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地理情報標準第2版(JSGI2.0)の概要

第1章 地理情報標準第2版(JSGI2.0)の概要
1.地理情報標準第2版(JSGI2.0)の目的
2.地理情報標準第2版(JSGI2.0)の概要
2.1 概要
2.2 各項目の概要
2.3 各項目間の関係
3. 共同研究の取り組み
3.1 共同研究の目的
3.2 共同研究の体制
3.3 共同研究の内容
3.4 今後の課題
4. 関連する取り組み
4.1 ISO/TC211の動向
4.2 JIS化の取り組み
4.3 JSGIの利用例

第2章 空間スキーマ・時間スキーマ・応用スキーマのための規則
2.1 意義と適用範囲
2.1.1 意義
2.1.2 適用範囲
2.2 改訂の経緯
2.3 空間データの設計の考え方
2.3.1 応用スキーマ
2.3.2 応用スキーマと地物の関係
2.4 応用スキーマのための規則の内容
2.4.1 地物
2.4.2 地物属性
2.4.3 空間属性
2.4.4 時間属性
2.4.5 主題属性
2.4.6 地物間関係
2.5 空間スキーマの内容
2.5.1 幾何パッケージ
2.5.2 位相パッケージ
2.6 時間スキーマの内容
2.6.1 時間参照系パッケージ
2.6.2 時間オブジェクトパッケージ
2.7 応用スキーマの例
2.7.1 応用スキーマの作成手順
2.7.2 応用スキーマの例
2.8 今後の課題

第3章 地物カタログ化法
3.1 意義と適用範囲
3.1.1 意義
3.1.2 適用範囲
3.2 改訂の経緯
3.3 地物カタログ化法の内容
3.3.1 地物カタログ化法の構成と概要
3.3.2 地物カタログテンプレート
3.4 地物カタログのDTD及び例
3.5 今後の課題

第4章 座標による空間参照
4.1 意義と適用範囲
4.1.1 意義
4.1.2 適用範囲
4.2 改訂の経緯
4.3 座標による空間参照の内容
4.3.1 座標参照系
4.3.2 座標演算-座標換算と座標変換
4.4 座標による空間参照の例
4.5 今後の課題

第5章 地理識別子による空間参照
5.1 意義と適用範囲
5.1.1 意義
5.1.2 適用範囲
5.2 改訂の経緯
5.3 地理識別子による空間参照の内容
5.3.1 地理識別子による空間参照系
5.3.2 地名辞典
5.4 地理識別子による空間参照の例
5.4.1 地理識別子による空間参照系の例
5.4.2 地名辞典の例
5.5 今後の課題

第6章 品質原理
6.1 意義と適用範囲
6.1.1 意義
6.1.2 適用範囲
6.2 改訂の経緯
6.3 品質原理の内容
6.3.1 品質の考え方
6.3.2 データ品質要素とデータ品質副要素
6.3.3 データ品質副要素記述子
6.3.4 品質概観要素
6.4 データ品質要素,データ品質副要素の例
6.5 今後の課題

第7章 品質評価手順
7.1 意義と適用範囲
7.1.1 意義
7.1.2 適用範囲
7.2 改訂の経緯
7.3 品質評価手順の内容
7.3.1 工程フロー
7.3.2 データ品質評価方法
7.3.3 全数検査と抜取検査
7.4 品質評価手順の例
7.5 今後の課題

第8章 メタデータ
8.1 意義と適用範囲
8.1.1 意義
8.1.2 適用範囲
8.2 改訂の経緯
8.3 メタデータの内容
8.3.1 概要
8.3.2 標準の構成
8.4 コアメタデータの解説
8.4.1 概説
8.4.2 従来からの構成図
8.4.3 コアメタデータのUMLクラス図
8.4.4 コアメタデータ・データ辞書
8.4.5 符号一覧(Code List)
8.4.6 コアメタデータ要素の解説
8.5 コアメタデータの拡張
8.5.1 包括的メタデータの範囲内の拡張
8.5.2 自由な拡張
8.6 今後の課題

