第21回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

第21回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

問い続けること

 平成29年度の「第21回全国児童生徒地図優秀作品展」では、全国の団体から推薦された優秀作品が、地図と測量の科学館(特別展示室・地図のギャラリー)・国土交通省(1F展示コーナー)・科学技術館(4Fギャラリー)において展示されました。
 作品は、地図への興味を高め親しむことができるもの、知らない土地に思いをはせるもの、自分の住んでいる場所への深い愛着が感じられるもの、地形の変化に目を向け災害と関連づけたもの、自分でその土地を歩き綿密に取材したものなど、どの作品も力作ばかりでした。
 
 今年度の国土交通大臣賞として「私の住む町南福西町『助け合い』安心安全MAP」(作成者:私立立命館小学校2年 楳木有紀乃さん)、文部科学大臣賞として「小学校・中学校統廃合map 関・美濃半世紀の歩み」(作成者:岐阜県岐南町立岐南中学校2年 杉江俊哉さん)の作品が選ばれました。楳木さんは、自分の住む地域について気づいたことを、しっかりと調べて地図を作成しています。調べたことを記号化したり、重ね合わせ地図の手法も用いたりして、地図上にとても分かりやすくまとめることができました。また杉江さんは、小学校と中学校の統廃合という、自分の身の周りに関する課題について、地図に分かりやすくまとめました。地域を調べるだけではなく通学路が地形に影響されることなど、地図から分かることも表現しています。

 地図作品を作成する時、最も核になるのは児童・生徒自身の興味関心であり、そこから生まれる本人なりの疑問・課題、そして問題意識であると思います。自分の身近にある事象に気づき「なぜ」「どうして」というそれぞれの疑問を持つことが、調査、研究、そして地図作品づくりの原動力になります。児童・生徒が自らの素朴な疑問に基づいて調べていくうちに、より大きな課題を持ち、進んで地図づくりに取り組むことによって、自ら問い続ける力を高め、主体的に学習していく力につながっていきます。さらに作成した地図から、新たな疑問や課題が生まれてくることもあります。地図を通して地域と向き合うことは、地域に対する関心を高め、地域を愛する心を育てます。故郷を愛する児童・生徒の取り組みや関心の高まり、そして「自ら問い続ける」力は、社会の未来につながっていくものだと思います。
 
 全国児童生徒地図作品展連絡協議会での交流を通して、児童・生徒の地図への関心が高まり、地図を通して主体的に学習する姿勢が育つことにつながればと思います。
 
 
 平成30年2月
 
  全国児童生徒地図作品展連絡協議会
    会長    中山 裕之