最終更新日:2007年12月17日

伊豆大島火山航空レーザ測量データ(航空レーザ測量の概要)

伊豆大島火山航空レーザ測量データ

航空レーザ測量の概要

航空レーザ測量とは、航空機に搭載したレーザスキャナから地上にレーザ光を照射し、地上から反射するレーザ光との時間差より得られる地上までの距離と、GPS測量機、IMU(慣性計測装置)から得られる航空機の位置情報より、地上の標高や地形の形状を精密に調べる新しい測量方法です。この測量方法で得られる高さの精度は、15cm程度とされ、また水平位置精度は高さ精度より低いとされています。

航空レーザ測量の詳細については 別のページにおいて詳しく説明されていますので、そちらをご覧ください。

伊豆大島火山航空レーザ測量データの精度について

 伊豆大島火山航空レーザ測量データは、航空レーザ測量における所定の精度を満たしていると考えられます。しかし、データ作成方法の違いなどにより、他のデータと重ね合わせた際には標高などが一致しないことがあります。したがって、データ利用の際には、以下の精度検証の結果を参考にして、データの性質を理解したうえで適切な利用をしていただくようお願いします。

基準点を利用した精度検証結果

東京都の2級公共基準点と比較して、航空レーザ測量データの高さ精度を検証しました。5地点において、基準点を中心とした半径2mの範囲に到達したレーザパルスの標高と、公共基準点の標高を比較した結果、全ての地点において平均較差は15cm以内に収まっていることが確認できました。

 

 

火山基本図と航空レーザ測量データの比較結果

下の図は、火山基本図から作成された数値地図10mメッシュ(火山標高)の標高値を基準とした場合の、航空レーザ測量データの標高値との差を示したものです。青色は航空レーザ測量データの標高が低い部分、赤色は航空レーザ測量データの標高が高い部分です。山頂火口内を除く計測地域における標高差の検証結果は以下の通りです。

平均 -0.66m
標準偏差 1.88m
最少 11.53m
最大 -14.99m


標高差検証結果

 

  • 山頂火口内部では、標高差が大きくなっています。その標高差は、マイナス方向で最大-48.28m、プラス方向で最大+7.70mとなっています。山頂火口内部では、噴気などの影響により、計測の精度が低下している可能性があります。また、火山活動により地形が変化している可能性もあり、計測データを利用する際には、注意が必要だと考えられます。
  • 櫛形山東方では、マイナス方向で最大-12.52m、プラス方向で最大で+11.53mの大きな標高差が計測されました。これは、この領域に10mメッシュ(火山)標高に表現されていない小さな尾根と谷があることが原因と考えられます。しかし、10mメッシュ(火山)標高と航空レーザ測量データの取得時期が異なることから、この地域で地形の変化が生じていた可能性も考えられます。
  • カルデラ北西縁にあたる場所では、航空レーザ測量データの標高が低い領域(マイナス方向で最大-11.92m)が帯状に広がっています。この領域では、カルデラ縁が窪地となっていますが、この窪地が10mメッシュ(火山)標高で表現されていないことが大きな標高差の原因と考えられます。
  • 大島温泉ホテル周辺では、全体的に航空レーザ測量データの標高が低くなっていますが、これは、この領域が樹木で覆われており、地面の正確な高さが計測できないことが原因であると考えられます。

 

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