世界測地系移行に関する質問集(Q&A)

2.座標値の変更

(問2-1)経度・緯度はどのくらい変化したのか。

(答)  日本測地系が採用しているベッセル楕円体と世界測地系が採用しているGRS80楕円体は、大きさ・形状及び中心位置が異なります。その影響で、日本測地系と世界測地系の測地基準点成果での経度・緯度の変化は場所によって、下記のように異なります(下記の値は、世界測地系-日本測地系です)。
     緯度の差 (距離換算) 経度の差 (距離換算)
 稚内  約+ 8秒 (約240m)  約-14秒 (約350m)
 東京  約+12秒 (約360m)  約-12秒 (約300m)
 福岡  約+12秒 (約360m)  約- 8秒 (約200m)
 那覇  約+14秒 (約420m)  約- 7秒 (約180m)

(問2-2)平面直角座標系はどうなっているのか。

(答)  世界測地系での平面直角座標系は、原点の経度・緯度の数値、投影法、座標系の数、楕円体面上から平面への長さの縮尺係数及び適用範囲について、これまでの定義を変えません。
 したがって、原点の地上での位置は、東京付近(9系)で緯度は南へ約12秒、経度は東へ約12秒移動します。これにより原点周辺の各基準点の座標値は、Xは約+360m、Yは約-300m変化します。ただし、この変化量は、全国一律ではありません。
 また、世界測地系への移行にあたって、従来の測地基準点成果が持っていた歪みを解消したので、上記の原点位置の移動に伴う座標値の変化に加え、北海道で約9m、九州で約4mの全国一律でない変化があります。

(問2-3)標高は変わったのか。

(答)  標高の基準は変更していません。
 しかしながら、水準点については、測量法改正に伴うものではありませんが、地盤沈下等の経年変化を考慮して成果を改定しました。これを「2000年度平均成果」と言います。各水準点の標高は、最新の観測値を使用して再計算しました。地殻変動が大きい地域では、数10cm程度変化した地域があります。また、重力の補正方法の変更により、山岳地帯で数cmから10数cm変わりました。
 三角点の標高については、全国一斉に更新を行うことはせず、現在と同じく大きな変動が判明した地域について逐次更新を行なっています。

(問2-4)座標変換は国土地理院でやってもらえるのか。

(答)  国及び地方公共団体等が所有している公共基準点成果及び地図等の座標値は、各機関がその必要性を勘案して、旧観測値で再計算するか変換プログラムを用いて変換することになります。変換プログラムは、国土地理院のホームページでの利用やダウンロードをすることができます。

国土地理院が行う精密な測量は世界測地系で行い、公共測量等一般の測量は日本測地系と分けるようにはできないのか。

(答)  国土地理院が行う基本測量も、地方公共団体等が行う公共測量も、測量法に基づいた世界測地系の成果を得ることとしていますから、分けることはできません。また、二つの異なる測地基準系の成果が混合している場合、仮に注意書があっても成果の取り扱いを誤り、混乱を招く恐れがあるため、統一すべきです。また、世界測地系の導入は、精密な測量を行うことだけが目的ではありません。