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地理院ホーム  > 研究開発  > 地理地殻活動研究センター  > 談話会  > 地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2010年) 最終更新日:2010年11月26日

地理地殻活動研究センター談話会 講演要旨集(2010年)

1.座標系・測位と飛行コース
:飛田 幹男 (地殻変動研究室長)

 最近、旅客機が以前より低空で頻繁(1日に約20便)につくば市上空を飛行するようになりました。こうした飛行コースの設定には、座標系や測位など国土地理院の業務・研究成果も関わりがあります。例えば、飛行機は目的地への大圏コースを参考にしつつも、実際には、測位・航法を含む色々な事情で別の飛行コースをとります。本講演では、つくば市上空を通過するようになった飛行コースに関する話題を軸に、国土地理院の業務・研究との関連について、紹介します。

2.地理空間情報の時空間化の検討
:小荒井 衛(地理情報解析研究室長)

 国土地理院の所有する地理空間情報を、時空間データセットとして管理する手法について検討した結果を報告する。時空間データセット化した範囲は、TX研究学園駅周辺の15平方キロで、時間範囲は2000年以降の約10年である。各地物の時間情報のデータの持たせ方の検討結果、データ仕様の検討結果、時空間データベースのデータ構成、データセットから任意の時間断面を切り出して描画した結果、1年毎の時系列データにして、TX開通という人為インパクトが周辺の土地利用に及ぼした変化の把握等について、研究の中間成果を報告する。

日時:  平成22年12月3日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.気象庁メソ数値予報モデルに基づく局所最適化マッピング関数の評価
:石本 正芳 (宇宙測地研究室)

 GPS解析において、数値予報モデルに基づいたマッピング関数(VMF1)を用いることにより鉛直座標時系列の誤差が軽減されることが知られているが、さらに分解能の高い気象庁メソ数値予報モデルに基づくマッピング関数を用いた場合でもほとんど差がないことがわかっている。しかし、気象庁メソ数値予報モデルは、2009年10月からGEONETの観測データによるGPS可降水量が同化され、予報精度が改善されている。この更新により、メソ数値予報モデルの水蒸気分布の精度が改善されていることが期待されることから、本研究では、GEONETによるGPS可降水量の同化により鉛直座標時系列の再現性が向上するのか再評価を行った。その結果、GPS可降水量の同化による効果はほとんど見られなかった。本報告では、この原因について考察する。

2.豊後水道のスロースリップに関して
:小沢 慎三郎(地殻変動研究室)

 豊後水道では1997年と2003年に長期的なスロースリップが発生している。2003年のスロースリップののち6年ほど経過しており、次のスロースリップの発生が予想されていた。このような状況の中で豊後水道で遷移的な地殻変動が2009年秋頃から、発生し現在にいたっている。GPSの観測結果からは、2009年からはじまったスロースリップは最初に四国南西部のプレート境界でスロースリップが発生し、そののち豊後水道側にすべりの中心が移っている様子が推定されている。本談話回では、現在のスロースリップと1997年、2003年のスロースリップとの比較について言及する予定である。

日時:  平成22年11月5日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.異種観測値を含む最小二乗法における重み設定の考え方について
:政春 尋志 (地理地殻活動研究センター長)

 最小二乗法では各観測値の精度に応じて適切な重みを与える必要がある。事前に個々の観測の精度の指標としてそれらの分散が知られていることを前提とすると、重みは分散に反比例させればよい。原則はこのようにごく単純であるが、距離と角度の観測が混じったような異種観測値を含む最小二乗法への適用について、意外と明快な解説が少ない。本講演では異種観測値を含む場合にも単純に分散に反比例させればよいこと、その際、重みはすべて無次元量ではあり得ず、必然的に単位の次元を持つことを指摘する。

2.戦時中の米軍撮影空中写真による東南海地震津波被害の把握
:中埜 貴元(地理情報解析研究室)

 米国国立公文書館で発見された太平洋戦争末期の米軍撮影空中写真には、1944年12月7日に発生した東南海地震(M7.9)直後の被災地が撮影された写真が含まれていた(小白井ほか,2006)。この地震は,戦時下の報道管制のため,詳しい被災記録がほとんど残っておらず、この空中写真で被災状況を客観的に明らかにすることができれば、地震研究、地震防災上極めて有効な情報を提供することができる。本発表では、写真判読的・写真測量学的・空間解析的検討により判明した津波被害の特徴について報告する。

日時:  平成22年10月1日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.岩手・宮城内陸地震の地表変位の写真計測(2)
:神谷 泉 (地理情報解析研究室)

