国土地理院時報(2013,124集)要旨

Detection of ground subsidence by InSAR time series analysis
 
測地部  山中雅之・森下遊・大坂優子
 
【要 旨】
  国土地理院は,地盤沈下・地すべりによる地盤変動や火山活動や地震による地殻変動の監視を目的に,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載されたL バンド合成開口レーダー(PALSAR)の観測データを用いてSAR干渉解析を定常的に実施している.また,地盤変動の検出における干渉SAR技術の有効な活用方法を実証することを目的とした研究開発を継続して実施している.
  今回,地盤変動の一種である地盤沈下について,干渉SARによる検出能力を検証するために,ALOS/PALSARデータを用いたスタッキング及び干渉SAR時系列解析の精度の検証を行った.スタッキング及び時系列解析による変動量は,変動の範囲,大きさともにほぼ一致する.また,スタッキング及び時系列解析の結果と水準測量との結果の比較を行ったところ,その最大較差はいずれの地域,手法においても,年間2cm以上の地盤沈下地域を特定するのに十分な精度を得られることが示された.
 
  本文[PDF:4,114KB]
 
 
Monitoring of the Crustal Movement Jawa and Sumatra in Asia-Pacific Region
 
測地部  鈴木 啓・吉川忠男
測地観測センター  今給黎哲郎
地理地殻活動研究センター  西村卓也
 
【要 旨】
  国土地理院は,平成21年から3年間,独立行政法人科学技術振興機構(以下,「JST」という.)と独立行政法人国際協力機構(以下,「JICA」という.)が推進している地球規模課題対応国際科学技術協力事業の「インドネシアにおける地震火山の総合防災策」プロジェクトに加わり,測地観測に基づく地殻変動監視を目的としてジャワ島とスマトラ島(インドネシア共和国)においてGNSS観測点を設置した.本プロジェクトは,平成23年度に終了したが,インドネシア側の関係機関から観測継続に対して強い要望があったため,国土地理院では,平成24年度からアジア太平洋地域地殻変動監視事業においてGNSS観測点を維持し,データを管理・解析することとした.
  アジア太平洋地域地殻変動監視事業は,アジア太平洋地域の地殻変動を監視すると共に同地域の基準座標系(Asia-Pacific Reference Frame;「APREF」)の構築に貢献するため,南太平洋地域に設置したGNSS観測点を維持管理し,GNSS解析を実施している.そこで,ジャワ島・スマトラ島で観測したGNSSデータについて,アジア太平洋地域の地殻変動監視事業で活用しているGNSS解析支援システムでの解析を実施した.また,ジャワ島に設置したGNSS観測点は,断層運動の監視を目的として設置したため,広域かつ面的に地殻変動を監視できるSAR干渉解析も試みた.
 
  本文[PDF:3,234KB]
 
Accuracy Verification of Intensity Image Created from MMS Data
 
基本図情報部  藤原博行・伊藤裕之・笹川啓・大野裕幸
 
【要 旨】
  国土地理院では,平成23年度からMobile Mapping System(MMS)で取得したデータによる効率的な電子国土基本図(地図情報)(以下,「電子国土基本図」という.)の更新手法について検討を行っている.
  MMSを用いた図化手法には複数の手法が存在しているが,作業性などを考慮し,電子国土基本図の最も適切な更新手法として,レーザ点群データから作成した反射強度画像を用いる図化手法を選択し,その反射強度画像が電子国土基本図の更新に必要な位置精度を有しているか精度検証を行った.
  反射強度画像の水平位置精度検証は,上空視界が良好,不良の2地域で行ったが,どちらの地域に関しても,反射強度画像は地図情報レベル500を満たす精度を有していることが確認できた.これだけの精度を有しているのであれば,電子国土基本図の更新にも十分利用可能であるといえる.
  また,図化作業時の参考用にMMSから取得した全方位画像を電子国土Webシステム上で閲覧できるWebサイトを試作した.
 
