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地理院ホーム  > 研究開発  > 地理地殻活動研究センター  > 談話会  > 地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2013年) 最終更新日:2015年11月27日

地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2013年)

1.精密単独測位法の現状-後処理/リアルタイム処理の場合
:宗包浩志 (宇宙測地研究室)

 精密単独測位法(Precise Point Positioning; PPP)は、GNSS衛星の精密な軌道および時計情報を既知とし、参照基準点を用いず単独観測点のGNSSデータのみを用いて測位を行う手法であり、通常の干渉測位に比べて簡便かつ高速な測位が可能である、という利点がある。従来PPPは、後処理の24時間解析に用いられることが多かったが、近年GNSS衛星の軌道および時計情報の精度向上に伴い、後処理キネマティック解析やリアルタイムキネマティック解析での利用が急速に広まりつつある。本講演では、電子基準点データについて、PPPによる後処理およびリアルタイムキネマティック解析を試行した結果について紹介する。

2.後処理キネマティック解析におけるマルチパス誤差軽減手法の検討
:石本正芳(宇宙測地研究室)

 平成26年度から実施する特別研究「GNSSによる地殻変動推定における時間分解能向上のための技術開発」において、後処理キネマティック解析による座標時系列から、時間分解能5分程度で5mm程度の地殻変動情報を取り出す技術の開発を目指している。そのために、まず、後処理キネマティック解析の座標時系列のばらつきを抑える技術開発を行う予定である。計画では、キネマティック解析において、特に大きな誤差要因となり得るマルチパス誤差について、観測点毎に最適な位相残差マップを用いることで誤差を軽減することを目指している。そこで、位相残差マップを作成する際のパラメータを変えた場合に、どの程度軽減効果に違いがあるか予備調査を行った。本発表では、これまでに得られた結果について報告する。

日時:平成25年12月6日(金) 15時15分~17時00分
場所:国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.最適な地図投影法を求めて
:神谷 泉 (地理情報解析研究室)

 面積の歪の重みを示すwSをパラメーターとし、「面積の歪みと角の歪みのバランスを考慮し、極を他の場所と同様に評価する地図投影法の評価指標」Lを導入した。極が1点となる緯度経度の多項式の中から、Lを最小とする全球の地図投影法(最適全球図法)を数値計算で求めた。最適全球図法は、さらに、図上で極が360°であることを要求する場合(whole pole)、180°であることを要求する場合(half pole)、何も要求しない場合(free pole)に分けた。最適全球図法の Lの値は,wS = 0の近傍と,wS = 1の近傍を除き,既存図法のLの最小値を大きく下回り,正積条件,正角条件が要求されない限り,歪に関して優れた地図投影法である。

2.屋内空間の三次元GISデータ作成マニュアル案について
:乙井 康成(地理情報解析研究室)

 屋内空間のGISデータ整備を推進するため、国土地理院庁舎及びTX南流山駅舎を対象に、設計図等を用いた三次元GISデータの試作を行い、データ作成における課題を把握するとともに作成したデータの精度を検証した。この試作で得られた知見を基に効率的なデータ作成方法やデータ作成における注意事項について簡便にまとめたマニュアル案を作成中である。この取り組みについて報告する。

日時:平成25年10月4日(金) 15時15分~17時00分
場所:国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.InSARで変位2成分を計測する ~MAIについて~ 
:小林 知勝 (地殻変動研究室)

 地盤変動観測におけるInSARの欠点として、計測可能な変位が衛星と地上ターゲットを結ぶ方向の距離変化の1成分にとどまることが挙げられてきた。しかしながら、近年、SARセンサから照射するビームを前方視・後方視に相当する帯域に分割して処理することで、衛星進行方向の地表変位をInSARにより抽出する技術が提案されている(Multiple-aperture SAR interferometry: MAI)。本研究では、ALOS/PALSARデータにMAI法を適用した解析を試みたので、その結果を報告する。

