新規崩壊地における豪雨による崩壊についての解析事例

豪雨として扱った4つのケースについて、傾斜と崩壊地セルの面積率(同じ傾斜度を持つセルの中で崩壊した面積の割合)の対応を下図に示した(傾斜はすべて13x13(26m四方)の標高点を用いて計算した)。

傾斜毎の崩壊地セル面積率

豪雨による崩壊の場合は、傾斜が大きいほど崩壊は起こりやすくなるものの、35~45度を超えたあたりで頭打ちになる傾向が見られた。

次に、凹凸度と崩壊地セルの面積率の対比について下図に示した(凹凸度はすべて17x17(34m四方)の標高点を用いてLOGフィルタで計算(ラプラシアン)。平地・緩斜面(5x5の傾斜<5度とした)を除きグラフを作成)。

凹凸度毎の崩壊地セル面積率

図の通り凹の部分にピークが現れる分布となっており、凹凸度とも関連することが分かった。

崩壊地の位置と斜面型

上図は出雲崎の例であるが、豪雨による崩壊の場合は谷型(凹型)斜面に崩壊が現れていることが分かる。

 

一方、地質構造との関係は下図の通りであり、新規崩壊地では旧崩壊地近隣の崩壊と比較して、特定の地質構造(流れ盤・受け盤等の構造)に崩壊が集中する傾向は薄い。

このため、旧崩壊地と比較すれば同じ岩相内で地形条件が同じなら崩壊の発生はランダムと見なせると考える。

地質構造と新潟県出雲崎地区の2004年7月豪雨崩壊地:面積率

以上のことから、「地形条件のみを用いた機械的な分類による危険度評価が適当である。具体的には、正確な崩壊分布図と、最適ウィンドウサイズを用いた傾斜・凹凸度による崩壊地判別分析あるいはウィンドウサイズを固定した傾斜・凹凸度による危険度分類を行うとよい。地質構造は旧崩壊地の場合と違って余り影響していないと見られる」と整理した。