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地理院ホーム  > 研究開発  > 地理地殻活動研究センター  > 談話会  > 地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2015年) 最終更新日:2015年11月27日

地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2015年)

1. 3次元地理空間情報の現状と近未来に関する考察
:中島 秀敏(地理地殻活動総括研究官)

測量技術と情報通信技術の進展は、現実社会における空間利用の階層化に対応する新たな3次元地理空間情報(3次元空間における測位情報と地図情報)を生みだしつつある。しかし、人間の空間認識力と3次元地図の間には考慮すべき壁が存在する。これらの現状を整理しつつ、いま必要とされている3次元地理空間情報と、近い将来に必要とされるであろう3次元地理空間情報について、技術と社会の両面から考察する。

2.2015 年ネパール地震と干渉SAR
:森下 遊(地殻変動研究室)

2015 年4 月25 日にネパールでMw7.8 の地震が発生し、多大な被害をもたらした。同地震に伴う地殻変動を計測するため、ALOS-2 データを利用してSAR 干渉解析を実施した。初期解析結果に含まれていた大きな長波長ノイズを補正する手法を考案し、ノイズを低減させることに成功した。解析結果から推定した震源断層モデルにおいて、浅部及び一部領域で滑り欠損の存在が確認された。海外他機関によって実施されたSentinel-1 の観測及び解析結果についても併せて紹介する。

日時: 平成27年12月4日(金) 15時15分~17時00分
場所: 国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.アウターライズ地震後に発生する重力の急上昇:melt-rich channel による粘弾性応答の可能性
:松尾 功二(宇宙測地研究室)

地震(断層運動)は,地殻・マントルを変形させると同時に重力場も変化させる.地震に伴う重力変化には,地震時に瞬時に発生する変化と,地震後に数十年に渡って緩やかに発生する変化があり, Mw8.3 を超える超巨大地震に関しては重力衛星GRACE によって検出可能である. 本研究では,これまで報告されていなかった2 件の検出例(2006-2007 年千島列島沖地震と2009 年サモア地震)について報告をする. これらの地震後重力変化は, 過去の検出例とは異なった特徴を示しており, その特徴は近年物理探査等で報告されているアウターライズ下の低粘性層の存在を示唆している可能性がある.

2.リモートセンシング技術を活用した地形・地盤分類規則の構築性
:中埜 貴元(地理情報解析研究室)

H25-27 年度特別研究「地震ハザードマップ作成のための土地の脆弱性情報の効率的整備に関する研究」では,揺れやすさマップや液状化ハザードマップに特化した地形・地盤分類とそのハザード評価基準を作成し,その分類をリモートセンシング技術を活用して効率的に行う手法を検討している.本発表では,DEM とマルチバンド衛星画像から算出した指標を用いて,既存の250m メッシュ微地形区分を50mメッシュ地形・地盤分類に細分するための分類規則の試作結果を紹介するとともに,現状の課題を報告する.

日時:  平成27年10月2日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.位相残差を用いたGNSSキネマティック解析の誤差低減の試み
:川元 智司(宇宙測地研究室)

GNSS キネマティック解析は、スタティック解析と比較して一度に使用可能なデータ数が少なくマルチパス誤差の影響を強く受ける。その影響を軽減するため、今回、(1)搬送波位相残差をスタックすることによる観測点固有の補正モデル(位相残差マップ)、(2)方位角毎に異なる仰角を用いた仰角マスク(方位角依存仰角マスク)のGNSS キネマティック解析への適用を試みた。その結果、都市部、山間部の観測点においてこれらの手法が誤差低減に有効であることが分かった。

2.3次元地図の整備について
:田中 宏明(地理情報解析研究室)

今年度開始された総プロ(略称)「3 次元総プロ」では、その一部として、複雑な都市空間を表現するために3 次元地図を整備・更新する仕様を定め、低コストでだれでも利用できる環境の構築を目指している。平成27 年度はその整備仕様を固めるために様々な状況を想定して、データーを試作し、課題を抽出する。その結果を「階層別屋内地理空間情報データー仕様書」に反映し、来年度以降の更新作業とともに標準仕様として使われるようにしたい。

日時:  平成27年9月4日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.東北地方太平洋沖地震後の余効変動の予測に向けて
:飛田 幹男(地理地殻活動研究センター長)