  本文[PDF:1,556KB]
 
Improvement of Airborne SAR and Research of Extracting Water Area in Disaster
 
基本図情報部  伊藤裕之・笹川啓・藤原博行・大野裕幸
 
【要 旨】
  航空機搭載型合成開口レーダ(以下,「航空機SAR」という.)は,マイクロ波センサの特性により,雲や噴煙などの影響を受けずに昼夜を問わず観測が可能であることから,災害時の被災状況の早期把握への活用が期待される.国土地理院では,平成8年度~平成9年度にかけて航空機SARを整備し,浅間山や霧島山(新燃岳)等の火山観測を実施してきたところである.平成23年度~24年度初めにかけて,豪雨災害や津波により発生した湛水域の早期把握を目的として,航空機SARの改修を実施し,空中写真撮影用のカメラとの同時搭載,雨天時における飛行,観測映像の迅速な提供,搭載所要時間の短縮といった災害時観測のための機動性の向上を実現した.また,平成23年9月の台風12号により発生した河道閉塞箇所(奈良県十津川村栗平地区)の湛水域について試験観測を実施して湛水域抽出手法の検討を行い,観測データの解析により湛水域の概形の抽出が可能であることを確認した.
 
  本文[PDF:1,576KB]
 
High precision topographic survey of lakes
 
応用地理部  畠山真介
 
【要 旨】
  平成23年の東日本大震災により,甚大な被害を受けた沿岸湖沼のうち,「松川浦」(福島県)及び「万石浦」(宮城県)において,瓦礫の撤去や漁場再生などの復旧・復興事業等の基礎資料となる,高精度の水深データを作成するため,マルチビーム音響測深機を使用した高精度湖底地形調査を実施した.
  また,平成24年度には山梨県富士五湖のうち,「西湖」の調査を実施した.「西湖」は昭和39 年の調査から48年が経過し,湖とその周辺の環境が大きく変化していることから,再度調査を行うこととした.
  これらの調査について概要を報告する.
 
  本文[PDF:3,872KB]
 
Postseismic Deformation Following Great Earthquakes, Based on GEONET
 
測地観測センター 木村久夫・宮原伐折羅・宮川康平
 
【要 旨】
  2011年3月11日,東北地方の沖合で平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(M9.0,以下,太平洋沖地震と呼ぶ)が発生した.国土地理院のGNSS連続観測システム(GEONET)は,この地震に伴い,M牡鹿の観測点で東南東方向に540cmの地殻変動を観測するなど,東日本を中心とした広い範囲で大きな地殻変動を観測した(水藤他,2011a). また,地震後に東北地方を中心とした広い範囲で,余効変動と呼ばれる継続した地殻変動も観測され(水藤他,2011b),2012年12月現在も継続している.国土地理院では,地震後のGEONET観測点の座標時系列を関数に近似することで,余効変動の推移を監視し,第191回地震予知連絡会(2011年6月)から報告を行っている.本稿では,太平洋沖地震の余効変動について,GEONETの観測結果を関数で近似する手法の妥当性に関して検討を行った結果を報告する.
  さらに,太平洋沖地震と同じく海溝型の巨大地震であった平成15年十勝沖地震(M8.0)においても,長期間の余効変動が報告されているため,同じ手法で検証を行った.
 
  本文[PDF:4,381KB]
 
Development of Index of Earthquake-derived Crustal Deformations detected by GEONET
 
測地観測センター 木村久夫・宮原伐折羅
 
【要 旨】
  国土地理院がGNSS連続観測システム(GEONET)の運用を開始して17 年が経過し,その前身である全国GPS連続観測網(GRAPES),地殻連続歪監視施設(COSMOS-G2)の運用を含めると20 年近く観測を継続してきた.その間,GNSS観測により,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震をはじめ,平成15 年(2003年)十勝沖地震,平成16 年(2004年)新潟県中越地震,平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震等,多くの地震活動に伴い地殻変動を観測してきた.これらの地震に伴うGEONETが捉えた地殻変動は,地震調査委員会,地震予知連絡会等で報告され,地震現象を理解するために不可欠な基礎資料として広く利用されている.
  地殻変動に関するこれらの資料は,会議の目的に応じて適宜作成され,Webページ,記者レク,会報などの形で公表されているが,速報性を重視する場合には,迅速解(Q3解),速報解(R3解)による地殻変動が最終的に公表されており,最終解(F3解)による地殻変動が公表されていないままとなることや,生じた地殻変動を時系列や地域によって体系的に整理した,“公式の”国土地理院の地殻変動観測結果としてまとめられていない,といった課題があった.そこで今回,過去資料を整理し,地震活動による地殻変動カタログを作成したため,報告する.
 