2.多孔質弾性を考慮した地震の余効変動
:川元 智司 (地殻変動研究室)

 地震の余効変動発生メカニズムとして、余効すべり、地殻・マントルの粘弾性的応答がよく知られているが、地下の間隙流体の影響でも地震後に地殻変動が発生することが報告されている。この影響を見積もるため、間隙水圧の緩和過程を考慮して変位を有限要素法を用いて計算する手法を開発した。今回、開発した計算手法の正しさを検証した結果と2000年南アイスランドの地震のモデルに基づいた計算結果と観測データとの比較結果を報告する。

日時:平成25年9月13日(金) 15時15分~17時00分
場所:国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.VLBI相関処理技術を利用した時空情報正当性検証に関する基礎研究(終了報告)
:高島 和宏 (宇宙測地研究室)

 近年、地理空間情報利用が拡大してきており、「いつでも、どこでも、誰でも」位置情報を活用できるユビキタス社会が実現しつつある。このような社会情勢の中、利用する位置情報の信頼性確保が必要不可欠となってきている。また、多くの場合、位置情報は、その位置が決定された時刻とセットの4次元情報として利用されるため、位置および時刻を合わせた時空情報としてその正当性を証明することが求められる。そこで、本研究では、国家位置基準を定めている国土地理院(GSI)と日本標準時を定めている情報通信研究機構(NICT)が中核となり、国家標準にトレーサブルな時空情報であるかどうかの正当性を検証する手法を開発することを目的としている。本研究課題は、平成21年度より4カ年計画で科学研究費補助金(基盤A 21241043)を受けて実施し、第77回談話会(2011年2月)において行った中間報告に続き、後半2年間に実施した実証実験を中心に本研究成果について報告する。

2.2時期の土地条件データを用いた首都圏の人工改変地変化の特徴
:中埜 貴元(地理情報解析研究室)

 国土地理院が整備する数値地図25000(土地条件)データのうち、整備時期が古く、経年変化が蓄積されてきた都市部について、自然災害と関連の深い人工改変地に関するデータのみが平成23年度に更新された。そこで、首都圏を中心に更新前後(昭和40-50年代と平成22年)の土地条件データ(人工改変地データ)の差分を取ることで、その分布や変化箇所の特徴を大地形別にGIS解析したので、その結果を報告する。

日時:平成25年7月5日(金) 15時15分~17時00分
場所:国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画の推進について」及び「新たな地震調査研究の推進について」の見直しについて
:今給黎 哲郎 (測地観測センター長)

 「地震・火山噴火予知のための観測研究計画」(2009年建議)と「新たな地震調査研究の推進について-地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策-」(2009年策定)は、それぞれの背景のもとで策定された地震(前者は火山も含む)の観測・調査・研究にかかわる枠組みであるが、東日本大震災を受けて、2012年に見直し、改定が行われた。今回の発表では、これらの見直し、改定がどのような考え方で行われ、どのような内容となっているかについて報告する。

2.GPS観測における電離層遅延補正モデルの適用効果について
:畑中 雄樹(地殻変動研究室長)

昨年度まで実施した特別研究「GPS統合解析技術の高度化」において、一周波GPS観測による精密基線解析への適用を目的に、日本列島全域で適用可能な電離層遅延補正モデル(以下、電離層モデル、1°格子)をGEONETデータから推定するための一手法を開発した。24時間データ及び6時間データについて、1周波データ解析への電離層モデルの適用効果を評価した結果、GEONETの定常解とほぼ同程度の精度を達成できることが示された。今回は、電離層モデルの適用効果の評価を更に進め、より短時間のデータへ適用した場合と、モデル格子を細密化した場合について、GEONETの観測データを用いて評価した。その結果、観測データ長が2時間の場合、南洋の離島域を除き、電離層モデルを適用した一周波データによる解析結果の方が、二周波データの線型結合による解析結果よりも基線再現性が高いことが示された。更に詳細な検討が必要であるが、この結果は、公共測量等の目的においても、基線長が10kmを超える場合に電離層モデルを適用した一周波観測を用いることが有効である可能性を示唆する。また、東海地方を対象により小さな格子間隔で電離層モデルを生成し、高精度連続比高観測網の基線解析に適用した結果、少なくても格子間隔0.2°以上の範囲では、格子間隔が小さいほど上下成分の基線再現性が高くなることが示された。これらの結果から、現在のGEONETの定常解析をはじめとして広く用いられている2周波の線型結合による電離層遅延補正手法の欠点と、電離層パラメータを消去せずに適切に制御することの利点が考察される。

