時報 vol.88 この間(1月~6月)のできごと
この間(1月~6月)のできごと
1月21日国土地理院とAUSLIGの協力に関する協議を実施
平成8年10月に締結されたオーストラリア国測量土地情報グループ(AUSLIG)との
測量・地図作成に関する協力について、
具体的な協議をつくば市の本院において実施した。
国土地理院からは、野々村院長他、AUSLIGからは、ピーター・ホランド代表が出席した。
協議では、国土地理院より継続中のプロジェクトの説明、関連する国土地理院の事業の現況説明を行い、
オーストラリア側より事業の進行説明があった。
1月23・24日ISO/TC211総会に出席
GISの標準化を検討しているISO/TC211(地理情報/Geomatics)の第4回総会が、
オーストラリアのシドニーで行われ、稲葉研究企画官、明野研究官が出席した。
総会はワーキンググループの検討に引き続き開かれ、これまでで最多の100人以上が参加して活発な討議が行われた。
1月24日「地図と測量の科学館」に来館者2万5千人
「地図と測量の科学館」は、開館後半年を経過した1月24日に2万5千人の来館者を迎えた。
1月27日~31日極東ロシアにおけるGPS連続観測点配置に関する打ち合わせ会議を開催
極東ロシアにおけるGPS連続観測点配置に関する打ち合わせ会議がロシアのハバロフスクで開催され、
海津調査課長が出席した。
本件は、日露科学技術委員会で採択された「地震災害軽減のための極東ロシアにおけるGPS連続観測」
を実行しようとするものである。
1月28日地理情報システム研究集会を開催
「地理情報システム研究集会」(主催:財日本地図センター、後援:国土地理院)が、
アルカディア市ヶ谷(私学会館)において開催された。
この「地理情報システム研究集会」は、システム展とセミナーの二部構成で実施された。
システム展では、国土地理院から「空間データ基盤」、「20万ラスター地勢図」等が、
民間企業12社からは開発したシステム等が展示され各ブースにおいて実演が行われた。
セミナーでは、稲葉研究企画官による「GISの標準化について」の他4課題の講演が行われた。
2月1日地震防災土地条件図の作成
兵庫県南部地震で大きな被害を受けた兵庫県神戸地区を対象に、
1万分の1地形図の「宝塚」「西宮」「芦屋」「六甲アイランド」「三宮」「長田」の6図葉について、
「1万分の1地震防災土地条件図」を作成した。
図の主な内容は、土地の形態や性状を示した
「地形分類」と地震による建物被害、液状化、崩壊地等の「災害現況」で構成されている。
2月1・2日第3回アジア太平洋GIS基盤常置委員会開催
第3回アジア太平洋GIS基盤常置委員会が、タイのバンコックで開催され、野々村院長他3名が参加した。
委員会には、アジア太平洋地域の13ヶ国の代表及び専門家55名並びにオブザーバー7名が参加し活発かつ熱心な討議が行われた。
2月3日~7日第14回国連アジア太平洋地域地図会議開催
第14回国連アジア太平洋地域地図会議がタイのバンコックで開催された。
今回は、環境と調和した持続可能な開発のための行動計画である「アジェンダ21」の実行に
関する測量・地図作成分野からの貢献を主なテーマに、30カ国、3国際学術団体から159名の参加者が集まり活発な討議を行った。
日本は、野々村院長他3名、ほかに海上保安庁水路部、国土庁、日本地図センター、宇宙開発事業団から参加した。
2月6日補正予算による空間データ基盤を発注
平成8年度補正予算で認められたGISの構築に不可欠な「空間データ基盤」作成作業の発注を行った。
今回発注した整備区域は、中部圏及び東海地区の合計約4、000kmである。
中部圏については、平成8年度本予算から整備を開始しており、現在整備中(1、000km)の区域と合わせ、
中部圏(三重県を除く)の整備はほぼ完了する。
2月12日~5月23日「地図と測量の科学館」で主題図展を開催
「地図と測量の科学館」特別展示室において、企画展示として「主題図展」が行われた。
