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地理院ホーム  > 研究開発  > 地理地殻活動研究センター  > 硫黄島でのGPS観測作業中に発生したごく小規模な水蒸気爆発について 最終更新日:2004年6月16日

硫黄島でのGPS観測作業中に発生したごく小規模な水蒸気爆発について

矢来博司 (地殻変動研究室)・石川典彦・森 克浩(研究管理課)
YARAI Hiroshi(Crustal Deformation Research Div.), ISHIKAWA Norihiko, MORI Katsuhiro(Research Planning Div.)
硫黄島は,本州の南方約1200kmの太平洋上に浮かぶ火山島です.火山活動が非常に活発で,1889年以来,小規模な水蒸気爆発が15回以上も記録されています.最近では,2001年9月と10月に噴火が観測されています.地殻変動も非常に大きく,噴火直前の2001年8月からの1年間で島の東部が約1mも隆起しました.
国土地理院では,火山活動に伴って硫黄島の地下で現在起こっている現象について調べるため,GPSを用いて硫黄島の地殻変動を観測しています.
2004年6月3~9日にも観測を行いましたが,観測期間中の6月6日と8日に島の西岸近くにある阿蘇台陥没孔または鶯地獄と呼ばれる噴気孔でごく小規模な水蒸気爆発が発生しました.偶然にも最初の水蒸気爆発の前日(5日)に現地調査を行っており,水蒸気爆発による影響を調べるため2回目の爆発の後(8日午後)にも調査を行いましたので,ここに報告します.

水蒸気爆発前(6月5日)

陥没孔周辺に生えている草は緑色もしくは枯れて茶色をしていました.陥没孔からは盛んに蒸気が上がっており,底には青灰色の水が溜まっていました.蒸気は陥没孔の西側の壁にある噴気孔から噴出しており,時々蒸気に加えて湯があふれ出て陥没孔の底に流れ込んでいました.



水蒸気爆発後(6月8日午後)

陥没孔の縁から20m程度の範囲が灰色~青灰色の泥で覆われていました.いわゆる硫黄臭ではなく,刺激臭がまじった焦げ臭いような匂いが周辺に漂っていました.陥没孔の底はかなり深くなっていました.底に溜まっていた水の量は激減して茶色に変色し,蒸気が湧き出していました.





何が起こったか?

陥没孔の水面が大きく下がり,陥没孔周辺が泥で覆われたこと,水蒸気爆発後は陥没孔の底から盛んに水蒸気が噴出していたことから,水蒸気爆発の際に陥没孔の底に溜まっていた泥を含んだ水を噴き上げ,周辺に飛散させたと考えられます.泥で覆われた範囲が陥没孔の縁から20m程度であったことから,ごく小規模な水蒸気爆発であったといえます.
硫黄島で連続観測を行っているGPS観測点の観測結果では変化が見られなかったことから,今回の水蒸気爆発は陥没孔地下のごく浅い場所に原因があり,マグマの直接の関与はなかったと考えられます.

謝辞

調査にあたり,滞在や観測に際しての移動等について支援していただいた海上自衛隊硫黄島航空基地の皆様に感謝いたします.

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