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地理院ホーム  > 刊行物・資料  > 国土地理院時報  >  国土地理院時報(2018,130集)目次  > 国土地理院時報(2018,130集)要旨 最終更新日:2018年5月29日

国土地理院時報(2018,130集)要旨

Establishment of New Geoid Model for islands in Japan“GSIGEO2011(Ver.2)”
 
測地部   小板橋勝・小島秀基・根本悟・宮原伐折羅・平岡喜文・矢萩智裕
 
【要 旨】
 国土地理院では,衛星測位を用いた測量業務の効率化(スマート・サーベイ・プロジェクト)の一環として,GNSS測量により3級水準測量に相当する標高の決定を可能とするため,高精度なジオイド・モデルの構築を進めてきた(後藤ほか,2013).電子基準点や水準点の上でGNSS測量から得られた楕円体高から水準測量による標高を差し引くことで得られるデータを整備し,平成25年4月に西日本地域について新たなジオイド・モデルに更新した「日本のジオイド2011+2000」を公開し(兒玉ほか,2013),平成26年4月には残りの東日本地域も更新した「日本のジオイド2011」(Ver.1)を公開した(兒玉ほか,2014).
 ジオイド・モデルは,GNSS測量で得られる楕円体高から標高を算出するために用いられるため,測量成果の標高及び楕円体高と整合している必要がある.通常,標高は日本水準原点を起点とした水準測量によって決定されるが,直接水準測量が実施できない離島では,測量法に基づき標高の基準を個別に定めている.また,ジオイド・モデル作成に使用できる楕円体高が整備されている基準点の点数も各島でそれぞれ異なっているため,島ごとに最適なジオイド・モデルを作成する上で個別に補正方法を検討する必要がある.そのような事情により,「日本のジオイド2011」(Ver.1)では多くの離島のジオイド・モデルが更新されていなかった.
 今回,未更新であった離島のジオイド・モデルについて4種類のジオイド補正モデルを用意し,島ごとに最適なモデルを適用することで,測地成果2011と標準偏差2cm以下で整合したジオイド・モデルを構築し,「日本のジオイド2011」(Ver.1)で公開されている地域と合わせて,「日本のジオイド2011」(Ver.2)として平成28年4月1日に公開した.本稿ではその詳細について報告する.
 
Release of Active Fault Map in 1:25,000, “KUMAMOTO revised version” and “ASO”
 
応用地理部   植田摩耶・中澤尚・安喰靖・齋藤俊信・飯田誠・山中崇希
 
【要 旨】
 国土地理院応用地理部は,平成 28 年 (2016年)熊本地震に伴って明瞭な地震断層が出現したことを受け,その区域を中心に活断層の位置・形状について調査し,調査結果を 1:25,000 活断層図「熊本 改訂版」及び「阿蘇」にとりまとめ,平成29年10 月に国土地理院の地理院地図から公開した.本稿では,両図葉に記載された地震断層と,地震発生後の最新の知見に基づき記載された新たな活断層の概要について報告する.
 
Geomagnetic Charts of Japan for the epoch 2015.0
 
測地部   高橋伸也・菅原安宏・松尾健一・矢萩智裕
測地観測センター   阿部聡
 
【要 旨】
 国土地理院では,日本全国を網羅する地形図を作成している.地形図はデジタル化が進んでシームレスとなり,GNSS測位を用いることで地形図上における自分の場所を容易に知ることが可能となった.また,方角は方位磁針や磁気センサーを用いることで,磁石の指す北である「磁北」を基準とした自分の向きが分かる.ところが,これだけでは地形図上における自分の向きを正確に知ることができない.これは「磁北」と地形図の北である「真北」がずれていることが原因である.地形図上における自分の向きを正確に知るには,「磁北」と「真北」のずれ(偏角)を補正しなければならない.様々な情報が電子化された現代社会においても偏角は依然として重要な地理空間情報の一つであり,時間的及び空間的に変化する偏角情報を鮮度良く社会に提供するためには地磁気測量に基づいた正確な偏角を更新し続ける必要がある.
 地磁気とは,地球が持つ固有の磁場のことであり,これは時間的にも空間的にも常に変化している.国土地理院では,日本全国の磁場分布とその永年変化を把握するため,1950年頃から地磁気測量を実施してきた.その成果として,日本全国の磁場分布を図に示した「磁気図」を定期的に更新している.2016年12月1日には,最新の磁気図として,2015年1月1日0時(協定世界時)における磁場の分布を表した「磁気図2015.0年値」を作成し,公表した.
 本稿では,磁気図2015.0年値の作成手法や精度評価について報告する.
 
Volcanic Deformation of Atosanupuri Volcanic Complex in the Kussharo Caldera, Japan, from 1993 to 2016 Revealed by JERS-1, ALOS, and ALOS-2 Radar Interferometry
 
地理地殻活動研究センター   藤原智・矢来博司・小林知勝
測地部   飛田幹男
北海道大学   村上亮
京都大学   西村卓也
 
【要 旨】
 1994年頃,北海道東部の屈斜路湖東岸にあるアトサヌプリ火山群において直径十数kmほどの範囲が20cm以上膨張し,その後徐々に元に戻る地殻変動が人工衛星を利用した干渉合成開口レーダーによって見いだされた.その後,後継衛星を用い,20年以上にわたる火山性地殻変動の推移を求めた.
 アトサヌプリ火山群では活発な噴気が続いているものの,噴火等の活動はこの時期に観測されていない.しかしながら,地殻変動からは,地下数kmの深さの場所にマグマと考えられる火山性の熱流体が貫入することで火山体が膨張したあと,ゆっくりと収縮が継続したことが見出され,人知れず静かに進む火山活動の把握には,長期にわたる人工衛星からの観測が有効であることが確かめられた.
 
Validity Verification of the Seismic Ground Disaster Assessment System (SGDAS)
 
地理地殻活動研究センター   中埜貴元・大野裕幸
 
【要 旨】
 国土地理院では,地震発生後概ね15分以内に,斜面崩壊,地すべり,液状化といった地盤災害が発生した可能性を,震度と地形等の地理的特性との関係から自動的に予測・推計するシステム(SGDAS)を開発し(神谷ほか,2014),国土地理院内で運用している.この推計結果は,地震直後においてほとんど現地の被害情報が得られていない段階で,どこでどの程度の地盤災害が発生した可能性があるのかを把握する手がかりとなり,国土交通省の災害対策本部に提供されるとともに,国土地理院における空中写真撮影計画の立案等にも利用されている.
 SGDASによる推計結果は,過去の地震事例において一定水準の妥当性が確認されているが(神谷,2013),2016年4月16日1時25分頃に発生した熊本地方を震源とする地震の実被害例を用いてその妥当性を再検証した.その結果,斜面災害予測は実際の土砂崩壊発生箇所を概ねカバーできていたが,土砂崩壊が実際にはほとんど発生しなかった地域を過剰に予測したケースがあり,実際の災害対応での利用を想定すると予測アルゴリズムまたは脆弱な地質の評価への寄与方法を改良する必要があることが分かった.また,液状化予測においては見逃しが多発したが,予測アルゴリズム自体は実際の発生傾向と調和的であり,予測に使用する地形分類情報の高分解能化・細分化が必要であることが分かった.今後のSGDASの利活用の方向性も含めて,改良の必要性等の議論が必要と考える.
 

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