GEONET のS/N 比の高い余効変動観測時系列に対する関数近似とその推移予測の現状を紹介する。既存データの関数近似に比べ、未来の予測は格段に難しい。もし、予測可能なモデルが推定できれば、それは地下で生じている現象をより的確に表していると考えられる。対数関数と指数関数を組み合わせた混合モデルの非線形最小二乗近似を工夫することで、予測能力の向上が見られるケースがある。こうしたモデルによる10年以上先の余効変動予測の試みについて報告する。

日時:  平成27年8月5日(水) 15時15分~16時15分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.国土地理院が実施する施策の効果についての研究について
:下山 泰志(測量新技術研究官)

国土地理院で整備した基準点や地図は、いわゆる社会資本として、自国の発展のために国民が広く活用できる財産と位置づけられる。これらは我が国の今後の持続的な成長を支えるものであることに疑いはないが、国民に対してその重要性を客観的に説明することが今後ますます強く求められる。このため、研究センターでは政策研究の1つとして測量事業等の効果の検討に取り組んでいるところである。今回の発表では、検討の視点と、電子基準点の効果に関する現時点での検討状況等について紹介する。

2.火山性力源モデリングツールpydeform の開発
-2000 年三宅島で観測されたVLP/傾斜ステップの力源推定への適用
:宗包 浩志(宇宙測地研究室)

火山性地殻変動のモデル化では、半無限水平媒質中の球状圧力源や矩形断層などの単純化したモデルが用いられてきたが、計算機の高速化に伴い、地形効果の取り入れやより複雑なモデル(回転楕円体など)の適用など、実際に即したモデル化が可能になりつつある。今回は、そのようなモデル化を可能とするプログラム「pydeform」を開発したので、その概要および三宅島2000年噴火時の50秒パルスに伴う地殻変動に対して力源推定を行った事例について紹介する。

日時:  平成27年7月10日(金) 13時15分~15時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.干渉SAR時系列解析における計測点密度向上のための技術開発について
:小林 知勝(地殻変動研究室)

微小な規模で進行する地盤変動を計測する技術として、多数のSAR画像を利用する干渉SAR時系列解析が盛んに利用されるようになってきた。これまで、その代表的手法としてPSI法やSBAS法が用いられてきたが、近年、SqueeSARと呼ばれる新しい手法が提案された。本発表では、特に、SqueeSARの中核を担うPhase Linkingという技術についてその適用事例を含めて紹介する。また、欧州における時系列解析の利用の現況についても紹介する。

2.長野県北部地震における堀之内地区等の地表変位の写真計測
:神谷 泉(地理情報解析研究室長)

2014年11月22日の長野県北部の地震において、地震前後の空中写真を用い、地表変位を計測した。堀之内地区周辺では、現地で20 cmの短縮が確認された場所を挟んで、より大きな短縮(35 cm)、現地で確認されなかった東上がりの隆起(54 cm)が確認され、横ずれはほとんどなかった。また、被害が最も大きかった場所は、高さの変位の変化が大きな場所であった。千国駅付近では、本観測結果から、現地で確認された盛り上がりは地表地震断層であると考えられる。

日時:  平成27年6月5日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.気候変動によって駆動される地球の重心移動と極移動
:松尾 功二(宇宙測地研究室)

地球の重心は、常に地球の質量分布の中心に位置し、地球の回転極は、常に地球の慣性能率の極小点に位置する。そのため、地球の質量分布が変われば、それに応じて重心と回転極の位置も変化する。本研究では、Satellite Laser Ranging解析から過去20年間に渡る地球の重心と回転極の位置変化を導き、その変化の要因について調査する。得られた重心移動と極移動の時系列は、2000年頃と2012年頃に急速な傾向変化を示した。他の衛星測地衛星を使って詳しく調べたところ、その要因には、近年の急速な気候変動が深く関与していることがわかった。

2.東海地方のゆっくり滑りの可能性
:小沢 慎三郎(地殻変動研究室)

GNSS観測により、沈み込みプレート境界においてゆっくりと滑りが起きるゆっくり滑りという現象が捉えられている。ゆっくり滑りは、海溝型地震に発展する可能性を秘めているために、その現象をGNSSの連続観測で常時モニターする必要がある。ここでは、東海地方で発生した可能性のあるゆっくり滑りを取り上げその破壊過程を推定した。その結果、東海地方では2014年頃から浜名湖付近のフィリピン海プレートと陸側プレートの境界でゆっくりとしたプレート間滑りが発生している可能性があることが分かった。