昭和20年代前半から現在までに作成された各種主題図(特定の主題に重点をおいて表現した地図)約40点を公開した。
展示した主な地図は、国土地理院が作成した集成図、土地利用図、土地条件図、沿岸海域地形図、
沿岸海域土地条件図、湖沼図、地盤高図等や他機関の作成した国土実態図、国立公園図などである。
2月14日ケニアから研修員来院
JICAのプロジェクト方式技術協力で行っているケニア測量地図学院(ナイロビ)から2名が、個別研修員として来院した。
地図作成についてアウィノ・ジュマ氏、地図複製にマイケル・オマチ氏が新技術を中心に8月1日まで研修を行った。
2月17日第122回地震予知連絡会を開催
国土地理院関東地方測量部において、第122回地震予知連絡会(事務局:国土地理院)が開催された。
連絡会では東海地方、伊豆半島及び北海道地方等全国の地震及び地殻活動等について、
関係機関、大学より観測データが報告され論議がなされた。
主なものは、東海地方及び伊豆地方の地殻活動、西表島付近の地震活動であった。
2月20日平成9年度の航空測量計画を協議
国土地理院と防衛庁防衛局による航空測量連絡協議会が、測図部長以下10名、
防衛局から調査第一課長以下18名が参加し開催された。
国土地理院が測量航空機「くにかぜ2)」により行う航空測量は、
国土地理院と防衛庁との航空測量に関する協力要綱に基づいて実施している。
本協議会では、平成9年度の航空測量計画が協議された。
2月21日~3月26日補正予算によるGIS研究作業を実施
平成8年度補正予算で認められた、建設省総合技術開発プロジェクトによる
「防災・災害対策用GISの開発とその活用技術に関する研究作業」を実施した。
本作業は、震災時において効率的な救援活動、復旧活動に資するGIS利用システムを設計・開発し、
災害時の活用方法についてのマニュアルを作成するものである。
2月24日佐藤政務次官が国土地理院を視察
佐藤静雄建設省政務次官により国土地理院をはじめ建設省筑波三機関の視察がなされた。
国土地理院ではGISへの取組状況などの説明後、
GPSによる監視システムや地図作成工程等の視察がなされた。
2月26日松山自動車道の開通に伴い地形図を刊行
松山自動車道の川内IC~伊予IC間(21.9km)の開通に伴い、2万5千分の1地形図(伊予川内、
松山南部、郡中、上灘)の4面に松山自動車道を新たに表示し、開通日にあわせ刊行した。
2月27日第58回地名等の統一に関する連絡協議会開催
国土地理院と海上保安庁水路部による「地名等の統一に関する連絡協議会」が開催された。
この協議会は、国土地理院が刊行する地形図と水路部が刊行する海図類に記載する地名等の統一を図り、
併せて日本国内の地名等の標準化に資することを目的として、毎年開催され、
自然地名及びこれに準ずる地名等の漢字及びひら仮名の表記等について協議している。
3月4日~21日伊豆半島東方沖群発地震に伴う緊急測量実施
3月3日午前零時半頃から活発化した伊豆半島東部の群発地震活動に伴い、3月4日から13日まで、
伊東市川奈地区において光波測距儀(メコメータ)を用いた精密辺長測量作業を実施した。
また、3月6日から21日まで水準測量を実施した。
3月7日GIS関係省庁連絡会議合同作業部会開催
GIS関係省庁連絡会議の空間データ基盤作業部会と基本空間データ作業部会の
合同作業部会が関東地方測量部で開催された。
当日は、GIS推進に関して学識経験者及び民間関係者との意見交換が行われた。
3月8日JR東西線開業に伴い地形図を刊行
JR東西線(京橋~尼崎駅間12.3km)の開業に伴い、2万5千分の1地形図(大阪東北部、大阪西北部)
の2面にJR東西線を新たに表示し、開業日にあわせ刊行した。
3月9日地震発生シミュレーションに関する研究交流のため米国から来日
米国地質調査所のスチュアート博士が国土地理院での研究交流のため来日した。
スチュアート博士は、断層の摩擦法則に基づく地震発生シミュレーション研究の第一人者であり、
今回、日本列島周辺のプレート境界領域の地震発生シミュレーションに向け、
