大規模災害への備えの強化

防災・危機対応に関する業務

 最近の数年間、地震、津波、火山噴火、水害、土砂災害、高潮など、国内外で大規模災害が頻発し、甚大な被害が生じた。

 大規模災害では、救助や支援が被災地全体に行き渡るまでに時間を要するため、被害の予防や発災後の迅速かつ効果的な対応が求められる。そこで、平成19年度は、防災地理情報の整備、地殻変動の監視、災害状況の把握、GISを利用した情報集約等の国土地理院の防災施策において、大規模災害の被害を軽減するための備えを強化する。

 一つには、提供している防災情報が、国民や地方公共団体の防災担当者といった受け手の行動につながりやすいものであるかという自省に基づき、情報がより分かりやすく、有益なものとなるように改善を進める。具体的には、人々に直感的に情報を伝えうる地図という表現手法の長所を活かし、予防の場で災害リスクを的確に認識できる情報を充実させる。さらに、地殻変動の解析結果を津波の発生予測や被災域の推定等にも利用できるよう、研究開発や試用を進める。

 また、自らが被災した場合も含め、災害発生時に十分な対応能力を発揮しうるかという自省に基づき、設備・体制を強化する。

 これら二つの自省は、国土交通省安全・安心のためのソフト対策推進大綱※の策定に当たって行っており、関係部局等の連携に基づいてこれらの施策を効果的に推進する。

1.災害リスクを分かりやすく伝えられる地理空間情報を充実させる

  • 国民や行政機関に震災、火山災害、水害、土砂災害などの災害発生リスクをわかりやすく伝えるために、活断層の位置や地表の起伏を詳細に伝える情報の整備並びに必要な研究開発を推進する。
  • 地方公共団体が整備している各種災害のハザードマップをワンストップで閲覧できるハザードマップのポータルサイトを開設する。

2.地殻変動解析を高度化し、その用途を広げる

  • 地殻変動監視能力を高度化するために、電子基準点の増設・更新を推進するとともに、機動観測体制を強化する。
  • 地殻変動の解析及び震源断層の推定を即時に行うことができるシステム及び電子基準点以外のGPS連続観測点のデータも含めて統合的に解析するシステムの開発を行い、地殻変動観測を火山噴火や津波発生の予測並びに発災後の被害分布の推定にも活用しうるものにする。

3.自らが被災しても必要な機能を保持するように、備えを強化する

  • 大規模災害の発災時に、自らが被災した場合も含め、必要な事業及び災害対応を継続できるように、情報の二重化等、本院、地方測量部において必要な設備・体制の整備を進める。

大規模災害への備えの強化

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