 岩手・宮城内陸地震における地殻変動を、写真測量により計測したので、その方法と結果を報告する。前年の談話会では、再計測中であると報告したが、今回は、再計測および追加計測の結果を報告する。水平変位に関しては、荒戸沢ダム付近(a)では逆断層様の短縮が見られるが、その北方(b)ではみられず、(a)と(b)の間に横ずれ断層様の変位の不連続が存在する。高さの変位については、荒砥沢ダム北方の地表断層より西側に、東側が相対的に上昇する変位の不連続が、3箇所で確認され、この3箇所は概ね南北に分布する。大規模な地すべりは、地表変位の差が大きな部分に集中して分布することがわかった。

2.植生指標(NDVI)の長期的安定性による生物多様性評価に関するフィジビリティ・スタディ
:乙井 康成(地理情報解析研究室)

 生物多様性の高い地域は、異常気象に対して抵抗性を示すのではないかと仮定し、自然度の異なる植生について、異常気象が植生指標(NDVI)に与える影響の大きさを比較した。対象とした異常気象は、NDVI観測期間中である平成15年において北海道や東北地方で発生した冷夏である。その結果について報告する。

日時:  平成22年9月3日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.伊豆半島東方沖の群発地震に伴う地殻変動と力源モデル
:西村 卓也 (地殻変動研究室)

 2009年12月に発生した伊豆半島東方沖の群発地震に伴い、周辺のGPS連続観測,水準測量,光波測距によって顕著な地殻変動が捉えられた。この地殻変動は、群発地震の震源域におけるダイクモデルと最大地震に対応した横ずれ断層モデルによって説明できる。1993年以降の主な群発地震イベントについても地殻変動モデルの再解析を行った結果、2009年イベントは、ダイク貫入量は比較的小規模であるが、上端深さが浅いという特徴がある.貫入したダイクの位置は、1993年のダイク貫入位置に近いが、やや陸側に位置している一方、1990年代のイベントがなす列の延長線上ではなく、2006年のダイクの陸側延長上に位置していることがわかった。

2.GPS高さ時系列に含まれる季節変動誤差
:宗包 浩志(宇宙測地研究室)

 GPS解析技術の進歩により、座標解の水平成分については品質および安定性が大幅に向上したが、高さ成分についてはなお原因不明の季節変動が残り、改善の余地がある。講演者は、1)大気遅延による誤差、2)大気による荷重変形、3)海水・陸水による荷重変形、について補正手法を開発し、高さ時系列の季節変動誤差の軽減に成功したので、その詳細を報告する。また、受信機SNRを用いた、マルチパスによる高さ時系列季節変動誤差の評価事例について、併せて紹介する。

日時:  平成22年7月2日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.防災地理情報を含む主題図の有効活用に関する検討
:中埜 貴元 (地理情報解析研究室)

 国土地理院が整備・提供している様々な主題図のうち、特に防災地理情報としての利活用が期待される主題図としては、土地条件図、火山土地条件図、治水地形分類図、都市圏活断層図等が挙げられる。これらの利活用場面として、地方自治体による防災計画や都市計画、ハザードマップ作成時の基礎情報となることを想定し、土地条件図と各種ハザードマップの比較により、どのような防災地理情報を含む主題図を作成すべきか、また、どのような利活用方法があるかについて検討した結果を報告する。

2.航空機及び衛星SARを用いた数値標高モデルの抽出技術の開発
:岡谷 隆基(地理情報解析研究室)

 合成開口レーダー(SAR)データを用いた数値標高モデル(DEM)の作成について、演者が過去に行ってきた技術開発の内容について報告を行う。人工衛星(RADARSAT)を用いた技術開発では、再生された強度画像によるマッチング処理でDEM作成を行い、航空機SAR(GSI-SAR)を用いた技術開発では、In-SARによるDEM作成を行い、精度検証等を実施したので、それらについて報告する。

日時:  平成22年6月4日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.つくばにおける超深度固定型GPS観測点の開発
:宗包 浩志(宇宙測地研究室)

 国土地理院構内にはVLBI観測局やGPS連続観測点があり、一体となって日本の測地基準系の維持に重要な役割を担っているが、観測される位置データには農業用の地下水くみ上げに伴う上下変動が含まれており、測地基準系を高精度に維持する上で課題となっている。そこで、我々は、表層地盤の上下変動の影響を受けにくい観測点として、190mの深さに固定された地盤沈下観測井内管に直結した超深度固定型GPS観測点S061を設置し、試験観測を続けている。本発表では、得られた基線解と水準測量、地盤沈下計観測との比較等を通じて、この観測点の安定性の評価を行った結果について報告する。

