文字サイズ変更

  • 標準
  • 拡大
地理院ホーム  > 研究開発  > 地理地殻活動研究センター  > 談話会  > 地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2014年) 最終更新日:2015年11月27日

地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2014年)

1.GEONET観測データによるSAR電離層補正手法について
:石本 正芳(宇宙測地研究室)

SAR干渉画像に見られる電離層擾乱による遅延誤差の補正手法として、GEONETの観測データを用いた手法の開発に取り組んでいる。これまでに、対流圏遅延誤差に用いられるマッピング関数と同様の手法を試みたが、十分な補正効果が得られないこと、SAR干渉画像と逆位相になる場合があるなど、問題があることがわかった。この原因について検討し、さらに薄層近似モデルによるTEC分布について検討した結果、電離層擾乱の鉛直構造を考慮したモデル化が必要と考えている。本発表では、これまでに検討した内容と現在検討しているモデルについて報告する。

2.東北沖地震余効変動時系列の分析による余効滑りと粘弾性緩和の分離の試み
:飛田 幹男(地理地殻活動総括研究官)

GEONETのS/Nの高い余効変動観測時系列に対する関数近似とその推移予測を通して、余効滑りと粘弾性緩和の分離を試みている。対数関数、指数関数、複数の時定数などモデルを複雑化すれば、Fittingの残差は向上するが、妥当なモデルかどうかは別問題である。こうしたモデルの検証・比較の他、「なぜ、岩泉2観測点が沈降から隆起に転じたか?」など、余効変動に関する疑問への回答案を紹介したい。

日時: 平成26年12月5日(金) 15時15分~17時00分
場所: 国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟2階)

1.地震ハザードマップ作成のための地形・地盤情報の効率的整備に向けた検討
:中埜 貴元(地理情報解析研究室)

H25-27年度特別研究「地震ハザードマップ作成のための土地の脆弱性情報の効率的整備に関する研究」では,揺れやすさマップや液状化ハザードマップに特化した地形・地盤分類とそのハザード評価基準を作成し,その分類をリモートセンシング技術を活用して効率的に行う手法を検討している.本発表では,地震ハザードマップ用の地形・地盤分類とハザード評価基準,及び航空レーザ反射強度による土壌水分率が高い地域(液状化に対して脆弱な地域)の抽出の可能性について報告する.

2.測量施策に係る政策研究の検討
:乙井 康成(地理情報解析研究室)

測量分野においてどのような政策研究が必要か検討しており、その状況について報告する。具体的には、施策の効果を評価するための指標開発の必要性と可能性について発表者の考えを示し、検討の進め方について意見を伺う。 

日時:  平成26年10月10日(金)  15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.SfM-MVSによる高精度地形情報の取得
: 内山 庄一郎(防災科学技術研究所 社会防災システム研究領域災害リスク研究ユニット 研究員)

近年、Structure from Motion (SfM)とmulti-view stereo (MVS) 技術を統合したソフトウェアが開発され、PCで簡易かつ低コストに三次元モデルの構築が可能となった。SfMアプリケーションの利用者は、複数のデジタル写真画像と地上基準点情報を用意することで、最終的に数値地表面モデル(DSM: Digital Surface Model)等の成果を得る事ができる。これにより、必要な範囲の高精度地形情報を低コストに作成し、既存の地理空間情報と統合的に活用できる。ここでは、様々なフィールドにおける本技術の応用例を紹介する。

2.地形測量のための小型UAV活用技術
:井上 公(防災科学技術研究所 社会防災システム研究領域災害リスク研究ユニット 総括主任研究員)

ここ数年マルチコプターに代表される小型UAVの高性能化と低価格化が著しく、設定したウェイポイントを10分間程度で自律飛行する機体が10万円程度で入手可能になっている。我々はこれまでそのようなマルチコプターに小型デジタルカメラを積んで、災害記録・地すべり・断層地形調査などの各種調査研究に活用してきた。本講演では小型UAVの機体の選択、操縦・運用方法、安全対策、ならびに今後の課題等について紹介する。

日時:  平成26年9月5日(金)  15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.西之島のUAVによる撮影と、DEM、オルソ画像の作成
:神谷 泉(地理情報解析研究室)

国土地理院は、2014年3月22日、無人航空機(UAV)を用いて西之島の空中写真を撮影した。この撮影は、測量用機材を使用したものではないが、DEM及びオルソ作成を前提とした南北3コース、東西1コースの撮影であった。この空中写真と、DEM、オルソ作成ソフトウェアであるPix4D Mapperを使用して、DEMとオルソモザイク画像を作成した。この中で、使用する空中写真の選択、カメラ検定データの使用、基準点の選定、点群データのクリーニングが重要であった。本発表では、それらの詳細を報告する。

