講評

(委員)
研究開発五箇年計画について、国土地理院より個別分野では比較的まとまっているが全体のまとまりが難しいと報告があった。私も国土地理院がしたいこと、国民に対して一番訴えたいことがわかりにくかった。
次期五箇年計画を策定する際には、そういったものをわかりやすく平易に記述して盛り込んでほしい。そうすれば、例えば海面上昇についても重要性、研究期間あるいは予算の議論が具体的にできる。本来大切であるにもかかわらず、目標設定が悪く成果が出そうにないので目標を下げるのは、本来の目的から逆行するものである。

(委員)
中間評価の観点において、「計画の実施に対するもの」あるいは「当初目標に対するもの」の中に細かい項目がある。この中を見ると、国土地理院が行っている事業にどれだけ貢献したかという項目がある。そうすると、どうしても応用研究が主体になってくる。
基礎研究の場合は事業への貢献に対する評価が低くなってしまう。どちらかというと、国土地理院が将来やりたいポリシーがあってそのポリシーにどれだけ合致しているかという評価を入れてほしい。基礎研究についても、これまでに行ってきたことはそれなりに評価されるようにしてほしい。
そうしないと、事業に役立つ研究ばかりが次期五箇年計画に盛り込まれて、将来的な発展あるいは研究としての夢が無くなる。その点もよく考慮した上で中間評価の観点をまとめるべきである。

(委員)
測量技術の革新や社会経済の動向にかなり縛られて現行の五箇年計画が設定され、測量的な部分にかなり偏っている。
国土地理院がこれからどういう方向に進むべきかを考えるとき、現在の測量云々だけでなくさらに取り組むべき課題がある。それを支えていくために研究が必要であるとの観点に立って今後の五箇年計画を作成してほしい。
それから、実施が困難な研究課題については、中間評価の結果に応じて変更あるいは修正する柔軟性を持つべきである。
また、5箇年計画の中にはその時期の事情に合致した具体的研究が取り込まれていると思うが、新しい課題も含めて今後は検討してほしい。
本日の評価の中には事前評価があったが、それらの研究開発の内容は国土地理院の測量事業・行政施策を支援する研究開発や防災・環境保全に貢献する研究開発に位置付けられている。これらが新しい課題として入るべきであろう。これについても測量そのものあるいはGIS利用にかなり偏っており、大枠に縛られている。もう少し幅を広げて考えるべきである。
個々の研究課題に関しては、一部を除けばそれなりに実践されており、成果を上げている。

(委員)
中間評価で「不適」とした課題があった。これについては、残りの期間で目標を達成しようとしているのか、それとも中止して他の研究に精力をつぎ込もうとしているのか。中間評価の意味はどちらか。

(国土地理院)
中間評価は基本的には次期計画を睨んで行っているが、目標設定を見直すべきであると中間評価したものについては、そうすべきだと思う。

(委員)
次期計画には国際協力の視点を入れた研究テーマを入れてほしい。
また、国土地理院の大きな業務の1つに重力があるが、重力に関するテーマがジオイドの研究1件だけなので、もう少し研究テーマを挙げてほしい。

(委員)
行政の立場から見れば研究所はやらねばならないことがいろいろあるので、ある程度バランスを取ってテーマを選ぶ必要がある。ただし、国の機関が基礎研究を支えることも必要だし、非常に重要なテーマについては先頭に立つことも必要である。
五箇年計画の中では5カ年における重点的な研究課題も明確にしてほしい。そうすることにより評価の際に焦点がかなり絞れる。バランスと重点化という相反する2つを取り入れれば評価しやすい。

(委員)
研究評価の大綱的指針にこだわり過ぎている。有効性や効率性は重要だが、国土地理院として何をやろうとしているのかも重要であるし、もう少しリラックスして評価した方が良い。
その意味では、論文や口頭発表の本数を示しているが、必ずしも論文の本数が成果に比例するわけでもない。論文を書きにくい分野もあるし、幾らでも書ける分野もあるので、これなどについては柔軟に評価してほしい。 
これを踏まえて、次回の評価委員会のときに方向性が議論できると良い。