第9章 描画法
9.1 意義と適用範囲
9.1.1 意義
9.1.2 適用範囲
9.2 改訂の経緯
9.3 描画法の内容
9.3.1 描画メカニズム
9.3.2 描画カタログ
9.3.3 描画仕様
9.4 描画法の例
9.5 今後の課題

第10章 符号化
10.1 意義と適用範囲
10.1.1 意義
10.1.2 適用範囲
10.2 改訂の経緯
10.3 符号化の内容
10.3.1 データ交換の概要
10.3.2 応用スキーマ
10.3.3 符号化規則
10.3.4 入力データ構造
10.3.5 出力データ構造
10.3.6 変換規則
10.4 符号化の例
10.4.1 応用スキーマの作成
10.4.2 XMLスキーマの作成
10.4.3 XML文書の作成
10.5 今後の課題

第11章 製品仕様書
11.1 意義と適用範囲
11.1.1 意義
11.1.2 適用範囲
11.2 改訂の経緯
11.3 製品仕様書の内容
11.3.1 製品仕様識別
11.3.2 製品の目的
11.3.3 地理的範囲
11.3.4 時間的範囲
11.3.5 参照系(空間参照系,時間参照系など)
11.3.6 応用スキーマ(地物定義)
11.3.7 符号化仕様
11.3.8 品質要求
11.3.9 品質評価
11.3.10 メタデータ
11.3.11 その他オプション
11.4 製品仕様書の例
11.4.1 製品の概要
11.4.2 取得するデータの内容 
11.4.3 品質確認方法
11.4.4 メタデータ
11.4.5 符号化
11.4.6 成果品
11.4.7 その他の事項
11.5 今後の課題

付録
地理情報標準専門用語集

共同研究の参加企業リスト

1. 地理情報標準第2版(JSGI2.0)の目的

近年、地理情報システム(GIS)の普及とともに、デジタル形式での地理情報の整備が進んでいるが、データのフォーマットが公開されていない、システムの外にデータを取り出すことが困難である等、作成されたデータの相互利用が進んでいない場合があります。これらのデータが有効に利用されるためには、異なる整備主体によって整備されたデータの相互利用を容易にするための標準化が不可欠です。

JSGI2.0は、具体的なフォーマットをひとつに統一するのではなく、地理情報を異種システム間で相互利用する際に、必要な情報を伝達するため、データの構造、記録方法、表現方法、品質、所在、製品仕様書等についての仕組み等を定めております(図1参照)。
 
図1 - 地理情報標準第2版(JSGI2.0)によるデータの交換

図1 - 地理情報標準第2版(JSGI2.0)によるデータの交換

2. 地理情報標準第2版(JSGI2.0)の概要

2.1 概要

 データの相互利用を目的とした標準化への取り組みは国際的に行われており,国際標準化機構(ISO)においては,地理情報の標準化に関する専門委員会(TC211)が1994年に設置され,標準化の検討が進められています。その国際標準案に準拠しつつ実運用における検討を行って日本の国情へ適合したものがJSGI2.0です。
 JSGI2.0は,合計12の項目で構成され,各々の項目において引用・参照しているISO/TC211の国際標準は表1のとおりです。
 
表1 - JSGI2.0の構成表
JSGI2.0 ISO/TC211
No. 項目名 No. 項目名(英文)  
I 空間スキーマ 19107 Spatial schema  
II 時間スキーマ 19108 Temporal schema  
III 応用スキーマのための規則 19109 Rules for applicationschema  
IV 地物カタログ化法 19110 Methodology for feature cataloguing  
V 座標による空間参照 19111 Spatial referencing by coordinates  
VI 地理識別子による空間参照 19112 Spatial referencing by geographic identifiers  
VII 品質原理 19113 Quality principles  
VIII 品質評価手順 19114 Quality evaluation procedures  
IX メタデータ 19115 Metadata  
X 描画法 19117 Portrayal  
XI 符号化 19118 Encoding  
XII 製品仕様書 19131 Data Product Specifications  

 

 