2.西南日本外帯を中心とする陸・海の標高データ結合と各種データの重ね合わせ
:岩橋 純子(地理情報解析研究室)

西南日本外帯を対象とした海陸一体の地形分類に関する研究(京大防災研萌芽的共同研究:H26年度)の中間報告として、データ作成の様子や、収集した各種データと組み合わせた画像について紹介する。西南日本の国土地理院・海上保安庁の地形データを接合して、メッシュサイズ500m程度の海陸一体のDEMを作成した。傾斜など地形量に基づく数値地形分類にあたっては、海の標高点密度が一定ではないため、スケール効果の補正が必要である。その基礎となる補正曲線について検討した。他に、海陸接合したDEMから作成した陰影図を、各機関からウェブ公開されている地震波トモグラフィー・震度分布・プレート境界の位置データと合わせて3D表示し、南海トラフ周辺の断面を観察した。

日時: 平成26年7月4日(金) 15時15分~17時00分
場所: 国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.研究開発基本計画について
:中島秀敏(地理情報解析研究室)

本年4月25日に新たな国土地理院研究開発基本計画が策定された。この計画は平成26年度から30年度までの国土地理院における研究開発に関する基本的な方向性等を定める計画であり、基本測量に関する長期計画(平成26年4月9日国土交通大臣告示)の着実な推進等のために実施すべき研究開発と、その推進に必要な方策を明確に示したものになっている。本発表では、研究開発五箇年計画の時代から今回に至るまでの研究開発課題と政策との関連を時系列で分析し、新たな研究開発基本計画の意義を考察する。

2.三宅島2000年噴火時に観測された50秒パルスの力源の再検討-島内GPSデータのキネマティック解析により分かったこと
:宗包浩志(宇宙測地研究室)

2000年三宅島噴火においてカルデラ形成期に繰り返し発生した50秒パルス/傾斜ステップイベントについて、GPSによる力源決定を試みた。そのため、島内15点のGPS連続観測データについてキネマティックGPS解析を行い、イベントの前後10時間の座標値をスタックし、平均的な地殻変動の様子を調べた。その結果、イベントをはさんだ島内の地殻変動は、1)イベントに伴う、島南西部の浅部マグマ溜まり(球状力源+鉛直ダイク)の膨張、2)1)の指数関数的緩和、3)同一マグマ溜まりの定常的な収縮、で説明できることが分かった。

日時:  平成26年6月13日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.干渉SARの電離層補正に向けたGPS-TECによる日本周辺の電離層擾乱の特性把握
:中川弘之(宇宙測地研究室)

衛星干渉SARによる地盤変動の観測において、電離層擾乱に起因する広域的な誤差が問題となっている。この問題について、GEONETによるGPSの2周波データから推定される電離層電離密度の情報を用いれば、この誤差を軽減できる可能性がある。そこで干渉SARの電離層補正技術の開発の前段階として、日本とその周辺の電離層擾乱の特性の把握のため、2000~2011年の期間についてGEONETから推定された電離層電子密度の情報に基づき、網羅的な調査を行ってこの期間に発生した電離層擾乱現象を特定するとともに、その発生頻度や、擾乱現象ごとの特性の傾向を明らかにした。本日はその調査結果について報告する。

2.航空レーザ測量アーカイブデータから求める樹高・樹木密度と土地の脆弱性について
:岩橋純子(地理情報解析研究室)

国交省では航空レーザ測量データの取得が進んでおり、現在では多くのデータが国土地理院にアーカイブされている。地理情報解析研究室では、表層崩壊と地形の関係について、標高データを用いた研究を進めてきたが、樹木根系に土壌保持効果があるとされていることから、さらに、航空レーザ測量データから得られる植生の情報についても研究を行った。斜面の脆弱性評価に活用可能な土地被覆情報として、航空レーザ測量データから求めた樹高と樹木の疎密度を取り上げ、実測値との比較や、豪雨による崩壊率との関係の検証を行った。

日時:  平成26年3月7日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.西南日本地域のスロースリップ
:小沢慎三郎(地殻変動研究室)

西南日本では様々な形でスロースリップが発生している。本研究では、日向灘のスロースリップと房総半島沖合のスロースリップを取り上げ、その時間空間的な特徴を推定した。その結果日向灘では、1996年の日向灘地震の発生後、アフタースリップが発生していた領域でスロースリップが突然発生しはじめたことがわかった。また房総のスロースリップは過去のスロースリップと似たような領域で滑りが起きており、10日程で収束している。房総半島のスロースリップの発生間隔は次第に短くなっているが、これが何を意味するのか今のところわかっていない。

