VLBIグローバル解析による地球姿勢パラメータの高精度決定

Highly Precise Determination of Earth Orientation Parameter by VLBI Global Solutions

測地部  小門研亮・町田守人・高島和宏
Geodetic Department  Kensuke KOKADO, Morito MACHIDA and Kazuhiro TAKASHIMA

要旨

 国土地理院は世界測地系の維持や、そのために必要な地球姿勢パラメータの決定等を目的として、国際VLBI事業(International VLBI Service for Geodesy and Astrometry; IVS)の枠組みの下、国際および国内超長基線測量を実施している。現在では年間150回余りの測量を実施しており、それらの観測データを一次解析したのち、IVSにデータベースを提供している。一次解析では基準局を固定したときの相対的な各観測局位置等を決定することはできるが、地球内での位置を決める地球基準座標系における観測局の三次元座標を決定することはできない。地球基準座標系(TRF)における三次元位置を高精度に決定するには、地球自転速度(UT1)などを含む地球姿勢パラメータ(Earth Orientation Parameter; EOP)も同時に求める必要がある。この地球姿勢パラメータと地球基準座標系における観測局位置を決定するために必要なのが、複数の観測データベースを用いて行うグローバル解析である。国土地理院では平成14年度よりグローバル解析に取り組んでおり、その手法を確立し、決定精度を向上させてきた。
 グローバル解析を実施するには、一次解析された世界中の観測データベースが多数必要である。IVSのデータセンターでは1979年から2006年現在までに6000回以上の観測データベースが蓄積されている。今回のグローバル解析では、1980年から2006年6月までのVLBI観測データベースをダウンロードして解析し、地球姿勢パラメータや日本周辺観測局の三次元座標を高精度決定した。また、2005年9月にはIVSの下、15日間連続観測であるCONT05観測が実施され、つくばVLBI観測局もこれに参加した。このCONT05観測データをグローバル解析することによって、通常の観測データベースからは得られない15日間の詳細な地球自転速度の短期変動を求めた。この短期変動をさらに調査することで地球の大気運動など, 地球回転速度を変化させるメカニズムとの関連性を追及することができると思われる。

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