世界測地系移行に関する質問集(Q&A)

5.国土地理院以外の対応

(問5-1)国土地理院以外の地図は作成し直すことになるのか。

(答)  世界測地系となっても相対的な位置関係や面積などの地図の内容は変わりませんから作成し直す必要はありません。ただし、必要に応じて図郭線数値の修正又は図郭線の変更が必要となります。

(問5-2)国土地理院以外の地図の座標値を変更したいが、どうすればよいか。

(答)  座標変換は、統一した方法で行うことが必要ですので、国土地理院のホームページで座標変換プログラムを紹介していますのでご利用下さい。詳細については国土地理院企画部測量指導課公共測量係及び所管する地方測量部又は支所で対応しています。

(問5-3)以前使用していた測地網平均プログラムは、継続して使用できるのか。

(答)  世界測地系に基づいて行う公共測量の平均計算では、以前使用していた測地網平均プログラムは使用できません。具体的には、日本測地系と世界測地系では採用している楕円体が異なるため、以前使用していた測地網平均プログラムの楕円体定数に関する部分の変更が必要となります。

(問5-4)なぜ、座標変換を地方公共団体等が行わなければならないのか。

(答)  公共測量は公共団体等が公共事業等に必要なために実施されたものであり、その成果は計画機関である公共団体等の財産です。ですから、公共測量成果を座標変換する場合は、原則として自己負担となります。
 一方、改正測量法の測量の基準は、過去に作成した地図図面等に遡って適用することを義務づけるものではありません。したがって、必ずしもある時期までに全ての地図図面等の座標変換する必要はなく、新たな公共測量に使用する等必要な時に必要な範囲を行って差し支えありません。また、変換プログラムによる座標変換ではなく、再測量或いは、過去の観測値での再計算により世界測地系に基づいた座標値への移行も可能です。

(問5-5)任意座標系で作成した地図図面等の座標値は、国土地理院が提供する座標変換プログラムで変換可能か。

(答)  国土地理院が提供する変換プログラムは、日本測地系に基づく測量成果を世界測地系に基づく測量成果に変換するためのものです。したがって、日本測地系に基づかない任意座標系の測量成果の変換は出来ません。

(問5-6)座標変換の作業は、公共測量なのか。

(答)  世界測地系の導入に伴う基準点の座標変換作業及び図郭線数値変更、図郭の変更作業については、測量の重複を排除し、測量の正確さを確保する観点から、公共測量として位置づけられています。

(問5-7)自治体の管内だけの測量なのに、日本測地系での成果で測量を継続することに問題があるのか。

(答)  公共測量成果は、作成した自治体だけで使用するのではなく、測量の重複を避けるため国、県等他の公共団体や民間で汎用的に使用できるように整備すべきものです。測量法ではこのような考えのもとに、どのような機関であっても統一して使用できるよう、公共測量は統一した測地基準系で実施すべきものと規定しています。

(問5-8)変換作業については、国土地理院のどこに問い合わせればよいか。

(答)  変換作業についての問い合わせは、国土地理院企画部測量指導課公共測量係及び所管する各地方測量部又は支所にて受け付けています。

(問5-9)地方公共団体の基準点はどうするのか。

(答)  今後も利用される基準点については、座標値の変換が必要です。
 具体的には、永久標識を設置した基準点について、その現況に応じて、故障点については廃棄手続き等を行い、正常点については座標変換を行う必要があります。
 基準点は、どの測量作業においても基準として使用される可能性が大きいと考えられるため、速やかな変換作業を推奨します。

(問5-10)民間で作成している地図はどうなっているのか。

(答)  民間の地図作製会社が作成している地図については、世界測地系への移行にどのように対応するかは、各々の事業者の判断に委ねられます。しかし、国土地理院の地図が世界測地系に対応したものに移行していけば、こららの地図も順次世界測地系に対応したものに変わっていくものと思われます。

(問5-11)地図図面の縮尺がどの程度であれば変化量を無視できるのか。

(答)  座標値の変化量は全国で概ね、南北方向で約240m~420m増加、東西方向で約180m~350m減少しますので、公共測量等で作成した地図は、全面的に図郭線数値の変更が必要です。
 また、地図に表現されている地物の相対位置も、厳密には変化しますが修正のいらない程度の変化です。
 図郭線数値の変更を無視できる縮尺は、概ね1/100万以下の小縮尺地図です。

(問5-12)地理情報システム(GIS)を利用している場合の問題点は何か。

(答)  GISデータベースに格納されている既存の地図データの経度・緯度の値、あるいは、平面直角座標系に基づく座標値は、世界測地系に基づいた値に変換する必要があります。
 なお、メッシュデータの変換は、再計算によって求めることになりますので、基礎デ-タの状況によって厳密な変換が可能な場合と不可能な場合があります。

(問5-13)座標変換を行うことによって、土地の面積は変化するのか。

(答)  楕円体が変更になることによって、厳密には面積値もごくわずか変化します。しかし、変化の程度は地積を登記する際に行われる測量等の誤差として法令で許容されている値の範囲より小さいものなので、一般的には既存の面積値を書き換える必要はありません。