2.伊豆大島、桜島のマグマ溜まりの体積変化
:小沢 慎三郎(地殻変動研究室)

 火山地域のマグマ溜まりの状態を推定することは、長期的な視点での噴火予知に重要な情報となる。本研究では、GPSの毎日の地殻変動データから、大島、桜島のマグマ溜まりの時間変化を推定した。その結果、大島では長期的にみて島の膨張が起きており、桜島では、姶良カルデラの下のマグマ溜まりで長期的に見て膨張が、桜島
の直下のマグマ溜まりではあまり変化が見られないことがわかった。

 日時:  平成22年3月5日(金) 15時15分~17時00分
 場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.インドネシアでの地殻変動観測
:今給黎 哲郎(地理地殻活動総括研究官)

 2009年から3年間の予定で、文部科学省と外務省の協同による国際共同研究支援のための事業「インドネシアにおける地震火山の総合防災策」(研究代表者・東大地震研究所佐竹健治教授)が始まり、この中のサブプロジェクト(サブリーダー・東大地震研・加藤照之教授)で、同断層帯の地震発生ポテンシャルを解明するためのGPS地殻変動観測が計画されている。
 国土地理院では、ジャワ島西部のレンバン断層およびバリビス断層周辺に、4点のGPS連続観測点を設置して、インドネシア側参加機関であるバンドン工科大学(ITB)との連携の下でこの地域の地殻変動観測を開始した。
現在は、観測点設置作業が完了し、現地収録方式による観測データ収集が始まった段階であり、まだ地殻変動のデータは得られていない。
 談話会では、プロジェクトの概要の紹介と、観測点設置状況、バンドン工科大学(ITB)によるこれまでのGPSキャンペーン観測から把握されているジャワ島西部の地殻変動パターンなどについて報告する。

2.一等水準測量における天文潮汐と海洋潮汐荷重の効果について
:黒石 裕樹(宇宙測地研究室)

 精密水準測量は、2点間の標高差を水準面に準拠して計測するもの である。月や太陽の潮汐力や海洋潮汐の荷重により、水準面と 地表面(固体地球)には相互に異なる変形(傾斜)が起こり、 水準測量による標高差測定値には時間変化が生じる。その傾斜変化の 大きさは小さいが、長距離にわたる計測では、有意な累積量をもつ 可能性がある。今回、一等水準測量の一部地区を対象に、理論潮汐 計算による天文潮汐と人工衛星アルチメトリー観測によって構築された 海洋潮汐モデルを用いた海洋潮汐荷重について、実測データにおける 傾斜変化による標高差計測値への影響を見積もったので、報告する。

日時:  平成22年2月5日(金) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(本館6階)

1.InSARにおけるPhase Unwrapping(位相連続化)処理
:飛田 幹男(地殻変動研究室)

 西南日本では、東海、東南海、南海地震が繰り返し発生してきた。これらの地震が発生する確率は高い。このため、将来的にプレート境界のどの場所でどのくらいの規模の地震が発生するのかを推定しておく必要がある。プレート境界のどの場所でどのくらいエネルギーが蓄積したら地表面がどのように変動するかわかっている。このことから陸上の地面の変動量を詳細に調べることで、逆問題として、プレート間の固着状態を推定することができる。本研究では、GPS観測によって得られた地表変動から過去15年間のプレート間固着の時間・空間変化の推定結果を報告する。

2.GEONETリアルタイムデータを用いた震源断層即時推定手法の開発
:西村 卓也(地殻変動研究室)

 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震以後大規模な余効変動が広範囲に観測されている。現在この余効変動の発生原因はプレート境界面上のすべり(余効すべり)によるものと考え、そのすべり分布が推定されている。しかしながら、長期間に渡って継続する余効変動の原因には、余効すべり以外に粘弾性緩和というメカニズムがある。両者の大きな違いはその影響が及ぶ範囲と時定数である。震源域近傍の地震後数年程度の余効変動は余効すべりによる変動として解釈されることが多いが、震源から数百km離れた場所の変動や数十年程度継続する変動は粘弾性緩和による余効変動と解釈される。本発表では、東北地方太平洋沖地震に伴う粘弾性緩和による変動の数値シミュレーションによる定量的な見積もりについての取組と現在までに得られた結果について報告する。

日時:  平成25年1月15日(火) 15時15分~17時00分
場所:  国土地理院 地理地殻活動研究センター セミナー室(研究棟 2階)

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