ニューラルネットによる画像情報の判別手法に関する研究

特別研究(新規課題)

1. 研究の必要性・目的

土地利用情報は、国土の把握と管理に重要な情報であり、信頼性が高くかつ定期的に更新されるデータの作成が期待されている。現在は、主として、空中写真等を人間が判読する手法と、リモートセンシングデータを用いて自動的に分類する手法が用いられている。しかし、前者は膨大な労力を必要とし、後者は分類精度が不十分であり、効率性と信頼性をともに満足する手法は存在しない。本研究は、効率的で信頼性が高い土地利用情報の抽出手法の開発のため、その基礎的な手法としてのニューラルネットの可能性を実証的に調査することを目的とする。

これまで、自動的に分類する手法は、主として地表の1点に注目し、その分光情報(色の情報)を使用して土地利用を推定するものであった。これに対し、人間が判読する場合は、対象物の分光情報以外に形状やパターンを認識し、土地利用を推定していると考えられている。

本研究は、脳内の情報処理を模したニューラルネットの手法を用い、分光情報と形状やパターンの情報を同時に処理し、土地利用を分類する方法について研究する。

2. 得られる研究成果

ニューラルネットワーク手法による分類の可能性についての知見が得られ、画像からの土地利用情報抽出における問題点について整理され、分類アルゴリズムが得られる。

なお、現在、高分解能センサーを搭載したリモートセンシング衛星打ち上げの計画が複数ある。本研究の手法は、これらのデータの処理に適しており、この点からも、本研究が重要である。

3. 研究計画(平成11年度~13年度)

平成11年度

ニューラルネットによる画像情報の判別手法に関する基本的検討を行い、汎用的なニューラルネット処理プログラムを作成する。

平成12年度

平成11年度に作成したニューラルネット処理プログラムを各種画像に適用することにより、土地利用情報の抽出に適したニューラルネットの形態(モデル)を評価し、改良を加える。

平成13年度

ニューラルネットの形態(モデル)を決定し、総合的な検証実験を行う。また、中間層の解析を行い、ニューラルネットがどのように形状やパターンを認識しているか考察する。
画像:ニューラルネットによる画像情報の判別手法に関する研究