最近5年間の国土地理院の地理情報取得・解析に関する研究

地理地殻活動研究センター
地理情報解析研究室

1.はじめに
 国土地理院は国土に関する基本的な地理情報を整備し、これらは地図等の刊行を通じて行政機関及び広く国民に利用されている。近年は、地理情報の形態が紙に印刷された地図だけではなくコンピューターで利用できる数値データの比重が高まり、これら地理情報の整備・提供をより効率的、精度良く行い、さらに利便性を高めるための研究技術開発を実施してきている。また、国土地理院の持つ測量・調査・計測技術を防災や環境保全を始めとする課題に応用する研究を実施している。
 これらの研究・技術開発は、地図や地理情報整備を担当する部署によって担われてきた。事業を実施している課室によっても技術開発は行われているが、主に地図系の各部に属する技術開発室、すなわち測図部写真測量技術開発室、地理調査部地理調査技術開発室、地図部地図技術開発室が研究・技術開発を担当してきた。平成10年度には、測量地図作成分野における研究開発の高度化に対応し、基礎的・先端的研究を行うために国土地理院に地理地殻活動研究センターが設置され、この下に地理調査技術開発室を振り替えて、地理情報解析研究室が設置された。
 この資料では、最近の5年間に国土地理院が実施した地理情報の取得と解析に関する研究の成果を紹介し、今後国土地理院として取り組むべき研究の方向性を検討する素材を提供する。地理情報の取得・解析に関する研究・技術開発は多岐に渡っており、完全に網羅的に提示することは困難である。本資料ではむしろこれらを大きく分類して動向を把握することに重点を置く。

2.分類
 地理情報の取得と解析に関する研究を以下のように分類することにする。
(1)基本的地理情報の一次データ取得
 空中写真やリモートセンシング、現地測量作業等を含めた基本的地理情報の一次データ取得技術に関する調査研究
(2)地理情報の処理技術
 既存の地図からの数値データ作成、地図情報の新しい表現手法に関する研究など、地理情報の加工処理に関する研究
(3)地理調査に関する研究開発
 防災や環境保全の観点で行われている種々の地理調査に関わる研究開発
(4)GISの利用促進に関する研究技術開発
 高度情報化社会の基盤の一つであるGIS(地理情報システム)の利用促進のための取り組みのうち研究技術開発に属するもの