2.2 各項目の概要

1) 空間スキーマ
空間スキーマは,地物のもつ空間的特性を記述する枠組みを規定しています。
地物のもつ空間的特性は,地物そのものの位置,形状,次元及び向きなどを表す幾何的特性と地物間の空間的な接続関係を表す位相的特性に分類されます。

2) 時間スキーマ
時間スキーマは,地物のもつ時間的特性を記述する枠組みを規定しています。
地物のもつ時間的特性は,時間に関する地物属性,地物操作,地物間系及びメタデータ要素が含まれます。

3) 応用スキーマのための規則
応用スキーマのための規則は,GISで取り扱うすべてのデータに適用する空間データの構造を応用スキーマとして記述するための方法を規定しています。
応用スキーマは,どのような地物として分類し,各地物にはどのような属性が保持されているか,また地物と地物の間にはどのような関係があるかとういことが整理されています。空間データの構造を応用スキーマで記述されることで,空間データの交換が可能となります。

4) 地物カタログ化法
地物カタログは,地物を型として捉えて定義を与え,これを収録した一覧です。この標準は,個々の応用システム開発の際に作成される応用スキーマの中で定義される地物型を説明するドキュメントの書式としても使われます。
また,地物カタログに記載された地物型の定義は,個別の用途のために作成される応用スキーマの一部になることによって,応用システム間で互換性のある地物インスタンスの交換に寄与することになります。

5) 座標による空間参照
座標による空間参照は,座標をキーとして地物の位置を特定する座標参照系を定義しており,様々な地物の位置的整合をはかることを可能にします。

6) 地理識別子による空間参照
地理識別子による空間参照は,地理識別子(住所や郵便番号など)をキーとして,地物の位置を特定する空間参照系を定義しており,様々な地物の位置的整合をはかることを可能にします。

7) 品質原理
品質原理は,地理情報の品質を記述するための原理を定め,品質情報の報告内容を規定しています。
品質は,製品仕様書に従って作成されたデータが,その製品仕様書にどれだけ適合しているかを定義するものです。

8) 品質評価手順
品質評価手順は,地理情報に適用可能な品質評価手順の枠組みを提供し,データ品質結果の評価と報告の枠組みを規定しています。
このことにより,製品仕様書に記載された要件や,利用者の要件にどれだけ適合しているかを評価できます。

9) メタデータ
メタデータは,地理情報の利用者が,その内容を十分理解できるために作成するデータセットの内容を説明するデータのことです。
利用者は,地理情報を効果的な方法で検索して評価し,購入及び利用できるようになります。

10) 描画法
描画法は,空間データそのものの交換ではなく,空間データの内容をいかに表現するかについての情報を伝達するための仕組みを規定しています。
空間データを交換したとき,受け取ったシステム側では,それぞれの地物をディスプレイや紙面にどのように描画するのかについて記載しています。

11) 符号化
符号化は,空間データのデータセットが実際にはどのような符号列で構成されるかについて規定しており,データ構造の定義から導かれる記録形式であることが必然的に求められています。
符号化では,応用スキーマで使用されているUMLスキーマに基づいた符号化規則を生成するための必要条件,符号化サービスを生成するための必要条件,XMLに基づく符号化規則について記載しています。

12) 製品仕様書
製品仕様書は,空間データを作成あるいは交換する際,その基準となる論議領域を定義する上で,製品仕様書に記載されるべき必要最低限の事項を規定したものです。
論議領域が明確になってはじめて,実際のデータ作成工程に入ることができ,作成されたデータを真に利用することができるようになります。

 

2.3 各項目間の関係

JSGI2.0における全体の項目数は12ありますが,ここではそれらの項目間でどのような関係があるか述べてみます。

主たる項目間の関係には,以下の3つのグループがあります。
1)応用スキーマのための規則とその他の項目との関係
2)メタデータとその他の項目との関係
3)製品仕様書とその他の項目との関係


 

