GPS連続観測による有珠山の地殻変動監視について

Crustal deformation monitoring of Mt. Usu by GPS earth
observation network system(GEONET)

測地観測センター 地殻監視班
大瀧 茂・菅富美男・田村 孝・藤咲淳一・佐藤博行・飯塚豊久・澤田正典・山際敦史
Geodetic Observation Center
Shigeru OTAKI, Fumio SUGA, Takashi TAMURA, Jun-ichi FUJISAKU,
Hiroyuki SATO, Toyohisa IIZUKA, Masanori SAWADA and Atsushi YAMAGIWA
管理班 西修二郎・今給黎哲郎・青木和夫・杉田 要・山田 明
Syujiro NISHI, Tetsuo IMAKIIRE, Kazuo AOKI, Kaname SUGITA and Akira YAMADA
近畿地方測量部 宮崎孝人
Kinki Regional Survey Department Takato MIYAZAKI

はじめに

 平成12年3月31日13時10分、23年ぶりの噴火は有珠山西側の山麓から始まった(図―1)。翌4月1日には金比羅山山腹からも新たな噴火が発生した。
 測地観測センターでは3月27日から火山活動が活発化している有珠山の山体変化を把握するため有珠山を囲む電子基準点、壮瞥、蛇田、伊達の3点について、通常1日1回の解析を6時間のデータで3時間毎に行うように緊急解析の設定を行った。GEONETによる3時間毎の緊急解析は初めての試みであったが、困難ながらも解析を続け、火山噴火予知連絡会、有珠山噴火非常災害現地対策本部、地震調査委員会、地震予知連絡会、本省災害対策本部に資料をその都度迅速に提供してきた。国土地理院のGPS観測結果は、活動開始以前から一貫して連続した地殻変動を報告するデータとして、火山噴火予知連絡会などでは、活動の推移を判断するための重要な資料となり、防災のために大いに役立った。結果としては、蛇田町、壮瞥町、伊達市の住民1万数千人に対し、安全を見極めた避難指示・避難解除ができ、ひとりの犠牲者も出さずにすんだのである。
 ここではGPS連続観測による一貫した地殻変動監視について報告する。