旧崩壊地における豪雨による崩壊についての解析事例

旧崩壊地のケースにおいても、傾斜が大きいほど崩壊が起こりやすくなることや、谷型斜面に崩壊が現れる点など、傾斜度や凹凸度との関連は、新規崩壊と類似の傾向が見られた。
 

 

一方、地質構造との関係は下図の通りであり、旧崩壊地近隣では新規崩壊と比較して、特定の地質構造(流れ盤・受け盤等の構造)に崩壊が集中する傾向は強い。

 

地質構造と新潟県出雲崎地区の2004年7月豪雨崩壊地:面積率

具体的には、[1]岩相に左右される(泥質な層で多い)、[2]地質構造に左右される(柾目盤で多い)、[3]半数は崩土の小規模な再崩壊であるが、旧崩壊地の上部の斜面が崩壊する場合は大規模な崩壊となる(特に柾目盤)、といった傾向がある。


 このため、流域ごとに旧崩壊地の分布・柾目盤等の分布を記したカルテが必要であると考える。
   

 

以上のことから、「地形条件のみを用いた機械的な分類による危険度評価が適当である。具体的には、正確な崩壊分布図と、最適ウィンドウサイズを用いた傾斜・凹凸度による崩壊地判別分析あるいはウィンドウサイズを固定した傾斜・凹凸度による危険度分類を行うとよい。また、これに加えて、地質構造(柾目盤等)が影響していると見られるため、危険度分類等に加えて地質構造データの作成を行うことが効果的である」と整理した。