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第2章 空間スキーマ・時間スキーマ・応用スキーマのための規則 (3/9)

2.5 空間スキーマの内容
 
空間スキーマとは,概念スキーマのひとつで,地物のもつ空間的特性を記述する枠組み(スキーマ)である。地物のもつ空間的特性は,地物そのものの位置,形状,次元及び向きなどを表す幾何的特性と地物間の空間的な接続関係を表す位相的特性に分類され,UMLのパッケージにより階層化されている。
このような空間的特性を記述するために規格化された一連の概念スキーマは,異なる応用システム間での地理情報の共有化を可能とする。
本節では,概念スキーマのひとつである空間的特性を記述する空間スキーマについて紹介する。

図2.13 空間スキーマのイメージ
図2.13 空間スキーマのイメージ

地物のもつ空間的特性は幾何的特性と位相的特性に分類され,この空間スキーマではそれぞれを,幾何パッケージ群(Geometry Packages)と位相パッケージ群(Topology Packages)に分けて定義している。
幾何パッケージ群(Geometry Packages)は,基本的な幾何オブジェクト及びそれらの集約,複体を示す内部パッケージをもっている。具体的には,幾何基底パッケージ(Geometry Root Package),幾何プリミティブパッケージ(Geometric Primitive Package),座標幾何パッケージ(Coordinate Geometry Package),幾何集約パッケージ(Geometry Aggregate Package),幾何複体パッケージ(Geometric Complex Package)の各内部パッケージにより構成されている。
また,位相パッケージ群(Topology Packages)は,基本的な位相オブジェクト及びそれらの複体を示す内部パッケージをもっている。具体的には,位相基底パッケージ(Topology Root Package),位相プリミティブパッケージ(Topological Primitive Package),位相複体パッケージ(Topological Complex Package)の各内部パッケージによって構成されている。
幾何パッケージ群(Geometry Packages)及び位相パッケージ群(Topology Packages)を構成する各内部パッケージは,これ以上細かなパッケージには分割されておらず,その相互間には図2.14のような依存関係がある。

依存関係
図2.14 パッケージ間の依存関係
 
2.5.1 幾何パッケージ
 
幾何パッケージ群は,応用スキーマを記述する際に,地物の位置情報に基づいた空間的存在に関する特性を表現するために使用する要素を規定している。
 幾何パッケージ群は,幾何基底パッケージ,幾何プリミティブパッケージ,座標幾何パッケージ,幾何集約パッケージ,幾何複体パッケージの五つのパッケージから構成されている。
 幾何基底パッケージ(Geometry Root Package)は,幾何パッケージ群のほとんど全ての要素の基底クラスである幾何オブジェクト型(GM_Object)を定義している。幾何オブジェクト型は,すべての形状を構造を持たない点の無限集合として定義され,座標参照系や集合としての境界や包含などに関する操作定められている。
 幾何プリミティブパッケージ(Geometric Primitive Package)は,地物の幾何的形状を表現するための基本要素である点,曲線,面及び立体並びにそれらの方向や境界を表す概念的な型を定義している。
 座標幾何パッケージ(Coordinate Geometry Package)は,空間参照系における座標値を具体的に保持し,幾何プリミティブパッケージで定められた基本要素に対する特定の形状を表現するための型を定義している。例えば,幾何プリミティブパッケージで定められる曲線型(GM_Curve)は,その具体的な位置や形状を表すために一つ以上の曲線分型(GM_CurveSegment)の要素を属性としてもっている。この要素はそれぞれが折れ線(GM_LineString)や円弧(GM_Arc)などの一般的な線の形状とその位置の具体的な値を表しており,それらを含む曲線型の実際の幾何形状はこれらの線をつなげたものとなる。
 幾何集約パッケージ(Geometry Aggregate Package)は,幾何オブジェクトの要素を単純に集めた集約として表現された要素の型を定義している。また,点の要素のみを集めた集約など,共通の要素のみを集めた集約についても定義している。例えば,果樹の位置を点として表現し,複数の果樹が分布した果樹園の形状を表すような場合には,果樹園の幾何属性として点集約型(GM_AggregatePoint)の要素を用いることができる。
 幾何複体パッケージ(Geometric Complex Package)は,幾何形状が立体,その立体の境界となる曲面,その曲面の境界となる曲線及びその曲線の境界となる点というようにきれいに分割され,互いに重なることのないような完全な構造を持った幾何形状(幾何複体)として表現される要素の型を定義している。また,複数の曲線,曲面,立体などを幾何複体としてつなぎあわせて,新たな曲線,曲面及び立体を構成するための型も定義している。
 これらの各パッケージには,いくつかのクラスが定義されている。ここで,幾何パッケージ群を構成する内部パッケージと主なクラスの関係を示すと,以下の表のようになる。
 なお,各クラスの詳細については,本標準の空間スキーマを参照されたい。