  本文[PDF:649KB]
 
 
Realization of Efficient and Low-cost Surveys -Approach of Smart Survey Project-
 
測地部 後藤清・林保・飯村友三郎・越智久巳一・日下正明・岩田和美・井上武久・宮本純一・佐藤雄大・河和宏
 
【要 旨】
  国土地理院では,平成24年11月にGNSSを活用して測量業務の効率化を図ることを目的とした「スマート・サーベイ・プロジェクト」(以下,「SSP」という.)を平成26年3月までの約1年半の活動として始動させた.SSPでは,公共測量において,全国どこでもGNSSの活用による標高の測量と電子基準点を活用した基準点測量が行えるようにするために,二つのマニュアル(案)を平成25年4月に公表した.
  平成25年度中に,二つのマニュアル(案)の試行作業等により,さらなる改善を図り実用化を推進する予定である.
  本稿では,SSPの取り組み及び二つのマニュアル(案)の概要等について報告する.
 
  本文[PDF:2,133KB]
 
Establishment of New Geoid Model “GSIGEO2011+2000” -Revision of Geoid Model in Chugoku, Shikoku, Kyusyu Region-
 
測地部 兒玉篤郎・森下遊・宮原伐折羅・河和宏・海老名賴利
地理地殻活動研究センター 黒石裕樹
 
【要 旨】
  国土地理院では,衛星測位を用いた測量業務の効率化(スマート・サーベイ・プロジェクト)の一環として,GNSS測量により3級水準測量に相当する標高の決定を可能とする(後藤ほか,2013)ため,高精度なジオイド・モデルの構築を進めている.今回,西日本地域について高精度化した新たなジオイド・モデル「日本のジオイド2011」を構築し,それを既公表の全国モデルに組み入れた「日本のジオイド2011+2000」として平成25年4月に公開した.新たなモデルは,最新の日本の重力ジオイド・モデル「JGEOID2008」(Kuroishi, 2009)をベースに,最小自乗コロケーション法(LSC)を用いて,水準測量とGNSS測量により計測されたジオイド高に適合させることで作成した.得られたモデルは,観測ジオイド高と標準偏差2cmで整合している.
  新たなモデルの適用範囲は,一部島しょ部を除く,中国・四国・九州地方の西日本地域である.その他の地域については,既公表である「日本のジオイド2000」(国土地理院,2003)に改変を加えていないため,全国のモデルの名称を,「日本のジオイド2011+2000」とした.今後,残りの地域についてのモデル構築を進め,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴い改定した測地成果2011(檜山ほか,2011)に整合する,高精度なジオイド・モデルを全国整備し,「日本のジオイド2011」として公表する予定である.
 
  本文[PDF:2,705KB]
 
Report of Advisory Committee on Digital Japan Basic Maps -To provide valuable and user-friendly Digital Japan Basic Maps-
 
基本図情報部 下山泰志・中島最郎
 
【要 旨】
  国土地理院は,今後の国土の基本的な情報のあり方を検討するため,平成24年2月に学識経験者等からなる「電子国土基本図のあり方検討会」(以下,「検討会」という.)を設置した.検討会では6回の会議を経て,平成25年7月30日に「利用者に価値ある使いやすい電子国土基本図を目指した提言」が取りまとめられた.この提言では,電子国土基本図が利用者にとって価値ある使いやすいものとなるよう,電子国土基本図のデータの取得,表現,提供,活用の観点から今後の方策が示されており,これを受けて刊行された「数値地図(国土基本情報)」や「電子地形図25000」の内容は,この提言を踏まえたものとなっている.本稿では検討会における取り組みについて,この提言を中心として報告する.
 
