても被災から5日間程度要しました。
  2. 基幹システムのサーバーラックの転倒はありませんでしたが、非常用電源から再起動は行いませんでした。データバックアップからスタンドアロ-ンパソコンにて震災対策本部で利用しました。
  3. 震災後2週間でウェブサーバーを再稼働させましたが、サブで衛星回線を利用させていただきました。
民間企業 今度の復興計画に対する展望及び希望、理想等ございましたらお聞かせください。 大規模な津波災害からの復興まちづくりを進めるにあたり、従来から対応した事業を進める指標では課題が多く発生しています。必要な目標を捉えながら柔軟に変化を生み出す思考ができれば良いと思います。
国・独法の職員(防災担当) 罹災証明を出すために使用した写真は何ですか?
国土地理院の航空写真使ったとしたら、その理由は何ですか?
保険会社は市が撮った写真を使いましたか?使ったとしたら、その理由と何を使いましたか?
罹災証明用の航空写真は国土地理院が被災直後撮影し作成した簡易オルソ画像を使用させていただきました。また、罹災証明の位置図や固定資産住宅図の建物1棟調査図等をGISで連携させ資料を作成しました。保険会社の写真を利用した報告はありませんでした。
津波の警報予報のために、現在、何を市として考えていますか? 都市防災計画を検討し作成中です。復興まちづくりに向け、今回津波を多重防御した浸水想定で説明会を行なっていますが、防災計画では最大津波の浸水想定を作成し住民に公表を予定しています。

佐野氏(十日町市)の講演に対する質問と回答

質問者の職業 質問内容 回答
測量・地図会社 災害時にGISなど情報共有が重要であるという事ですが、以下のことに対してどのような対応を行っていますか?また、考えていらっしゃいますか?
  1. 非常時の電気の確保について(24時間以内の復旧までの間)
  2. 地震でサーバーが壊れた場合る
  3. インターネット回線などのインフラが無い場合(状況)
  1. 本庁、各支所には自家発を整備し、通常4時間以上連続運転を確保しました(連続補給運転可能 300リットルは常時保有、災害時優先納入を確保)。各サーバに個々のUPSを設置のほか、ネットワーク全体用に大規模UPS設置し、さらに外部200V直接引き込み端子を設置しました。(本庁のみ)
  2. サーバ設置施設などは免震構造にしており、ラックはすべてアンカー止めし、サーバ自身が地震によって使えない状況にはなりませんでした。
  3. 光ケーブル自体は電柱が倒れたとしても通信不能にはなりませんでした。
  •  本庁支所間は自前の地域イントラネット網でループ状に1GBで冗長化を実施
  •  ネットワーク機器も電源部までは冗長化を実施
  •  約100か所の出先機関までは自前の光ケーブルで100MBで支所からスター上に接続
  •  庁内はすべてIP電話、IPPBX可により行政機関内では、輻輳しない連絡網を確保
ただし、災害現場では携帯電話が輻輳して使えなくなったので、NTTdocomo等に依頼し、衛星携帯とGPS携帯を災害の度に借り受けています。
また、中越地震時には総務省より災害臨時FM局の設置許可を得、住民への伝達方法確保に努め、現在はそのFM局が民営化しており、災害協定により緊急割込み放送をイントラ網でFM局に実施できるように整備しています。
全世帯にはFM緊急告知ラジオを配布し、災害時には自動起動し、市からの情報等強制的に送ることができるよう整備済みです。
現在、イントラ内のテレビ会議システムを、iPhoneに対応できるように準備中であり、WiFi環境に限定されますが、現場からテレビ会議システムに参加できるようになる予定です。
地方公共団体
職員
統合型GISについて、国土地理院の地図はWebから引っ張ることができますか? 市民公開用GISを使えば、航空写真、共用地形図はWeb(インターネット)上で利用が可能です。
測量・地図会社 十日町市でお使いの統合型GISは、どこの業者のシステムでしょうか? 新潟県にある(株)ナカノアイシステムの統合型GISを使っています。
国・独法の職員(防災担当) 災害時使用できない道路は、どのように調べましたか?
今後、どのような手段で、通行止めの道路を調べようとしていますか?
  • 災害時には、建設課の維持係を中心に市道関係をすぐに目視で確認します。
  • 国県道は県振興局から情報を受けます。
  • JRについては情報の提供を受けます。
  • 農道については農林課を中心に情報を集約ます。
  • 総務課を中心に各地域の市政事務嘱託員に電話をし、災害状況の聞き取りを行います。
これらの集約を災害対策本部で取りまとめます。
結果的には人の足で情報収集・確認するしかないと考えています。
積雪量について、今後どのくらいの深さ及び距離分解能があればよいか教えてください? 雪の場合は、積雪深では市内過去最高では6m程を記録しています。
また、雪の場合は単に積雪深というだけでなく、どんどん圧縮されるため、毎日降った雪の累計である「降雪深」が重要です。距離分解能の意味が良く解りませんが、積雪の分解能とすればcm単位で測定を実施しています。