表2.1 幾何パッケージ群を構成する内部パッケージとクラス
パッケージ名称 パッケージ英語名称 用途 主なクラス
(定義されたデータ型も含む)
幾何基底
パッケージ
Geometry
Root
基底クラス 幾何オブジェクト型
(GM_Object)
幾何
プリミティブ
パッケージ
Geometric
Primitive
幾何形状を表現する幾何プリミティブのクラス 幾何型(GM_Primitive)
点型(GM_Point)
曲線型(GM_Curve)
曲面型(GM_Surface)
立体型(GM_Solid)
有向幾何プリミティブ型
(GM_OrientablePrimitive)
有向曲線型
(GM_OrientableCurve)
有向曲面型
(GM_OrientableSurface)
幾何境界型(GM_Boundary)
幾何プリミティブ境界型
(GM_PrimitiveBoundary)
曲線境界型
(GM_CurveBoundary)
曲面境界型
(GM_SurfaceBoundary)
立体境界型
(GM_SolidBoundary)
輪型(GM_Ring)
殻型(GM_Shell)
幾何複体境界型
(GM_ComplexBoundary)
座標幾何
パッケージ
Coordinate Geometry 座標値により幾何の形状を表現する
クラス
直接位置データ型(DirectPosition)
位置情報型(GM_Position)
点格子型(GMPointGrid)
点配列型(GM_PointArray)
曲線分型(GM_CurveSegment)
折れ線型(GM_LineString)
線分型(GM_LineSegment)
測地線列型(GM_GeodesicString)
測地線型(GM_Geodesic)
弧列型(GM_ArcString)
弧型(GM_Arc) 
円型(GM_Circle)
膨らみ弧型(GM_ArcByBulge)
膨らみ弧列型(GM_ArcStringByBulge)
円錐曲線要素(GM_Conic)
配置型(GM_Placement)
アフィン変換型(GM_AffinePlacement)
クロソイド型(GM_Clothoid)
変位曲線型(GM_OffsetCurve)
スプライン曲線型(GM_SplineCurve)
多項式スプライン型(GM_PolynomialSpline)
三次スプライン型(GM_CubicSpline)
Bスプライン曲線型(GM_BSplineCurve)
ベジェ要素(GM_Bezier)
曲面分要素(GM_SurfacePatch)
多面体面型(GM_PolyhedralSurface)
ポリゴン型(GM_Polygon)
三角形網曲面型
(GM_TriangulatedSurface)
三角形型(GM_Triangle)
不規則三角網型(GM_Tin)
パラメタ化曲線曲面型(GM_ParametricCurveSurface)
格子曲面型(GM_GriddedSurface)
円錐型(GM_Cone)
円柱型(GM_Cylinder)
球面型(GM_Sphere)
双線形格子型(GM_BilinearGrid)
双三次多項式格子型(GM_BicubicGrid)
Bスプライン曲面型
(GM_BSplineSurface)
幾何集約
パッケージ
Geometric Aggregates 幾何要素の
集約クラス
幾何集約型(GM_Aggregate)
多プリミティブ型(GM_MultiPrimitive)
多点型(GM_MultiPoint)
多曲線型(GM_MultiCurve)
多曲面型(GM_MultiSurface)
多立体型(GM_MultiSolid)
幾何複体
パッケージ
Geometric Complex 幾何要素の
複体クラス
幾何複体型(GM_Complex)
幾何合成体型(GM_Composite)
合成点型(GM_CompositePoint)
合成曲線型(GM_CompositeCurve)
合成曲面型(GM_CompositeSurface)
合成立体型(GM_CompositeSolid)

