第15回全国児童生徒地図優秀作品展ごあいさつ(全国児童生徒地図作品展連絡協議会長)

第15回全国児童生徒地図優秀作品展ごあいさつ(全国児童生徒地図作品展連絡協議会長)

社会科学習と地図作り

全国児童生徒地図優秀作品展も今年で15回を迎えます。これまでの地図展応募作品を見てみますと、身近な地域の環境、医療、産業、歴史・民俗事象、土地利用を取り上げたものから通学路、安全マップ、世界遺産を対象としたものなどそのテーマには様々なものがありますが、中でもその年度の社会的事件や問題をテーマとした作品が目立ちます。

 

東日本大震災が発生し、津波や原子力発電所の事故により国の財政を揺るがすような大きな被害が生じた今年度の作品に、原発問題、節電問題、地震・津波による被害予想や風力・太陽光発電など再生可能エネルギーの普及状況をテーマとしたものが多く見られたのはその好例と言えます。

 

このように、地図作りに取り上げられるテーマは多種多様ですが、大切なことは、集めた資料や現地調査による成果を正確に、見る人にわかりやすく工夫・表現し、取り上げたテーマの現状、問題点や課題などを自分なりに分析整理した地図を作ることなのです。つまり、自分だけがわかる地図ではなく、見る人が容易に理解でき、見る人の心を惹きつける地図でなくてはならないのです。

 

21世紀を生きる子どもたちの教育の充実を図るため、中央教育審議会は、平成20年1月に幼稚園、小学校、中学校、高等学校および特別支援学校の学習指導要領等の改善について答申を行いました。この答申を踏まえて、各種学校の学習指導要領が改訂されました。その中でも、 とりわけ小学校社会科、中学校社会科地理的分野や高等学校地理歴史科では、地図の読図や作図などの学習活動を通して、思考力・判断力・表現力の育成を図ることが一層重視されています。

 

地図作りは、まさに我が国における小学校から高等学校の社会科や地理歴史科の新しい教育目標に沿った有益な学習活動と言えます。国際的問題、社会的問題や身近な地域の諸事象をテーマとした地図作りという活動を通して、児童・生徒の思考力、判断力、表現力を育成し、公民的資質の基礎を養うことができるのではないかと思っています。

 

平成24年2月

全国児童生徒地図作品展連絡協議会

 会長  木原克司