2.測地観測に基づく地殻活動イベントの検知能力と検索・表示システムの開発
:水藤尚(地殻変動研究室)

GEONETは全国に約20kmの等間隔に設置され、日本列島の地殻変動はほぼ均一に監視することが可能となっている。しかしながら、地殻変動を引き起こす原因は地下で発生する現象であり、この地下で起こっている現象(地殻活動イベント)を均一に監視できているかは明らかになっていない。本講演では、GEONETによって、地殻活動イベント(断層すべり、力源の膨張・収縮等)がどこでどの程度の大きさで発生した場合に検知可能であるかについて報告する。また、この検知能力の解析に使用した地殻変動の計算結果を利用して、想定される地殻活動イベントを検索するシステムを開発したので、その概要と使用方法についても紹介する。

3.GNSS/験潮観測に基づく平均海面位の重力ポテンシャル値の推定
:黒石裕樹(宇宙測地研究室)

GNSS観測と験潮を組み合わせ、験潮場における平均海面の地心座標を高精度に把握する研究に取り組んでいる。これまで、海洋潮汐と気圧応答を予め推定・除去した潮位変化について、ウェーブレット手法を応用したコヒーレンス解析に基づく平滑化手法を開発し、全国35箇所のGNSS/験潮データにその手法を適用することで推定された、平均海面位の楕円体高変化を報告した。今回、平滑化された平均海面位について地心三次元位置を求め、全球重力ポテンシャル・モデルに基づく重力ポテンシャル値を推定した結果を紹介する。

日時:  平成26年2月6日(木) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.八甲田山の2013年の地殻活動
:飛田幹男 (地理地殻活動総括研究官)

近年、超巨大地震後、数年以内に例外なく火山噴火が起こってきた。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震)後に21の火山で地震活動が活発化したが、その多くは2011年中に平常に戻った。2013年夏の時点で、八甲田山では、富士山、日光白根山と並び活発な状態が継続していた。そんな中、2013年2月頃から8月頃にかけて電子基準点「黒石」が八甲田山体の膨張を示す地殻変動を観測した。本講演では、この時期の地殻活動と地殻変動観測・分析を中心に紹介する。火山噴火に至る過程をより早期かつ正確に捉えられるよう観測を強化するためには、マグマ性流体の位置を知る必要がある。八甲田山頂で実施されたGNSS臨時観測とGEONET観測の結果に基づき、火山性の地殻変動よりも大きな東北沖地震後の余効変動の影響を推定・除去することにより、力源であるマグマ性流体の位置を推定することができた。

2. GNSS基線による地殻変動監視における固定局について
:畑中雄樹(地殻変動研究室)

平成23年(2011年)年東北地方太平洋沖地震後の余効変動の表示や余効滑りの推定において、三陸地方付近から約1400km離れた福江観測局を固定局として算出した相対変位が使用され、地震予知連資料等に掲載されている。一般に、固定局との差を使用するのは、座標解に含まれる共通誤差を打ち消すことがその主な目的であり、それは少なくともF3解に関しては、この距離においてもある程度有効である。一方で、固定局には変位場を理解するための不動点としての性質も期待されるが、福江観測局がこの要件を十分に満たしているかどうかは必ずしも明らかではない。少なくとも、福江観測局はITRF座標フレームに対して年間3cm程度の速度で東南東方向に移動しており、国土地理院で現在使用している成分分解方法の性質上、それが三陸地方の上下変動成分に約20%程度混入する。また、固定局の選択は、変動場の解釈において複雑な現実の変動メカニズムと単純化されたモデルをどう調和させるかという問題とも関係する。長期的・広域的な地殻変動の監視及びモデリングにおける固定局のあり方、または、成分分解方法については熟考の必要があるものと思われる。

3.災害に着目した地理的地域特性区分について
:小荒井衛(地理情報解析研究室)

国土地理院では、標高データや地形分類データなどの全国の災害脆弱性を評価する上で活用できる地理空間情報を有している。政府の災害対応部局等において専門的な知識が無い者が使用することを前提に、地震による地盤災害特性が類似し相対的に危険性の高い区域を全国レベルで抽出したデータと、関東甲信越地方を対象に災害脆弱性に基づく地域特性区分案を作成したので、そのデータの作成方針と実際のデータについて紹介する。

日時:  平成26年1月14日(火) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

ページトップへ