6 世界測地系に基づく測地基準点成果(測地成果2000)

 GPSとGISの時代に対応できる高精度な測地基準点成果を作るには、すべての基準点の位置座標を一斉に改定する必要があります。

 すべての基準点の位置座標を一斉に改定するということは、これまで地震等に伴って実施されて来た測地基準点成果の部分的な更新とは本質的に異なり、明治時代に行われた測地基準点成果の構築に相当することを、現在の高精度な測量技術と強力な計算技術を駆使してもう一度やり直すことに他なりません。まさに、百年目にして行う国家基準点体系の再構築なのです。

 そこで、国土地理院では、新しい高精度な測地基準点成果の構築を行うために、まず、新基準点網の骨格となる新しいタイプの基準点である「電子基準点」の整備に着手しました。電子基準点は、GPS信号を24時間連続的に受信する観測施設です。観測データは、電話回線を通じて、茨城県つくば市の国土地理院測地観測センターに集められ、日本列島の地殻の日々の動きが捉えられるようになっています。電子基準点は、これまでに全国に約1000点が整備されています。

 電子基準点の位置は、国土地理院がその一翼を担う国際的な協力の下で実施されているVLBI(数十億光年の彼方にある電波星から届く電波を電波望遠鏡で受信して数千kmもの長距離を数mmの高精度で測る技術)によって得られる地球上の正確な位置関係を基礎にして、正確に求めています。また、既存の三角点位置は、電子基準点を既知として、当該三角点における一番新しい観測値を用いて計算を行って求めています。
世界測地系に基づく測地基準点成果

 このように、VLBIやGPSを用いた精度の高い測量に対応できる高精度な測地基準点成果は、国際協力によらなければ構築し、維持して行くことはできません。