幾何パッケージ群を構成している主なクラスは,以下のような継承関係をもっている。

図2.15 幾何パッケージにおける主なクラス間の継承関係図2.15 幾何パッケージにおける主なクラス間の継承関係
 
2.5.2 位相パッケージ
 
位相パッケージ群は,応用スキーマを記述する際に,地物の位置や形状の明示的な情報を持たない幾何や接続関係などの位相的特性を表現するために使用する要素を規定している。
 位相パッケージ群は,位相基底パッケージ,位相プリミティブパッケージ,位相複体パッケージの三つの内部パッケージから構成されている。
 位相基本パッケージ(Topology Root Package)は,位相パッケージ群のほとんど全ての要素の基底クラスである位相オブジェクト型(TP_Object)を定義している。位相オブジェクト型は,位相から導かれる境界や包含などに関する操作が定められている。
 位相プリミティブパッケージ(Topological Primitive Package)は,地物の位相的特性を表現するための基本要素である点,曲線,面及び立体に相当するノード,エッジ,フェイス及び位相立体並びにそれらの方向や境界を表す概念的な型を定義している。 
 位相複体パッケージ(Topology Root Package)は,ノード-エッジグラフのような,複数の位相オブジェクトで構成される完全な位相関係(位相複体)を表現するための型を定義している。幾何複体パッケージと異なり,この標準における位相は常に完全な関係を保つので,位相の要素を用いる場合には常に位相複体も用いられる。
 これらの各パッケージには,いくつかのクラスが定義されている。ここで,位相パッケージを構成する内部パッケージとクラスの関係を示すと,以下の表のようになる。
 なお,各クラスの詳細については,本標準の空間スキーマを参照されたい。

表2.2 位相パッケージ群を構成する内部パッケージとクラス
パッケージ
名称
パッケージ
英語名称
用途 定義されたクラス
位相基底
パッケージ
Topology
Root
基底クラス 位相オブジェクト型(TP_Object)
位相
プリミティブ
パッケージ
Topological
Primitive
位相の個々の構成
要素を表す位相
プリミティブの
クラス
位相プリミティブ型(TP_Primitive)
ノード型(TP_Node)
エッジ型(TP_Edge)
フェイス型(TP_Face)
位相立体型(TP_Solid)
有向位相要素型(TP_DirectedTopo)
有向ノード型(TP_DirectedNode)
有向エッジ要素型
(TP_DirectedEdge)
有向フェイス要素型
(TP_DirectedFace)
有向ノード要素(TP_DirectedNode)
有向位相ソリッド要素
(TP_DirectedSolid)
位相オブジェクト境界型
(TP_Boundary)
位相プリミティブ境界型
(TP_PrimitiveBoundary)
エッジ境界型(TP_EdgeBoundary)
フェイス境界型
(TP_FaceBoundary)
フェイス境界型
(TP_FaceBoundary)
位相立体境界型
(TP_SolidBoundary)
位相複体境界型
(TP_ComplexBoundary)
位相リング型輪型(TP_Ring)
位相シェル型殻型(TP_Shell)
多項式型(TP_Expression)
単項式型(TP_ExpressionTerm)
位相複体
パッケージ
Topological
Complex
複数の位相要素の
構成を表す位相
複体のクラス
位相複体型(TP_Complex)

位相パッケージ群を構成している主なクラスは,以下のような継承関係をもっている。

図2.16 位相パッケージにおける主なクラス間の継承関係
図2.16 位相パッケージにおける主なクラス間の継承関係

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