2.3.1 応用スキーマのための規則とその他の項目との関係

 応用スキーマのための規則は,応用スキーマの作成方法を規定したものですが,その応用スキーマを中心に見た場合,各項目は,図2のような関係があります。
 (1)応用スキーマは,空間スキーマ,時間スキーマ,地理識別子による空間参照及びメタデータにおけるデータ品質要素情報を参照して,データ集合毎の空間データの構造を記述しています。空間スキーマでは地物などの位置情報を設定する際,その座標参照系を定義する必要から座標による空間参照を使用しており,また,メタデータのデータ品質要素情報では品質原理及び品質評価手順を参照していることから,これらの項目にも間接的に関係があります。
 (2)その空間データの構造を記述した応用スキーマを作成する過程において,汎用性のある地物を定義したときは,地物カタログへの収録について検討すべきですし,また,目的とする地物カタログがあればそれを利用して応用スキーマを作成することも可能です。そのためには,応用スキーマの地物,主題属性,地物間関係及び複合・構成地物が,地物カタログの地物型,地物属性,地物関連にそれぞれ対応し,両者が整合性を保たなければなりません。  
(3)応用スキーマによって記述された空間データ構造から,物理的ファイル形式に変換する際は,符号化で定義された符号化規則にもとづいて導出されます。
 (4)描画法で定義された地物描画規則は,空間データの各地物に対して条件に応じた描画方法を指定するもので,その空間データの構造を記述した応用スキーマと整合した内容となります。
 (5)空間データの構造を記述した応用スキーマは,その記述内容がメタデータに記載されます。
図2 - 応用スキーマのための規則とその他の項目との関係

図2 - 応用スキーマのための規則とその他の項目との関係


2.3.2 メタデータとその他の項目との関係

メタデータは,JSGI2.0に含まれる多くの項目との関連性を持ちます。メタデータ要素体集合である以下のパッケージ毎に,各項目との関係を図3に示します。

(1) データ品質情報は,品質評価結果や評価方法が示されるが,これらは品質原理及び品質評価手順の規定を利用しています。
(2) 空間表現情報は,データ構造に関する情報を記述しており,応用スキーマなどを利用しています。
(3) 範囲情報は,データの空間及び時間範囲を記述しており,座標による空間参照,地理識別子による空間参照,空間スキーマ及び時間スキーマの規定を利用しています。
(4) 参照系情報は,空間及び時間参照系を記述しており,座標による空間参照,地理識別子による空間参照及び時間スキーマの規定を利用しています。
(5) 内容情報は,地物カタログ情報を識別する情報を記述しており,地物カタログ化法の規定を利用しています。
(6) 描画カタログ情報は,描画カタログ情報を識別する情報を記述しており,描画法の規定を利用しています。
(7) 応用スキーマ情報は,応用スキーマについての情報を記述しており,応用スキーマのための規則の規定を利用しています。
(8) 配布情報は,データ入手のための情報やファイル等の表現を記述しており,符号化の規定を利用しています。

なお,メタデータ自体はXMLで記述されており,メタデータでは,符号化する際の規則であるXML-DTDを記載しています。
図3 - メタデータと他の項目との関係

図3 - メタデータと他の項目との関係


2.3.3 製品仕様書とその他の項目の関係

製品仕様書とその他の項目については,図4のとおり全ての項目に準拠して,製品仕様書を記載することになり,その内容は以下のとおりです。

1. 製品仕様書に記載すべき事項は,空間スキーマ,時間スキーマ,応用スキーマのための規則,座標による空間参照,地理識別子による空間参照,品質原理,品質評価手順,メタデータ及び符号化の規定に従って記載されます。地物カタログ化法については,製品仕様書に直接記載されませんが,関連する事項として,附属書の中で応用スキーマを作成する上で必要な地物要件定義として扱っています。

2. オプションとする事項は,描画について記載する場合は描画法の規定に,また,地名辞典を作成する場合は,地理識別子による空間参照の規定にそれぞれ従って記載されます。
図4 - 製品仕様書と他の項目との関係

図4 - 製品仕様書と他の項目との関係


3. 共同研究の取り組み

共同研究は,国土地理院と民間企業において1996年度~2001年度の合計6か年間実施され,ISO/TC211の国際標準案に準拠したJSGIを作成しました。br />  