  本文[PDF:2,324KB]
 
Calculation of “Sea and Land Areas and Their Ratio of Each Latitude Band” by Global Map Version 2
 
応用地理部 須賀正樹・安藤暁史・鵜生川太郎・植田摩耶
 
【要 旨】
  国土地理院は,地球地図国際運営委員会(International Steering Committee for Global Mapping: ISCGM)事務局として,千葉大学及び各国政府の地理空間情報当局(National Geospatial Information Authority: NGIA.日本における国土地理院に相当する政府機関.)と協働して,地球全体をカバーする地理空間情報の1つである地球地図全球版第2版(土地被覆)(Global Land Cover by National Mapping Organizations: GLCNMO.以下「GLCNMO第2版」という.)を整備し,公開を行っている.今回,このデータを基に世界各緯度帯の海陸の面積及びその比を検証可能な形で計算した.
  現行の理科年表の地学部に掲載されている「世界各緯度帯の海陸の面積とその比」(国立天文台編,2013, p.581.以下「本表」という.)には,地球上の各緯度帯(10度毎)における陸地及び海洋の面積並びにその比が掲載されている.本表で示されている陸地及び海洋の面積の算出に用いられたデータの諸元や算出方法については,「主としてベッセル楕円体に依拠しているが,地図を作成する上での準拠楕円体は国によって異なる.そのため,面積の集計にはこれらの違いが含まれる.」と記載されているのみであり,精度の検証は不可能である.また,我が国でも2002年から世界測地系が導入されたように,準拠楕円体が従来のベッセル楕円体から,地球を最もよく近似している楕円体として広く用いられているGRS 80楕円体へと世界的に変更されつつある.今回,GLCNMO第2版を基にGRS80楕円体を準拠楕円体として検証可能な形で面積とその比を計算した結果,本表の情報と差異があったため,平成26年版の理科年表に反映されるよう関係者等に修正等の依頼を行った.
 
  本文[PDF:1,189KB]
 
Development of data exchanging between a spreadsheet and Digital Japan Web
 
地理空間情報部  髙桑紀之
 
【要 旨】
  地理院マップシート(以下,「マップシート」という.)は,Microsoft(R) Excelを用いて国や地方公共団体が保有する帳票形式のデータに,座標値を付加して地図上で見えるようにし,業務の効率化,高度化を図ることを目的として開発したものである.
  マップシートは,2011年度から,電子国土基本図等の利用促進のために開発したものが最初であり,現在も国や地方公共団体等の要望に応じて改良を続けている.
  本報告では,マップシートの主な機能とその要素技術について紹介する.
 
  本文[PDF:1,582KB]
 
Transition of Land Reclamation Area along Tokyo Bay Side using Land Area Survey by GSI and Problem of Land Reclamation area
 
地理地殻活動研究センター  小荒井衛・中埜貴元
 
【要 旨】
  東京湾は遠浅の内湾であり,江戸時代以降の後背地の人口増加に伴って,様々な利活用が進められてきた.内湾の利活用の形態の一つに,埋め立てによる新たな土地の創出があり,江戸時代の初期から埋め立てが行われてきている.東京湾の埋立地の変遷の総括的なレビューが東京都の範囲のみでしか行われていないため,神奈川県や千葉県も含めた東京湾全域について,1965(昭和40)年以降の毎年の市区町村別埋め立て面積を国土地理院の資料から集計し,その変遷の地理的な特質について整理を行った.その結果,地域によって埋め立ての推進される時期や埋立地の土地利用に違いがあることがわかり,それは時の経済情勢や政策,市民の感性などに応じた利用ニーズの変化に対応した結果と推察された.また,自然環境の喪失,地盤沈下,液状化,地層汚染の視点から,埋立地の持つ問題点について整理した.
 
