最終更新日:2005年3月8日

2004年スマトラ島沖地震・インド洋津波 アンダマン諸島における地震・津波に伴う海岸変化

衛星レーダ画像(ENVISAT)によるアンダマン諸島の海岸線変化(隆起による離水)

アンダマン諸島の海岸線変化(隆起による離水)  ランドフォール島、ウェスト島、プライス岬ランドフォール島、
ウェスト島、
プライス岬
アンダマン諸島の海岸線変化(隆起による離水)  アンダマン諸島全体アンダマン諸島全体
アンダマン諸島の海岸線変化(隆起による離水) インタビュー島他インタビュー島他
アンダマン諸島の海岸線変化(隆起による離水) 北センチネル島北センチネル島
アンダマン諸島の海岸線変化(隆起による離水) 小アンダマン小アンダマン
それぞれの画像をクリックすると、より鮮明な画像が見られます。
海岸線付近の水色の部分は、隆起により礁(reef)が海面上に顔を出した場所です。

解説

図はENVISAT衛星が2004年6月3日(地震前)と2004年12月30日(地震後)に撮影したアンダマン諸島(インド)のデータから作成したレーダー反射強度変化を表す画像です。反射強度は、表面の粗度(滑らかさ)に依存します。例えば、水面の反射強度は小さく、画像上で黒く表されます。水色で示した部分は地震後に反射強度が増加した地域であり、アンダマン諸島の北部、西部、南部の海岸線に分布しています。地震の断層運動により生じた地盤の隆起を示しています。

 2004年スマトラ島沖地震に伴う隆起によって、珊瑚礁や砂浜が海面上に姿を現し、最大約1.6kmの離水海岸が形成されました。
レーダー画像は、このような海岸線の変化を、全体像として把握するのに適しています。

 海面や陸上で、赤または水色になっている場所が見られますが、波の高さや地表面の状況の変化により、反射面の滑らかさが変化したこと等に起因しています。今回のように、海岸線変化抽出が目的の場合には、海岸に着目し、反射強度の変化を調べます。
 シムルエ島の画像の場合には、海面は黒いのに、こちらの画像では黒くありません。このような違いは、レーダー電波の入射角と偏波に起因しています。入射角が小さいほど、海面からの反射強度は強くなります。また、偏波がHHよりもVVの方が海面からの反射強度が大きい性質があります。さらに、偏波が異なると反射強度の入射角依存量も変わるので、今回の状況では、東側海面は水色に、西側海面は赤色になっています。

画像中、赤及び水色の横縞が見えます。この場所は、それぞれのレーダー画像中のシーンのつなぎ目です。rawデータ中のシーン間にgapがあり、合成開口に必要な一部データが欠落しているため、強度が不足している部分です。このようなシーン間のデータ欠落はENVISAT特有の現象です。

レーダー画像諸元と潮位

ここで使用したレーダー画像は、ESAのENVISAT衛星搭載のASARセンサーが取得したものです。
解析処理は、スイスのgamma社のSAR解析処理ソフトウェアを用いて、国土地理院が行いました。
観測時刻 2004-06-03 03:45UTC 2004-12-30 03:45UTC
軌道方向 Descending
ビーム IS2
マイクロ波入射角 約23度(range依存)
マイクロ波周波数 5.33GHz(Cバンド)
マイクロ波波長 5.6235cm
偏波 VV HH
衛星高度 約786km
入手データレベル Signal Data (raw)
潮位@Port Blair 88cm 25cm

ウェスト島、プライス岬(北アンダマン島北端)のASTER画像

北センチネル島の詳細

画像1 北センチネル島画像2 北センチネル島北センチネル島の詳細はこちら 島が100~1600mも大きくなりました

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