3.1 共同研究の目的


標準化へ向けた国際的な取り組みとして,ISO/TC211が1994年に設置され,その国際標準案に整合した国内標準作成の必要性が認識されるようになりました。そのため,国土地理院では,1996年度~1998年度にかけて,民間企業53社との共同研究である建設省官民連帯共同研究「GISの標準化に関する調査」を実施し,1999年3月に地理情報標準(第1版)をとりまとめました。この標準は,政府の地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議における検討を踏まえ,政府の標準として位置付けられました。

その後,ISO/TC211において国際標準案の検討が継続されており,また,標準の利用に関する運用面の課題についても早急に対応する必要があるため,国土地理院は1999年度~2001年度にかけて,民間企業38社(表3参照)との共同研究「地理情報標準の運用に関する研究」を実施し,2002年3月にJSGI2.0とともに,普及に必要な解説書,運用指針等を作成しました。


3.2 共同研究の体制


共同研究は,地理情報標準推進委員会,地理情報標準検討部会,幹事会及びワーキンググループで構成されています。(図5参照)

1) 地理情報標準推進委員会
地理情報標準推進委員会は,共同研究全体の内容及び検討結果に関する審議を行いました。

2) 地理情報標準検討部会
地理情報標準検討部会は,JSGI2.0の更新及び運用に関する検討を行い,共同研究の全体のとりまとめを行いました。

3) ワーキンググループ
ワーキンググループ(WG)は,検討部会の下に設置され,JSGI2.0への更新・改良,実証実験,運用指針・解説書・入門の具体的な作業を行いました。
WG1は,空間スキーマ,時間スキーマ,応用スキーマのための規則,描画法及び符号化の更新・改良の他,空間データ交換実験を実施しました。WG2は,座標による空間参照,地理識別子による空間参照,品質原理及び品質評価手順の更新・改良の他,品質評価実験を実施しました。WG3は,地物カタログ化法及びメタデータの更新・改良の他,地理情報標準専門用語集を作成しました。
WG4は,製品仕様書及び運用指針の更新・改良の他,空間データ作成・検証実験を実施しました。WG5は,各WGとの調整のもと,解説,運用指針及び入門等のとりまとめを行いました。
 

3.3 共同研究の内容

3.3.1 検討項目


1) ISO/TC211との整合
ISO/TC211の最新動向を踏まえ,JSGI2.0への更新及び改良を行いました。

2) 実運用検討
1. 空間データ交換実験
本実験では,JSGIに基づいて空間データを作成し,位相情報・地物間関係等のデータ,メッシュ化された隣接図葉間のデータ及び更新データ等,幾つかの場面を想定し,空間データの交換が可能であるかの検証を行いました。

2. 空間データ作成・検証実験/品質評価実験
本実験では,製品仕様書作成マニュアルに基づいて,製品仕様書を作成し,その製品仕様書をもとに,実際に空間データの作成を行い,成果品について,製品仕様書通り作成されているか検証するとともに,品質評価の検証を行いました。

3. 運用指針・解説・入門
JSGI2.0を運用する場面を想定して利用するための運用指針,内容を深く理解するための解説,JSGI2.0を分かり易く理解するための入門をそれぞれ作成しました。


3.3.2 成果

1) JSGI2.0
第1版より,ISO/TC211の最新ドラフトに対応したJSGI2.0を作成しました。
第1版と大きく異なる点は,項目の一つであった用語を外し,新たな項目である描画法が追加され,また製品仕様書作成マニュアルより規定とすべき部分を製品仕様書としました。
なお,第1版と第2版との構成及び項目名の変更は,表2のとおり。

表2 - 第1版と第2版との比較
第1版の項目 第2版の項目
第1部 空間データ交換標準
I 空間データの構造 I 空間スキーマ
II 時間スキーマ
III 応用スキーマのための規則
II 空間データの品質 VII 品質原理
VIII 品質評価手順
III 空間参照方法 V 座標による空間参照
VI 地理識別子による空間参照
IV メタデータ IX メタデータ
V コード化 XI 符号化
VI 地物カタログ化法 IV 地物カタログ化法
―――――――― X 描画法
VII 用 語 ――――――――
第2部 空間データ交換標準活用指針 XII 製品仕様書
空間データ製品仕様書作成
 マニュアル