  本文[PDF:2,863KB]
 
 
Geodetic examination of uplift in the Hotaka peaks, northern Japan Alps ~ GNSS observation at the 1st–order triangulation point “Hodakadake” ~
 
地理地殻活動研究センター  西村卓也
国土地理院穂高岳測量班
 
【要 旨】
  最近数百万年の間の急激な隆起によって形成されたと考えられている飛騨山脈(北アルプス)が,現在でも隆起しているかを明らかにするため,1999年,2005年,2008年,2012年に,前穂高岳山頂にある一等三角点「穂高岳」でのGNSS観測を行った.その結果,1999年,2005年,2008年の3回の観測からは,年間約5mmの隆起傾向が明らかとなった.しかし,2012年の観測データは,2008年に比べて約8mmの沈降を示した.この沈降は,東北地方太平洋沖地震や周辺で発生した群発地震の影響を受けた可能性がある.飛騨山脈北部の立山周辺に設置されたGNSS連続観測点のデータは,経年的な隆起傾向を示しており,穂高岳の観測結果と合わせて,飛騨山脈は現在でも隆起していると考えられる.
 
  本文[PDF:1,866KB]
 
Approach for Monitoring of Small Ground Surface Deformation by InSAR Time Series Analysis
 
測地部  森下遊・鈴木啓
地理地殻活動研究センター  小林知勝
 
【要 旨】
  国土地理院では,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)のLバンド合成開口レーダー(PALSAR)のデータを使用して,全国の地盤沈下,地すべり及び火山地域を対象に,地盤変動の監視を目的として定常的にSAR干渉解析を実施してきた.今後は2013年度内に打ち上げ予定のALOS-2データを使用して,日本全国を対象にして定常解析を実施する予定である.
  従来のSAR干渉解析技術では地盤変動の計測精度が数cmであったため,微小な規模で進行する変動を検出することは困難であった.このような計測精度の問題を改善するために,近年,国土地理院では,SAR干渉解析の発展的手法である「干渉SAR時系列解析」に関する調査・研究を実施しており,より高精度な結果が得られている.しかし,解析技術には発展の余地があり,実用化へ向けてはまだ多くの課題が残されている.
  そこで,ALOS-2データを使用した干渉SAR時系列解析による日本全国の地盤変動監視の実用化を目指し,さまざまな誤差低減手法の干渉SAR時系列解析への適用や効率的な解析機能及び出力機能の開発を行った.また,実際にALOSデータを使用して,これらの手法を適用し,関東地方及び九州地方を対象に干渉SAR時系列解析を実施した.その結果,効率的かつ高精度に地盤沈下,地すべり及び火山地域の変動を検出することができ,干渉SAR時系列解析による全国の地盤変動監視の実現可能性を確認することができた.一方,長波長ノイズや山岳地域では良好な結果が得られないといった新たな問題点も明らかになった.今後も干渉SAR時系列解析による地盤変動監視の実用化へ向けて,調査・研究を続けていく.
 
  本文[PDF:1,808KB]
 
Steering Global Mapping Project and Developing Global Map Version 2
 
応用地理部  鵜生川太郎・安藤暁史・齋藤俊信・植田摩耶・山田晃子・須賀正樹
 
【要 旨】
  国土地理院では,2008年の地球地図第1版公開以降も,引き続き地球地図国際運営委員会事務局として地球地図プロジェクトの推進に取り組んできた.その結果,地球地図第2版の整備が進み,より多くの国の地球地図データが利用できるようになるとともに,全球をカバーする土地被覆や植生データについても,より高い解像度で整備し,公開が行われた.
  また,地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会をはじめとした国際的なイニシアティブ等との連携も進めており,国際的なニーズに沿った信頼のできる地理空間情報の整備に貢献している.
 
  本文[PDF:3,976KB]
 
Modernization of GEONET from GPS to GNSS
 
測地観測センター  辻宏道・宮川康平・山口和典・矢萩智裕・大島健一・山尾裕美・古屋智秋
 
【要 旨】
  国土地理院は,全国でGPS衛星の連続観測を行う電子基準点を平成6年から運用している.平成25年5月10日,従来のGPS衛星に加え,電子基準点で観測した準天頂衛星及びGLONASS衛星のデータ提供を全国で開始し,我が国でも本格的なGNSS時代が始まった.本稿では,電子基準点のGNSS対応の背景や経緯,現在までに得られたGNSS利用の効果,今後の計画等について述べる.
 
  本文[PDF:3,206KB]