国土地理院内外の研究者との研究交流・情報交換を目的として来日された。
3月10日電子基準点を利用したRTK測量を実験
郵政省と共同で電子基準点を利用したRTK測量(リアルタイムキネマティック測量)の実験を実施した。
この実験は、国土地理院が全国に約900点設置している電子基準点の活用を図るものであり、
電子基準点で受信したGPS信号を無線で直ちに測量現場に送信することにより高速で精密な測量を行うものである。
3月10日~12日国土地理院でVLBIシンポジウム開催
国土地理院「地図と測量の科学館」内オリエンテーションルームにおいて、VLBIシンポジウムが開催された。
このシンポジウムは、日本のVLBI関係者で構成されるVLBI懇談会が主催している。
シンポジウムでは、45名の研究者が参加し、VLBIの現状と将来について活発な意見交換が行われると共に、
今後1年間の懇談会の活動方針が討論された。
3月11日地磁気変化モデルに関する共同研究のためロシアから来日
ロシア国から、ロシア科学アカデミー地磁気・電波伝播研究所のゴロブコフ部長とヒリポフ主任研究員の両氏が、
国土地理院との共同研究のため来日した。
両氏は、地磁気変化の全地球モデル作成の専門家であり、今回の来日は、
日本および極東地域の2つの磁気変化モデルの作成を行うためである。
3月13日第35回沿岸海域測量業務連絡会議を開催
国土地理院と海上保安庁水路部との第35回沿岸海域測量業務連絡会が開かれ、
永井地理調査部長他が出席した。
この会議は、両機関が実施する海域における測量事業の連絡・調整を図ることを目的に開催されている。
3月15日岡山自動車道の開通に伴い地形図を刊行
岡山自動車道の岡山総社IC~北房JCT間(40.6km)の開通に伴い、2万5千分の1地形図
(総社西部、総社東部、豪渓、有漢市場、呰部)の5面に岡山自動車道を新たに表示し、開通日にあわせ刊行した。
3月15日南太平洋地域にGPS連続観測施設を設置
科学技術振興調整費総合研究課題である「全地球ダイナミクス:中心核に至る地球システムの
変動原理の解明に関する国際共同研究」のために、キリバス共和国キリチマチ(クリスマス島)
にGPS連続観測点を設置し連続観測を開始した。
3月17日地球地図国際ミニフォーラムを開催
地球地図に関する国際ミニフォーラムが、国土地理院内の
「地図と測量の科学館」オリエンテーションルームにおいて開催された。
このフォーラムは、各国及び国際機関で現在進められている既存の土地利用・土地被覆データ整備プロジェクトに
従事している研究者を招聘して、プロジェクトの現状、データ作成方法・仕様などについての比較検討を行い、
「地球地図」のあるべき仕様、データ間の調和について議論をすることを目的としている。
3月18日消防訓練を実施
平成9年春季全国火災予防運動の一環として、国土地理院の自衛消防隊による消防訓練が、
国土地理院本館及び地図と測量の科学館において実施された。特に、
今回は科学館の開館を受け一般の見学者の避難訓練も含めて実施した。
3月22日北越急行ほくほく線開業に伴い地形図を刊行
北越急行ほくほく線(六日町~犀潟間59.4km)の開通に伴い、2万5千分の1地形図
(六日町、五日町、十日町、千手、松代、安塚、原之町、潟町)の8面に北越急行ほくほく線を新たに表示し、
開通日にあわせ刊行した。
3月23日~4月5日カザフスタン共和国南部地域地形図改訂のための調査団派遣
カザフスタン共和国から要請のあった、シルダリア流域の10万分の1及び20万分の1地形図の改訂と、
関連する技術移転の実施のため、国際協力事業団(JICA)の予備調査団として長岡地図部長他2名を同国に派遣した。
今回の調査団は、要請案件の内容等の確認、関連資料・情報の収集、本格調査の実施方針の検討、
相手国の受け入れ態勢の確認等を行った。
3月24日新しい測地成果の構築をスタート
国土地理院技術評議会(会長参事官)を開催し、高密度電子基準点時代における基準点体系を
