2003年の宮城県の二つの地震時における災害調査-5.26宮城県沖の地震・7.26宮城県北部地震-

Disaster caused by two earthquakes of Miyagi Prefecture in 2003
-Miyagi-Oki Earthquake on May 26 ; Northern Miyagi Earthquake on Jul 26-

地理調査部  関口辰夫・福島康博・丹羽俊二・小野 康
Geographic Department  Tatsuo SEKIGUCHI,Yasuhiro FUKUSHIMA,Shunji NIWA,Yasushi ONO
東北地方測量部  市川清次
Tohoku Regional Survey Department  Seiji ICHIKAWA

要旨

 2003年に宮城県下で相次いで発生した二つの地震による災害について,地理調査部は東北地方測量部の協力を得て現地調査を行ったので,その結果について報告する。

 5月26日の宮城県沖の地震は宮城県北部から岩手県南部にかけての広い地域で被害をもたらした。宮城県栗原郡築館町では,火砕流堆積物からなる丘陵を階段状にした造成地で,谷を埋めた盛り土が地震動によって流動化し,崩壊した。岩手県稗貫郡石鳥谷町付近では東北新幹線の橋脚が破損した。岩手県大船渡市の大船渡港の岸壁では,埋め立てに使われた砂礫の液状化による噴砂や亀裂がみられた。震源に近い宮城県気仙沼市や石巻市では,亀裂の多い不安定な崖からの落石があった。

 7月26日の宮城県北部地震では石巻の西10kmの旭山撓曲付近を中心として,局所的に被害がみられたので,当初は旭山撓曲が活動したとみられていた。南北にのびる撓曲崖を横切る道路には横断亀裂が何カ所か認められたが,いずれも小規模なものであった。水準測量やGPS測量による上下変動から計算した断層モデルでは,断層面は旭山撓曲より数km東にあると推定された。河南町広淵では砂州・砂堆上の柏木・町地区と三角州・海岸平野上に盛り土をした砂押地区で家屋被害に大きな差がみられた。盛り土上では被害の大きい建物が50%以上であるのに対し,砂州・砂堆上では10%であった。河南町久米田では丘陵の尾根を削り,谷を埋めて階段状に水田を造成したところで崩壊が発生した。5月26日の築館と同じような条件下での崩壊であった。

戻る