宇宙測地における座標系の取り扱いについて-その1 標高基準-

Reference Frames in Space Geodesy Era
-Part 1: Gravity and Height

地理地殻活動研究センター   黒石裕樹
Geography and Crustal Dynamics Research Center   Yuki KUROISHI

要旨

 近年,宇宙測地技術,とくにGPS,の測地測量への普及により,地上における位置の決定や移動体の航法支援が効率化,高精度化された。このような技術の進展は,また,位置基準である測地座標系の国際化を必要とするようになった。宇宙測地技術による測地測量は,観測点の3次元位置を提供するが,日常生活で重要な位置情報の一つである,ジオイド面を基準とした高さを直接に与えるわけではない。そのため,宇宙測地技術による測位精度に適合した標高成果や,基準のジオイド面の3次元位置を与えるジオイド・モデルの整備が必要とされるようになった。こうした背景を受けて,日本の測地基準系が先頃改定された。この機会に,宇宙測地技術に基づいて構築される測地座標系や標高基準系に関して,その基本となる事項や成果の取り扱いについて解説を試みることとした。本稿は,その1として標高基準をとりあげる。 戻る