早急に確立するとともに、その基盤である平成成果(測地成果2000)の構築を行うために基準点体系分科会(2))を設置した。
3月24日「ファクシミリ地図25、000(地形図)」を全国刊行
「ファクシミリ地図25、000(地形図)」の未刊行であった地域(8、423面)を刊行した。
これにより、販売店においてファクシミリで全国の2万5千分の1地形図が入手可能となった。
また、取り扱い販売店も拡大され、366店となった。
3月24日GIS説明会に1、000名が参加
GISを地方公共団体に普及・啓発する目的で、昨年11月から国土庁と共催で
全国10都市でGIS説明会を開催してきたが、3月24日に終了した。
全国で約1、000名の参加者があった。
3月24日東海北陸自動車道の開通に伴い地形図を刊行
東海北陸自動車道の一宮木曽川IC~岐阜各務原IC間(5.6km)の開通に伴い、
2万5千分の1地形図(岐阜)に、開通部分を新たに表示し、開通日にあわせ刊行した。
3月25日地籍調査のためにGPS固定点を設置
地籍調査において、GPS測量等の新しい測量技術を取り入れ、
進歩の遅れている市街化地域において地籍調査の促進を図ることを目的として
全国の10点(国土調査経費)のGPS固定点を設置した。
3月27日三陸自動車道の開通に伴い地形図を刊行
三陸自動車道の仙台港北IC~利府中IC間(7.8km)の開通に伴い、
2万5千分の1地形図(仙台東北部、松島、塩竈)の3面に三陸自動車道を新たに表示し、
開通日にあわせ刊行した。
3月31日姶良VLBI観測局完成
鹿児島県姶良町北山地区に建設中だったVLBI観測局が完成した。
同局の建設は、九州地方建設局により平成8年2月から行われていた。
敷地面積は、3、177m、局舎は鉄筋コンクリート造平屋建182mで、
内部は、観測室、水素メーザ(原子時計)室、絶対重力測定室などのほか、
24時間観測に対応可能な施設を備えている。
3月31日一等水準測量第8回全国改測完了
昭和62年度より実施されていた、第8回全国改測作業は平成8年度に完了した。
本作業の測量結果を基に、全国同時網平均計算を行い、水準点成果を更新する計画である。
4月1日5万分1地形図作成・所蔵目録を刊行
陸地測量部から国土地理院に至る約110年間にわたり作成し続けてきた5万分の1地形図の総目録を刊行した。
これにより国土地理院が所蔵する5万分の1地形図の実態が明らかになった。
4月1日数値地図をCD-ROMで刊行
CD-ROMに収録した新たな数値地図、2種類を刊行した。
刊行した数値地図は、
[1]「数値地図2500(空間データ基盤)」
が首都圏18枚、近畿圏12枚、
[2]「数値地図25000(地図画像)」
が東京、名古屋、京都及大阪の各1枚である。
国土地理院の刊行物でCD-ROMによる刊行は初めてで、
近年のパーソナルコンピュータと低価格な大容量記録媒体の普及により、
多様化したユーザニーズに対応したものである。
4月7日GIS推進の組織拡充
平成9年度組織改正に伴い、GIS推進のための組織が4月7日付けで設置された。
新組織は企画部に置かれ、従来、関係各部に分散していたGIS関連の業務のうち企画・調整に関する事務を総合的、
一体的に行い、GISを取り巻く社会の要請に応えることが期待される。
4月9日~18日中国西部へ調査団員を派遣
中国から要請のあった「リモートセンシング技術を用いた中国西部の環境と災害監視のプロジェクト方式技術協力」
のための基礎調査に、国際協力事業団(JICA)を通じ政春地理第三課長を派遣した。
今回の要請は、中国西部ウルムチに日本の地球観測衛星ADEOSの受信局設置及びGISを用いた環境、
災害監視のシステム構築の技術協力である。
4月16日「地図と測量の科学館」入館者3万人突破
昨年の6月1日にオープンした「地図と測量の科学館」は、4月16日に入館者3万人を突破した。
4月18日科学技術週間で国土地理院を一般公開
第38回科学技術週間行事の一環として、施設の一般公開を行った。
