2 測地基準系と測地基準点成果

 地球上の位置を経度・緯度で表わすための基準を「測地基準系(測地系)」といい、地球の形に最も近い回転楕円体で定義されています。

 経度・緯度を示す経線・緯線は、本当の地球の表面の上にはありません。では、どこにあるのでしょうか?

 地球の形がほぼ回転楕円体であることはご存じのことでしょう。しかし、地表面は、凹凸が大きいためそのままでは地図を作るための基準面として用いることはできません。そこで、地球の形に最も近い扁平な回転楕円体を想定して、経度・緯度の測定に関する測量の基準としています。経線・緯線は、この楕円体の上にあり、地図を作るための基準となっています。

 では、地表にある土地の経度・緯度は、どうやって測るのでしょうか?

 それぞれの国の政府は、位置の目印になる「基準点」を全国にできるだけ一様になるように設置しています。そのためには、まず、測量を行う場合の基準となる原点(経緯度原点)を設置し、同時に原点における正確な真北の方向を定めます。その後、原点に隣接する基準点までの距離と角度を測量することにより、この隣接する基準点の位置関係が求まります。これを繰り返すことで基準点網を形成する基準点の位置関係を求めていきます。これは、容易に高精度の測量が行えるためです。経緯度原点の絶対位置はわかっているので、これで全ての基準点の絶対位置を求めることができます。次に、地表における位置関係を楕円体の上に投影することにより、楕円体の上で定義されている経度・緯度を求めます。こうして求めた基準点の経度・緯度の数値を「測地基準点成果」(あるいは単に「測地成果」)といいます。あらかじめこのような測地基準点成果が計算されていれば、個々の土地の経度・緯度は、最寄りの基準点との相対位置関係を測量するだけで比較的簡単に求めることができるのです。

 測地基準系、基準点網、そして測地基準点成果をあわせて、「基準点体系」ということがあります。国家的規模のものであることを強調するために「国家基準点体系」ともいいます。