3.降雪がGEONET測位解に及ぼす影響について
:今給黎 哲郎(地理地殻活動研究センター長)

国土地理院が運用するGNSS連続観測網GEONETの観測データと定常解析結果である「日々の座標値」(F3解)は,インターネットを通じて公開されており,測量などの実務から,地球科学の諸分野に至るまでの基本的データとして広く利用されている.F3解には様々な原因によって実際の観測点の変位ではない擾乱が生じるが,2014年2月の大雪の際に山梨県内の観測点で見られた測位解の異常について検討し,降雪・着雪が原因であるという検討結果を得た。また同時期に他の複数の観測点において同様な現象を確認した事例,およびそれらの観測点において別の顕著な降雪があった日付の測位解異常値についても検討を行った。降雪時の気象データと,測位解の時系列を比較することで,降雪がどのように測位解の変動に影響したかを考察した.

日時:  平成27年3月6日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.ALOS-2 のSAR 干渉解析で捉えられた長野県北部の地震の地殻変動
:矢来 博司(地殻変動研究室長)

ALOS-2 データのSAR 干渉解析により、2014 年11 月22 日に発生した長野県北部の地震(M6.7)の地殻変動が明らかとなった。干渉画像から、神城断層の北部において20 ㎞程度の東傾斜の断層が破壊したと推定され、震央近くでは、神城断層に沿って約10 ㎞にわたり最大約 1m に達する変動が生じたことが明らかとなった。
SAR 干渉解析およびGNSS 観測で得られた地殻変動分布から、今回の地震の断層モデルの推定を行った。プレリミナリーな結果ではあるが、断層面の傾斜は深いところでは高角、地表に近い部分ではやや低角と考えられ、地表に近い部分で大きな滑りが生じたと推定される。

2.新たなGEONET 定常解析戦略(第五版)に向けて
:畑中 雄樹(宇宙測地研究室長)

GEONET の定常解析戦略が最後に改定されてから5年以上が経過し、定常解析戦略の次なる改定に向けて検討すべきいくつかの事項が既に挙げられている。そのうちの一つがマルチGNSS への対応であり、今回、GEONET 観測点のマルチGNSS 対応によって使用環境が整備された、GLONASS 観測データを取り入れた試験的な解析を行い、その効果の評価を試みた。解析手法のチューニングについて更に検討の必要な点はあるが、予備的な結果によると、少なくとも、迅速解析と同じ6 時間のセッション長による解析結果において、GLONASS を加えることによる再現性の向上が見られた。また、GPS のみによる解析結果とGLONASS のみによる解析結果の比較によって、衛星システム固有のノイズを判断できる場合があるなど、GPS による地殻変動監視能力を補強するうえで、GLONASS が有用であることがわかった。

日時:  平成27年2月5日(木) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.新潟-神戸ひずみ集中帯新潟県中部の詳細地殻変動とその成因に関する考察
:水藤 尚(地殻変動研究室)

ひずみ集中帯の成因の一つの可能性として、過去に発生した内陸地震の余効変動の影響を数値計算により見積った。定性的には観測されている短縮ひずみが集中する場所に短縮ひずみが卓越するが、定量的には1割弱の大きさであり、ひずみ集中帯を説明する主要な要因と考えるのは困難であることが分かった。本発表では、新潟-神戸ひずみ集中帯に位置する越後平野とその周辺のおける5年間のGPSキャンペーン観測の成果についても報告する。

2.電子基準点リアルタイム解析システム(REGARD)の開発
:川元 智司(宇宙測地研究室)

宇宙測地研究室では、地殻監視課・東北大学と共同で、巨大地震にも飽和しない地震規模推定を目的とした電子基準点リアルタイム解析システム(REGARD)の開発を行っている。これまでに、電子基準点データのリアルタイム解析機能と、単一矩形断層及びすべり分布による即時的断層モデル推定機能を開発し、システムへの実装を行った。過去に発生したMw8.0以上の海溝型地震の際に得られたデータに適用してこれらの機能の検証を行った結果、地震発生から3分以内でMw±0.2以内で地震規模推定が可能であることが分かった。また、地殻内地震などにおいても、単一矩形断層で概ね良くモデル化できた事例も見られた。

日時:  平成27年1月9日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

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