この科学技術週間は、広く国民に科学技術に関して、より一層の理解と関心を深めてもらうために毎年この時期に設定されている。
国土地理院本館の地球観測データ解析室、地殻変動監視室、数値地形図データ編集室、
「地図と測量の科学館」の他、屋外施設としてVLBI、GPS等が公開された。
「地図と測量の科学館」がオープン(H8.6.1)してから最初の科学技術週間に伴う一般公開ということもあり、
182人の方が、国土地理院をおとずれ、熱心に見学した。
4月18日第123回地震予知連絡会を開催
国土地理院関東地方測量部において、第123回地震予知連絡会が開催され、第15期の役員の選出が行われた。
その結果、会長に茂木日本大学教授が留任し、副会長には青木名古屋大学名誉教授と大竹東北大学教授が指名された。
また、青木副会長は強化地域部会長、大竹副会長は特定部会長に指名された。
その他、国土地理院から日本の地殻水平歪図の紹介等が行われた。
4月18日日本列島の過去100年の水平歪図を公表
本図は、1883年に近代的測量が開始されて以来、全国を繰り返し測量した結果の集大成で、
日本における地殻の歪が活断層と共に表示されている。
日本列島の地殻水平歪と活断層の分布を一目で把握することができるため、
地震予知研究等の基礎資料として利用できる。
4月21日~23日宇宙測地観測局の座標結合観測(プロジェクト’97)を実施
日本の宇宙測地観測局を運用している通信総合研究所(VLBI、SLR:人工衛星レーザー測距を運用)、
海上保安庁水路部(SLR、GPSを運用)及び国土地理院(VLBI、GPSを運用)の3機関が協力して、
宇宙測地観測局の座標結合観測(プロジェクト’97)を実施した。
4月23日第二阪奈道路開通に伴い地形図を刊行
第二阪奈道路(宝来ランプ~西石切ランプ間13.4km)の開通に伴い、2万5千分の1地形図
(奈良、大和郡山、信貴山、生駒山)の4面に第二阪奈道路を新たに表示し開通日にあわせ刊行した。
4月24日第7回国土地理院技術報告会を開催
国土地理院大会議室において第7回国土地理院技術報告会が開催され、本院各部、地方測量部、
測地観測所から平成8年度実施された技術開発・調査研究等の中から44課題の成果が報告された。
5月GPSによる「地殻変動の概況」を公開
平成5年度から構築が始まったGPS連続観測システムは、本年4月までに約900のGPS連続観測点が設置され、
膨大な地殻変動データが蓄積されている。
これらのデータをもとに5月に「地殻変動の概況」をとりまとめ公開した。
5月1日1万分の1火山基本図「くじゅう連山」刊行
九州本島最高峰の中岳をはじめ、くじゅう連山を構成する火山群をほぼカバーする
1万分の1火山基本図「くじゅう連山」が刊行された。
この火山基本図は、6km×8kmの範囲について5m間隔の等高線で地形表現しており、
現在活動中の星生山の噴気孔や過去の火山活動で生じた火口跡をはっきり読み取ることができる。
5月18日平成9年測量士・測量士補試験実施
全国の15都市19会場において、平成9年測量士・測量士補の国家試験を実施した。
今年の受験者数は、測量士5、100名(前年比29.3%増)、測量士補26、617名(前年比5.1%増)であった。
5月19日第124回地震予知連絡会を開催
国土地理院関東地方測量部で、第124回地震予知連絡会が開催された。
連絡会では伊豆地方、九州地方等全国の地震及び地殻活動等について、
関係観測機関、大学より観測データが報告され論議がなされた。
5月20日~23日鹿児島県北西部の地震における緊急調査を実施
5月13日に発生した鹿児島県北西部の地震による災害に関する調査を緊急に実施するため、
大分大学千田昇教授及び国土地理院職員3名からなる調査団を現地に派遣した。
5月22日第7回コモンアジェンダ次官級会合に出席
米国ワシントンD.C.において第7回コモンアジェンダ次官級会合が開かれ、
永井地理調査部長が出席し、21世紀を迎える世界が抱える諸問題に、
地球的展望に立って日米が共同で取り組むための方策を討議した。
