地理情報の利活用環境の整備

 国土地理院は、地理情報の提供者としてこれらの社会情勢の変化に対応すると共に、地理情報の提供者と利用者の双方にとって地理情報を活用できる環境の拡大を一層確かなものとするための施策を推進する。

 これまでに、誰もが自由に地理情報の提供及び利用が出来る電子国土の実現に向けて、国土地理院が整備、更新している位置情報に基づく国土に関する基本的な地理情報としての電子国土基幹情報の整備及びプラットフォームとしての電子国土Webシステムの構築を推進してきた。これらが目指すものは、航空ネットワークの例えにしばしば用いられるハブ&スポーク構造を地理情報の流れにおいて構築することである。産学官民の多様な主体が提供、利用する地理情報が集積する場(ハブ)を設けることによって、新たな地理情報の流れ(スポーク)が連鎖的に発生していくことを期待している。そこで、電子国土の利用を促進するため、品質が高いこと、使いやすいこと、誰もが利用可能であること、という3つの観点から電子国土基幹情報の整備及び電子国土Webテムの機能強化を一層推進する。

公的機関の測量成果の共有化と相互利用の推進

 電子国土がより広く利用されるためには、背景図や重ね合わせる地理情報の品質が高いことが重要である。そこで、国土地理院を含む国の機関や地方公共団体等の公的機関が保有する測量成果の共有化、相互利用を図る。


 これまでも、電子国土基幹情報を常時更新することを目標に、道路等の社会資本の新設や市町村合併に伴う地名の変更などに関する情報を随時収集し、これを元にして迅速な修正を推進してきた。これに加えて平成18年度は、国土地理院に提出される公共測量成果と国土地理院の基本測量成果とを共有化するシステムを導入することによって、国土地理院が行う様々な縮尺の地図データの更新を一層効率化、迅速化すべく体制を整える。併せて、地方公共団体の保有する地理情報の更新に、これらの情報を利用できるように環境を整備する【詳細】。


 また、基本測量成果のオンライン提供を強化し、更新された地図データの迅速な提供・配信に努める。さらに、公共測量成果を保有する地方公共団体からの委託によって、国土地理院が公共測量成果を一般にオンラインで提供するなど、公共測量成果の共有化との相乗効果が期待できる施策を推進する。

電子国土システムの機能強化と利用者の支援の推進

 電子国土がより広く利用されるためには、電子国土Webステムが使いやすく、便利なものである必要がある。そこで、公的機関の保有する多種の地理情報の検索を支援するクリアリングハウスの充実を図ると共に、携帯電話でも電子国土を通じた情報の提供・利用ができるように携帯電話版電子国土Webステムを構築する【詳細】など、電子国土Webシステムの一層の機能強化を行う。


 また、電子国土Webシステムの利用説明会の実施やサイト構築ツールの作成等、電子国土の利用者を支援する施策の充実を図る。

ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた地理情報の提供

 電子国土がより広く利用されるためには、電子国土が誰にでも利用できるものである必要がある。平成17年7月に策定された国土交通省ユニバーサルデザイン政策大綱では、一人一人がその個性と能力を発揮し、自由に参画し、自己実現を図っていけるような社会づくりに取り組むべきことが示された。そこで、電子国土と最新の情報通信技術を駆使した地理情報の提供によって、一人一人が自己選択と自己決定の下に社会の活動に参加できるよう、支援を行う。


 地理情報の提供においては、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた地図の在り方について検討し、その成果を基にガイドラインの作成を推進する。


 また、誰もが都市内を自律的に移動できる社会の実現を支援する位置情報の新しい提供手法を構築するために、自律移動支援プロジェクトの全国展開に向けた取り組みを技術的に支援すると共に、疑似による屋内での高精度測位の実現に向けた研究を推進する。


地理情報の利活用環境の整備

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