林氏(神奈川県)の講演に対する質問と回答

質問者の職業 質問内容 回答
自営業 神奈川県のe-かなMapは、拡大すると自分の地先がよくわかるMapになったとのことですが、予想されているデータにそれだけの精度があるか担保できるのに、むやみに拡大するのは混乱を生むのではないですか?その点の解説は十分に行われているのか教えてください。
また、これらMapを示した時の受け手の反応はどうでしたか?
現在もPDFファイルにて津波浸水予測図を公表していますが、公表時から「拡大すると画像が荒く見にくい」、「浸水凡例が判別しにくい」などの意見があり、鮮明に見ることが可能な「e-かなマップ」を公表しました。その後、「e-かなマップ」は見やすくなった等の意見をいただいています。
また、津波浸水予測図の解説書も公表しており、「一つのシナリオを基に津波の浸水予測を行ったものであり、想定より大きな津波が来襲し、浸水範囲が大きくなる可能性があります。」等を記載し、実際の浸水域とは異なること等を説明しています。
国・独法の職員(防災担当) 津波の警報予報のために、現在、市として何を考えていますか? 津波警報が発表された場合には、沿岸付近にいる人が、自ら適切な避難等の行動をとることが最も重要です。このため、県及び沿岸市町は、津波ハザードマップ等の周知、徹底を図るとともに、津波警報が確実に伝達できるよう、防災行政無線など多様な手段による避難情報の提供に努めることとしています。

長谷川氏(国土地理院)の講演に対する質問と回答

質問者の職業 質問内容 回答
測量・地図会社 地理空間情報の利活用をもっとわかりやすく紹介してください。 災害に関する国土地理院の対応状況については、ホームページで紹介しており、地理空間情報の利活用の事例も紹介しております。また、関連学会・シンポジウム等でも利活用事例を紹介しておりますが、よりわかりやすい説明となるよう工夫していきます。
個人 自然災害、減災・防災に対して、行政や民間への公開地理情報の二次利用における基本的な方針を説明してください。 国土地理院では、私的に利用する場合、学校その他教育機関で利用する場合、学術論文に利用する場合等、無償で利用する場合については、自由な利用もしくは出典を明示しての利用を認めています。詳細は、測量成果の複製・使用の詳細フローをご覧ください。なお、国土地理院では、当面の間、東北地方太平洋沖地震災害に関連する測量成果については、出典を明示することで申請を省略して複製・使用することを許可しています。
個人 民間会社でありませんので、各種提供される地理空間情報について、無償化はできないでしょうか?
個人として利用するには、費用負担が大変です。
測量成果の公開については、測量法第28条2に「前項の規定により謄本又は抄本の交付の申請をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。」と規定されています。
利用に関する考え方については、 上記の回答をご覧ください。
民間企業 防災GISとして、国の機関、自治体(県レベル、市町村レベル)個々の領域で利活用のトライがなされているが、データ提供する地理院は活用事例の紹介しかしないし、自治体も熱心な自治体しか利活用していないなど国全体のレベルとして、実用されているとはいえない状況にある。今日の震災を契機として、今一度この国の都市計画、国土利用について、GISを活用した統合的な利用をすべきではないでしょうか? 平成24年3月27日に閣議決定された「地理空間情報活用推進基本計画」において、今後の地理空間情報の活用の推進に関する施策の具体的展開として、「利用者が常に多様で最新の地理空間情報を利用できることは、GISによる活用の前提であることから、国、地方公共団体及び民間事業者等は、自らが保有する情報の電子化を進めると共に、持続的な整備・更新に努め、これらの整備・更新に当たっては基盤地図情報を活用し地理空間情報と位置の整合がとれたものとする。」としており、地理空間情報の整備・更新・提供を促進しています。