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セミ・ダイナミックな測地系の構築に向けた取り組みについて

Development of Semi-dynamic Datum in Japan

測地部
田中愛幸・岩田和美・豊田友夫・平井英明・川口 保・松坂 茂
Geodetic Department
Yoshiyuki TANAKA, Kazumi IWATA, Tomoo TOYODA, Hideaki HIRAI, Tamotsu KAWAGUCHI and Shigeru MATSUZAKA
測地観測センター  畑中雄樹
Geodetic Observation Center  Yuki HATANAKA
地理地殻活動研究センター  飛田幹男・黒石裕樹・今給黎哲郎
Geography and Crustal Dynamics Research Center
Mikio TOBITA, Yuki KUROISHI and Tetsuro IMAKIIRE

要旨

 基準点測量成果は、 プレート運動に伴う地殻変動による歪を含んでいるものの、 基準点測量が局所的に行われてきたために時間的に一定であると見なして差し支えなかった(「スタティック」な測地系)。 ところが、 GPSの導入に伴い、 新点設置時に遠方の基準点を用いることができるようになったため、 地殻変動の歪みが測位誤差を生み、 局所的な測量で求めた基準点成果との不整合を生じさせてしまう。 しかも、 成果を決定した時点から時間が経過するほど、 歪による誤差は増大していく。
 そこで、 成果を常に現在の座標に改定すれば、 観測値と成果との整合性を、 いつでも保つことができる(「ダイナミック」な測地系)。 しかし、 成果そのものが時間変動するために、 位置基準としての安定性は失われてしまう。
 セミ・ダイナミック測地系は、 上に述べたスタティックな測地系とダイナミックな測地系の欠点を補うことで、 測量成果の整合性と安定性を確保する手法である。 すなわち、 成果は一定のまま観測値に対してダイナミックな(=時間変化を考慮した)地殻変動の補正を行うことで、 測量結果を求めるエポックである測地成果2000を定めた年(元期)に統一する。 本稿では、 この仕組みについて説明する。
 続いて、 基本測量での補正を目的とした地殻変動モデルの開発と精度検証を行う。 地殻変動モデルは、 電子基準点及び高度地域基準点のデータを利用して作成する。 電子基準点を与点とする全国の四等三角点の測量結果にこのモデルを適用したところ、 電子基準点間の閉合差が、 1割未満に減少することが確認された。
 ネットワーク型RTK-GPSにおいても、 最近、 独自の地殻変動補正手法が開発されている。 実証試験観測によりそれらの手法を調査した結果、 補正手法の違いはあるものの測位結果はどれも10mm前後で一致し、 また、 地殻変動が正しく補正されていることを確認した。 補正した地殻変動量は、 国土地理院のモデルとも10mm程度で一致し、 今後、 基本測量での補正手法の確立や、 ネットワーク型RTK-GPSでの補正手法の標準化を進めていく。

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