空間データ交換実験
本実験では,空間データの位相情報,地物間関係等の情報の他に,隣接図葉間の位相情報の維持や,更新データの交換を行うことで,空間データの交換を検証した他,応用スキーマ記述文書の作成とそのツールを開発しました。

また,数値地図25000(空間データ基盤)を利用して,他の主題データと重ね合わせるという実運用に近い形態の実験を行った他,描画カタログ及び描画仕様を実装し,描画表現方法について制御可能なことを検証しました。

3) 空間データ作成・検証実験/品質評価実験
空間データ作成・検証実験では,JSGIに従った製品仕様書の作成,空間データの作成を検証しました。
品質評価実験では,空間データ作成・検証実験で作成したデータを用いて,抜き取り検査方法として幾つかの検査方法を用いて検証を行い,品質基準や検査単位の設定方法等について課題の抽出,線状地物の位置正確度の検査方法について検証しました。

4) JSGI2.0の運用指針・解説・入門
運用指針は,製品仕様書を作成する場面,地理情報を利用する場面,JSGI2.0に準拠させる場面,JSGI2.0への改訂対応の場面をそれぞれ想定して,それらの手順及び留意点について記載しています。

解説は,地理情報の作成者等がJSGI2.0の内容を深く理解する必要がある場面を想定して,JSGI2.0を構成する各々の項目について平易な表現による解説を記載しています。

入門については,JSGI2.0を広く一般に普及することを目的として,文書とイラストの見開きによる構成とし,拾い読み可能な一問一答形式としています。

3.4 今後の課題

共同研究では,JSGI2.0の更新及び改良の他に,運用のあり方に関する検討も実施してきました。今後は,JSGI2.0に関連した技術の開発等を行い,その技術を用いた運用の手法や課題を検証し,それらを運用指針に反映して改訂する必要があります。

なお,それらの作業については,必要に応じてISO/TC211国内委員会と連携をとる必要があります。

4. 関連する取り組み

4.1 ISO/TC211の動向

JSGI2.0に該当する項目は,概ね2002年度もしくは2003年度中には国際規格化が見込まれています。また,1994年のTC211立ち上げ時の項目数は20であり,主に空間データを対象にした内容でしたが,ウェブマップサーバーインターフェイスや位置に基づくサービス等,応用システムやサービス分野に関する内容まで踏み込んだ新規項目が次々に提案されており,2002年3月時点では合計で35項目となっています。


4.2 JIS化の取り組み

地理情報標準の国内への一層の普及を図る観点から,国際標準との連携をとりながらJIS(日本工業規格)化を早急に進めていくことが重要です。地理情報標準が含まれるISO1900シリーズの項目で,国際規格となったJIS X 7105 地理情報 ― 適合性及び試験は,「地理情報JIS原案作成委員会」(委員長:伊理正夫中央大学教授)において原案作成・審議が行われ,2001年8月にJISとして制定されました。
今後,その他の項目においても,ISO/TC211において国際規格となった時点で順次JIS化されていく予定です。


4.3 JSGIの利用例

1) クリアリングハウス
国土地理院は,メタデータを同時検索できる地理情報クリアリングハウスを構築し,2001年3月より7省庁及び大学・民間等で保有するメタデータのワンストップ検索サービスを開始しています。
そのメタデータはJSGIに準拠しており,クリアリングハウスでの利用を想定した実データを識別するための最低限の要素で構成される他,必要に応じてデータ品質情報及び系譜情報も記述されています。

2) 数値地図25000(空間データ基盤)
国土地理院は,日本全国をカバーする新たな数値地図として,GISの基盤となる「数値地図25000(空間データ基盤)」の提供を2001年10月より開始しており,2002年度末までに全国のデータを提供する予定です。
そのデータは,JSGIに準拠しており,応用スキーマによるデータ設計,DTD文によるデータ記述の定義,XMLによる符号化及びメタデータの記述を行っています。

