地球回転パラメータの時間変動に関する研究
提案課・室名 問合せ先 |
課・室名:地理地殻活動研究センター 宇宙測地研究室 住 所:茨城県つくば市北郷1番 TEL:029-864-1111 内線8342 FAX:029-864-2655 担当者名:宇宙測地研究室 眞崎良光 |
研究課題名 | 地球回転パラメータの時間変動に関する研究 |
研究制度名 | 特別研究 |
研究期間 | 平成16年4月 ~ 平成19年3月 (3年間) |
(1) 課題分類 | 地球と国土に関する科学の発展に寄与する研究開発 |
(2) 研究開発の背景・必要性 | 地球に関する未知の事象の解明に取り組み、関連科学の進展に寄与するとともに、測量行政と一体的に研究開発を進め、測量事業の改善を図ることは国土地理院の研究開発の使命でもある。国土地理院では国際的な観測の枠組みの中でVLBI観測が定常的に行なわれており、地球回転パラメータを含めた解析が実施されている。将来さらなる測位精度向上のためには、地球回転パラメータの決定等が測地行政に要求される。 地球回転に関するパラメータは、地球の自転軸の方向(歳差・章動)や自転速度(UT1)を記述した量であり、基準座標系の構築やGPSによる測位解析においても必要である。現実の地球の自転はふらついており、剛体地球による規則的な変動とともに、大気・海洋・地球深部流体核など非剛体地球による不規則な変動が観測されている。後者は地球環境変動の理解に役立つと期待されており、国際的観測も行なわれている。その一方で、測地精度向上のためには、(究極的には)地球の非剛体部分をモデルに加えた、高精度の地球回転モデルの構築が必要である。 また、近年の地球自転速度変化率が以前と異なる傾向を示していることなどが報告され、地球科学的にも研究の好機である。 |
(3) 研究開発の目的・目標 | 地球回転モデルの高精度化を図るとともに非剛体地球の自転の特性を調べることを目的とする。基礎研究として、地球回転変動を励起させている現象の周期特性や定常性(過去から現在までの観測データに定常的に現れているか)を明らかにし、データから現象を検出する手法を探る。 |
(4) 研究開発の内容 | 当初1ミリ秒角(mas)から最近では約0.1masにも達する高精度でかつ十数年にわたるVLBIデータが蓄積され、新たな地球回転のモデル構築の可能性がある。比較的長周期の変動(年スケール以上)に主眼を置き、これらのデータの期間を区切りながら周期解析を行ない、変動の周期特性や現象の定常性を明らかにするとともにその物理モデルの考察をする。また観測データの中から現象を検出するために適当な平均化の手法(対象期間)についても検討する。 |
(5) 研究開発の方法、実施体制 | 宇宙測地研究室では課題提案者(眞崎)が主として研究作業に携わる。また室長が統括にあたり、VLBI観測データの提供等に関しては測地部測地第二課に相談しながら進めていく予定である。 |
(6) 研究開発の種類 | 1.基礎研究 |
(7) 現在までの開発段階 | 1.研究段階 |
(8) 想定される成果と活用方針 | 地球回転パラメータは高精度の基準座標系を構築するために不可欠なものである。また地球回転パラメータを利用した、GPSをはじめとする宇宙測位の精度向上にも貢献できる。 モデルとの不一致の原因はその本質がよく分かっていない非剛体地球の特性から生じるものである。このような非剛体地球の物理の解明に成功すれば、地球の深部や外層流体の理解に貢献するだけでなく、精密な地球回転モデルの構築に活用することもできる |
(9) 研究に協力が見込まれる機関名 | 研究の進捗によって、国立天文台や気象研究所と協力することが考えられる。 |
(10) 関係部局等との調整 | 特になし。 |
(11) 備考 | 特になし。 |