5月27日~31日八幡平澄川地すべり災害地の現地調査実施
5月11日に秋田県八幡平の澄川温泉で発生した地すべり災害について、
今後の2次災害防止や将来の土砂災害対策に資するため、現地調査を実施するとともに、
災害後の5千分の1地形図及び災害地周辺の地すべり地形分布図の作成を開始した。
6月1日測量と地図のフェスティバル’97を開催
「測量の日」(6月3日)を記念して、測量と地図のフェスティバル’97を6月1日(日)に
地図と測量の科学館及び国土地理院本館で開催した。
この催しは、測量・地図への幅広い理解と関心を深めてもらうことを目的に平成元年から毎年開催しており、
今回が9回目である。今年は、地図と測量の最前線をテーマに施設公開を行った。
なお、当日は天候に恵まれ、2、918人の入場者があった。
6月1日迅速測図原図全921枚一挙公開
6月1日開催の「測量と地図のフェスティバル’97」における展示として、明治10年代に明治政府の一大事業として、
毎年の国家予算のほぼ300分の1をかけ、関東平野の全域を7年間で測量した
二万分一迅速測図の原図(複製)全921枚を「地図と測量の科学館」ラウンジ床面に貼り合わせて展示した。
6月1日「測量の日」功労者を表彰
「測量の日」記念行事として功労者の表彰式典が行われ、
山の展望と地図のフォーラム運営委員会(代表田代博氏)と井山恒孝氏に、
国土地理院長から感謝状が、「測量の日」実行委員会から記念品が贈呈された。
6月1日沿岸海域地形図・同土地条件図を刊行
2万5千分の1沿岸海域地形図「都志」及び同沿岸海域土地条件図「新居浜」を刊行した。
沿岸海域地形図及び同土地条件図は、沿岸海域の管理・総合的な開発利用計画・環境保全対策などの基礎資料とするため、
全国の主要な内湾・内海を対象に沿岸海域基礎調査を行い作成したもので、
「都志」は、兵庫県淡路島中部播磨海域、「新居浜」は、
愛媛県新居浜市と土居町の燧灘に面した海域について調査した成果である。
6月2日JICA集団研修「環境地図コース」開講
国際協力に基づく広域的・統一規格の地球地図整備について、
その意義及び技術的背景を理解することを目的とする平成9年度JICA集団研修「環境地図コース」を開講した。
研修員は、5ヶ国(バングラデシュ、中国、マレーシア、フィリピン、タンザニア)から参加しており、
地理調査部を中心に8月8日まで地理情報データ整備手法等の講義、実習、見学等の科目を受講した。
6月2日~6日第6回国連アメリカ地域地図会議に出席
第6回国連アメリカ地域地図会議がニューヨークの国連本部で開催され、
アメリカ地域やヨーロッパ等から合計30ヶ国約90名が出席し、活発な情報交換及び討議を行った。
日本からは永井地理調査部長が「日本の地図事業」をはじめ3編の発表を行った。
最終日には、アメリカ地域GIS基盤常置委員会の設置、
日本提案の地球地図の推進等9件の勧告決議が採択された。
6月3日第26回国土地理院技術研究発表会を開催
第26回国土地理院技術研究発表会が、東京新宿の安田生命ホールにおいて開催され、
600名の来場者があった。
発表会では野々村院長の「国土地理院の研究開発」と題した発表の他8つの発表が行われた。
また、特別講演として中央大学理工学部情報工学科伊理正夫教授により「GIS実用化への道」と題した講演が行われた。
6月8日~21日カザフスタン共和国南部地域国家基本地理情報データ緊急整備計画のための調査団派遣
長岡地図部長他5名は、国際協力事業団(JICA)の国家基本地理情報データ整備の事前調査団として
カザフスタン共和国に派遣された。前回(3月23日~4月5日)の予備調査団による調査をふまえて同国と協議を行い、
デジタル地図データの整備など技術協力の具体的実施内容の骨子を取りまとめた。
6月10日GPS連続観測による地殻変動情報を一般公開
GPS連続観測による地殻変動情報と詳細な解析データを、国土地理院のホームページで一般への公開を開始した。
このデータは、平成5年度より開始されたGPS連続観測システムの観測局(電子基準点)から
