3 日本測地系と世界測地系

 我が国では、改正測量法の施行前は、明治時代に採用したベッセル楕円体を使用していました。明治政府は、近代国家に不可欠な全国の正確な地図である5万分の1地形図を作るために、基準点網を全国に整備しました。この時採用された楕円体が、改正測量法の施行前まで使用されてきたベッセル楕円体です。そして、当時の東京天文台の経度・緯度が、天文観測により決定されました。この位置が現在の日本経緯度原点となっています。この測地基準系を「日本測地系」と呼んでいます。全国に設置された基準点の経度・緯度は、日本経緯度原点を絶対的な位置の基準として求められて行ったのです。

 しかし、VLBIや人工衛星により地球規模の観測ができるようになった今日では、日本測地系は、残念ながら、地球全体によく適合した測地基準系であるとは言えなくなってしまいました。

 一方で、地球全体によく適合した測地基準系として、世界測地系が構築されています。 世界測地系とは、VLBIや人工衛星を用いた観測によって明らかとなった地球の正確な形状と大きさに基づき、世界的な整合性を持たせて構築された経度・緯度の測定の基準で、国際的に定められている測地基準系をいいます。

 では、日本測地系は、世界測地系とどのくらい違っているのでしょうか?

 例えば、日本測地系の経緯度で表されている地点を、世界測地系の経緯度で表わすと、東京付近では、経度が約-12秒、緯度が約+12秒変化します。これを距離に換算すると、北西方向へ約450mずれることに相当します。
経緯度原点の位置比較図

経緯度原点の位置で比較するとこのようになります。


日本測地系と世界測地系の相違点

日本測地系と世界測地系の違い