3) 大縮尺図数値地形図の仕様書記載事項と品質評価基準(案)
国土地理院は,2001年度に国土交通省公共測量作業規程大縮尺図数値地形図データ作成に係る仕様書記載事項,品質評価基準(案)について調査研究を行いました。
その内容は,JSGIに準拠した製品仕様書の記載事項について検討するとともに,JSGIに準拠した品質要素毎に品質要件を定め,類型化した地物群毎に品質基準を設定し,その品質評価方法を指定しています。

4) 都市計画GIS標準化ガイドライン(案)
建設省都市局(当時)では,都市計画で利用する各種主題データについての定義,データ型式及びコード体系等について「都市計画GISガイドライン(案)」(2000年7月)をとりまとめました。
そのガイドライン(案)は,都市計画実務の視点から,要求品質の定義やデータ項目の名称・構造・属性等につき,JSGIに準拠したカタログ及びメタデータの作成について記載されています。

5) 道路GIS
国土交通省道路局では,道路行政を効率化・高度化するための基盤の一つである道路GISの普及と推進を目的として,道路に関する共通的な情報基盤や各種関連仕様等の検討を行っています。
その内容は,様々な業務を支援するアプリケーション間で流通するデータについては,標準を明示することが重要としており,JSGIに準拠した,道路に関する地物の定義,共通的に利用可能なデータ構造を表現する方法,アプリケーション間で交換するための符号化及び基盤データ仕様等についての検討を行っています。

6) 共用空間データ調達仕様書及び基本仕様書
総務省では,地方公共団体におけるGISの普及を促進するため,統合型GISのデータ整備を目的とした「共用空間データ調達仕様書及び基本仕様書」(総務省自治行政局地域情報政策室,2001年7月)を作成しています。
その仕様書は,JSGIに準拠して作成されており,地物及びその地物毎の品質要素を定義した品質評価方法の例示,また,符号化やメタデータについても記載しています。

7) 農村振興地理情報システム整備事業における空間データ調達仕様書
農村振興地理情報システム整備事業では,学識経験者,国,県及びデータ整備事業実施主体の代表者等で構成される委員会を設置し,「平成13年度 農村振興地理情報システム整備事業 空間データ調達仕様書」を策定しました。その仕様書は,JSGIに準拠して作成されており,品質に関しては,要求品質,品質検査方法及び適合水準の記載,また,メタデータの作成及び符号化についても記載しています。

8) 下水道台帳管理システム標準仕様(案)・導入の手引き
(社)日本下水道協会は,1994年に作成された「標準仕様(案)」の改訂版として,2001年度に「下水道台帳管理システム標準仕様(案)・導入の手引き-改定」を作成しました。
この仕様(案)は,国際標準であるISO/TC211に準拠した内容となっており,UMLクラス図による下水道施設の定義や,JSGIに準拠した品質要素における品質要求の提示,地理識別子による空間参照を可能にする地名辞典及びメタデータの作成についても記載されています。


図5 - 共同研究の体制

図5 - 共同研究の体制


表3-共同研究の参加企業リスト

企業名
 朝日航洋(株)
 アジア航測(株)
 (株)インテージ
 (株)インフォマティクス
 (株)ウエスコ
 (株)NTTデータ
 (株)オオバ
 (株)かんこう
 (株)きもと
 国際航業(株)
 (株)サンワコン
 (株)ジェクト
 (株)ジェック
 (株)昭文社
 昭和(株)
 (株)ゼンリン
 大成ジオテック(株)
 玉野総合コンサルタント(株)
 中央コンサルタンツ(株)
 東京ガス(株)
 (株)東京地図研究社
 (株)ドーン
 内外エンジニアリング(株)
 中日本航空(株)
 (株)中庭測量コンサルタント
 (株)日測
 日本アイ・ビー・エム(株)
 日本工営(株)
 日本コンピュータグラフィック(株)
 日本ユニシス(株)
 (株)ニュージェック
 (株)パスコ
 (株)八州
 富士通(株)
 復建調査設計(株)
 北海道地図(株)
 (株)みちのく計画
 三井造船システム技研(株)

 (平成14年3月11日現在 : 五十音順・敬称略)

 

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