GPS連続観測データを用いた地殻監視支援装置の開発

Development of Support System for Crustal Deformation monitoring using Continuous GPS Data

測地観測センター
小清水 寛・雨貝知美・石倉信広・根本盛行・納田俊弘・山口和典
Geodetic Observation Center
Hiroshi KOSHIMIZU, Tomomi AMAGAI, Nobuhiro ISHIKURA, Moriyuki NEMOTO, Toshihiro NODA and Kazunori YAMAGUCHI
国土交通省総合政策局  植田 勲
Ministry of Land, Infrastructure and Transport Policy Bureau  Isao UEDA

要旨

 GPS連続観測データの24時間解析解(F2最終解・R2速報解)から,一定期間の基線変化量を歪図的な発想を用いて三角網上に可視化し,自動的に電子国土Webシステム上にアップすることによって,地殻監視の障害となる異常観測点情報を日々効率的に検出し,地理情報として蓄積・提供するシステムを開発した.また,6時間解析解(Q2迅速解)から,指定された基線網における基線変化をWeb上に自動掲載する,および直近期間の飛び・ばらつきをチェックし自動配信するシステムを併せて開発した.
 検出した異常観測点のうち,観測点周辺環境の異常(レドームへの積雪・樹木による受信障害等)に起因する可能性があるものについては,その影響を受けた衛星データをエポック毎にRINEXファイルから除去する再解析支援プログラムを開発し,基線解析を行うことによって,異常原因を推定し,除去した.
 異常観測点の検出の対象を,観測点周辺環境によるものだけでなく,時定数の長い緩やかな非定常地殻変動の検出や傾向変化の把握に広げるために,非定常速度変化監視プログラムを開発した.この結果,可視化された速度変化から,非定常地殻変動の開始・収束・傾向変化を容易に監視出来るようになった.
 最後に,迅速解よりも更に時間分解能を増した定常解析解(緊急解析解)の地殻監視へ向けた有効性を検証するために,2004年紀伊半島南東沖の地震の再解析(前震と本震の地殻変動の分離)を行った.その結果,地震活動に伴う地殻変動の主要部分は本震に伴うものである可能性が示された.

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