オンラインで国土地理院に送られてきたデータの解析処理を行ったもので、毎月更新される。
6月12日北海道の湿地面積調査を公表
日本の湿地の変遷の状況を把握するため、5万分の1地形図の全国整備がほぼ完了した
大正時代の地形図と現在の地形図とを比較することにより、湿地面積の変化を調査した。
今回は、北海道の調査を行い公表した。
6月18日第39次南極観測隊員決定
南極地域観測統合推進本部は、この秋出発する第39次南極地域観測隊員の47名を決定した。
国土地理院からは、測地部測地第二課の岩田昭雄技官が夏隊員として参加する。
岩田技官は、11月14日から来年の3月下旬まで参加し、昭和基地のGPS連続観測をはじめ、
スカルブスネス地区等においてカラー写真図作成のための標定点測量、
地磁気・重力測量及び露岩域変動調査のための精密測地網測量を行う予定である。
6月23日~27日GOIN’97セミナー・ワークショップに出席
米国コロラド州ボールダー市の国立大気研究センター(NCAR)でG
OIN’97セミナー・ワークショップ会議が開催され、政春地理第三課長が出席した。
今回のセミナー・ワークショップには、日米双方から計約100名が出席し、
ネットワークによるデータ交換の活用事例等について紹介が行われた。国土地理院は、
米国地質調査所エロスデータセンターと、土地被覆分類データの精度検証のパイロットプロジェクトを実施しており、
「土地」サブグループ会議でその内容を紹介した。
6月23日~27日地球地図を盛り込んだ国連環境特別総会文書の採択
ニューヨークの国連本部で開催された国連環境特別総会の最終日、
「アジェンダ21のさらなる実行を図るためのプログラム」が採択され、
建設省・国土地理院が提唱してきた地球地図に関する記述が盛り込まれた。
地球地図は、採択文書のパラグラフ112「進展を図るための情報とツール」の中の一文に盛り込まれた。
6月25日第2回中国地区測量技術講演会を開催
第2回測量技術講演会が国土地理院中国地方測量部、
社全国測量設計業協会連合会中国地区協議会及び社日本測量協会中国支部の共催により、
岡山市内で開催された。
講演会には、国、地方公共団体、学校、民間測量会社から231名の参加があった。
6月25日~27日全国測量技術大会’97開催
全国測量技術大会’97(社日本測量協会ほか2団体主催、建設省、通商産業省後援)
が東京流通センターにおいて開催され、約16、000名の入場者があった。
技術展示(ポスターセッション)会場において、国土地理院は、数値地図2500(空間データ基盤)・数値地図25000(地図画像)等
国土地理院刊行のCD-ROM版の地図を用いたGISのデモ及び視覚障害者のための触地図作成システムを実演した。
また、新技術による測地測量として、電子基準点の設置状況、日本の新しいジオイドの決定等をパネルによって説明した。
最終日には塚原測地部長が「GPS時代の基準点」と題して講演を行った。
6月27日第24回日韓測地・地図協力会議を開催
大韓民国建設交通部國立地理院において、第24回日韓測地・地図協力会議が
開催され日本から星埜企画部長他3名が参加した。
会議では、日韓両国における測地・地図作成技術及び事業に関する情報交換、
今年度の技術協力(測地分野:GPS関連、地図分野:地名情報の構築技術、
自動編集技術及び衛星画像利用による数値地図作成等)及び
将来計画(ジオイド決定技術・絶対重力観測の協力、数値地図の品質管理、
地理情報の管理・提供技術、衛星画像による数値地図作成技術、共同研究へ向けた新たな枠組みの必要性等)
などについて活発な議論がなされた。
6月27日父島VLBI観測局完成
東京都小笠原村父島に建設中だったVLBI観測局が完成した。
同局の建設は、関東地方建設局により平成8年3月から行われていた。
敷地面積は4、887m、局舎は鉄筋コクリート造1階建(地下1階)205mで、
内部は観測室、水素メーザ(原子時計)室、絶対重力測定室などのほか、
24時間観測に対応可能な設備を備えている。