日時:平成25年3月4日(月) 15時15分~17時00分
場所:国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.GPS/験潮観測による経年的潮位変化について ―平滑化海面位の楕円体高変化―
:黒石 裕樹(宇宙測地研究室長)

 GPS連続観測点が併置された験潮場(36点)について、地盤の絶対的上下変動と平均海面位の経年的変化を把握する手法の改良に取り組んでいる。験潮データについて、験潮場ごとに潮汐と気圧応答成分を推定・除去した潮位変化を求め、隣接験潮場間でのコヒーレンス分析に基づく平滑化を行い、周期が数年程度以下の共通するステリック変動と海象変動を除去する。その結果を最寄りのGEONET点における地盤の楕円体高変化と組み合わせ、各験潮場における海面位の楕円体高変化を推定した結果を紹介する。

2.活褶曲地帯の地震による斜面変動について
:小荒井 衛(地理情報解析研究室長)

 信濃川沿い周辺の活褶曲地帯について、活褶曲の成長と斜面変動の関連について、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震、2011年長野県・新潟県県境付近の地震の3つの地震による地殻変動と斜面崩壊を事例に、地形発達と地質構造の視点から論じる。特に信濃川と魚野川の合流点付近は、中越地震での隆起量が大きい地域であったが、段丘の発達状況からも、ここ10万年間の隆起量が大きい地域であると予想される。魚野川、芋川周辺の段丘の発達状況と形成年代、その周辺で検出されたテフラについても紹介する。

日時:平成25年2月1日(金) 15時15分~17時00分
場所:国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

1.西南日本の固着状態の推定
:小沢 慎三郎(地殻変動研究室)

 西南日本では、東海、東南海、南海地震が繰り返し発生してきた。これらの地震が発生する確率は高い。このため、将来的にプレート境界のどの場所でどのくらいの規模の地震が発生するのかを推定しておく必要がある。プレート境界のどの場所でどのくらいエネルギーが蓄積したら地表面がどのように変動するかわかっている。このことから陸上の地面の変動量を詳細に調べることで、逆問題として、プレート間の固着状態を推定することができる。本研究では、GPS観測によって得られた地表変動から過去15年間のプレート間固着の時間・空間変化の推定結果を報告する。

2.東北地方太平洋沖地震に伴う粘弾性緩和による変動の見積もり
:水藤 尚(地殻変動研究室)

 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震以後大規模な余効変動が広範囲に観測されている。現在この余効変動の発生原因はプレート境界面上のすべり(余効すべり)によるものと考え、そのすべり分布が推定されている。しかしながら、長期間に渡って継続する余効変動の原因には、余効すべり以外に粘弾性緩和というメカニズムがある。両者の大きな違いはその影響が及ぶ範囲と時定数である。震源域近傍の地震後数年程度の余効変動は余効すべりによる変動として解釈されることが多いが、震源から数百km離れた場所の変動や数十年程度継続する変動は粘弾性緩和による余効変動と解釈される。本発表では、東北地方太平洋沖地震に伴う粘弾性緩和による変動の数値シミュレーションによる定量的な見積もりについての取組と現在までに得られた結果について報告する。

日時:  平成25年1月15日(火) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

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