GISアクションプログラム2002-2005について

概要

~GISにより豊かな国民生活を実現するための行動計画~

1.新たなGIS計画の必要性

(1)政府においては、1995年に「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議」を設置し、GISの利用を支える地理情報(地図データ、統計情報等)の整備と相互利用の環境づくり等に計画的に取り組み、一定の成果を上げて来たところである。


(2)今後とも、その取り組みを更に進める必要があるが、その際、整備された基盤環境を利用して、行政、産業、国民生活の各分野で、GISを活用した効率的で質の高い活動を実現させるという新たな展開を図ることが極めて重要である。


(3)また、「e-Japan重点計画」を具体化し、行政の情報化を通じた公共サービスの質の向上や新しいビジネスモデルの創造等を通じて豊かな国民生活を実現するには、GISはこれまでにも増して重要な役割を担うものと考えられる。現に、近年、GISは、カーナビゲーションや様々な位置情報サービス等一般国民にも身近なサービスにその利用範囲が拡大しており、IT社会の中で重要な一角を占めつつある。


(4)このため、2001年度末をもって計画期間を終了する現行の諸計画に代わるものとして、2002年度以降を計画期間とする政府の新たな計画を作成し、GISの整備・普及をより確かなものとする必要がある。


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2.計画の目標等

(1)計画期間


平成14~17年度(2002~2005年度)の4年計画


(2)目指すべき姿


多くの者がより簡便に優れたGISコンテンツを利活用し、その結果、IT社会実現時に、


1)様々な行政分野において効率化・迅速化、公共サービスの質の向上


2)産業分野における新しいビジネスモデルの創造、新規雇用の形成


3)国民生活全般における安価で質の高い各種サービスの享受


などが可能となることを目指す。


(3)政府の果たすべき役割


第1に、GISを利用する基盤環境を整備(政府が保有する国土空間データ基盤の整備と流通の促進、GISの普及支援)



第2に政府自らがGISの基盤環境を活用


(4)計画の目標


目標1:GISを利用する基盤環境を概成


目標2:政府の各分野においてGISを有効に活用し、行政の効率化と質の高い行政サービスを実現


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第1部の考え方を基本に、「e-Japan重点計画」との整合性、計画の目標との整合性、施策間の重複排除等の観点から施策を選定し、これらの施策を本計画が目指すべき姿を実現する上で極めて重要なものとして、今後の財政状況を勘案しつつ、優先的に実施するものとする。その主なものは、次のとおりである。

 

1.国土空間データ基盤に関する標準化と政府の率先使用による行政の効率化の推進

 

GISの整備・普及を促進するには、異なる主体により整備された空間データの相互利活用が容易に行える環境整備が必要である。

 

このため、すでに開発を進めている「地理情報標準」(データの交換方法等に関する標準)及び「G-XML」(インターネット上で地理情報を相互流通させるためのプロトコル)について、それぞれ国際標準との整合を図るためのJIS化、国際規格化提案等の措置を講じ、政府はこれらを率先使用する。

 

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2.地理情報の電子化・流通を促進する観点からの制度・ガイドラインの整備

 

地理情報の電子化・流通を促進するため、空間データ基盤項目を含む地図等(GISの普及を図る上で重要な19種類の地図等)について、2002年度中に電子地図に対応した制度及び運用となるよう対応方針を定め、原則として、2003年度から具体的な施策を講じる。

 

また、空間データ基盤項目を含む地図等の電子データによる納品に係る実態調査を行い、2003年度から電子納品を実現するための具体的な施策を講じる。

 

地理情報の流通を促進するためには、その情報を利用するに当たっての条件、制約等が明確でなければならない。このため、政府が提供する地理情報の著作権、2次利用に係る条件等について、2002年度中に、地理情報の提供方法に係るガイドラインとしてとりまとめ、地方公共団体も含め広く周知する。

 

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3.地理情報の電子化と提供の推進

 

(1)空間データ基盤の電子化・提供の推進

 

1)数値地図2500、数値地図25000、街区レベル位置参照情報の3種類の地理情報により、空間データ基盤項目の多くが網羅されること、及び、これらは各種地理情報の中でも多くの主体が利活用することから、今後は、これらを地理情報の中でも中核となるものとして位置づけ、年1回の更新など定期的に更新し、広く提供する。

 

また、整備地域、項目、精度等の面で上記3種類の地理情報では網羅していないものについては、引き続き、整備スケジュールを定めて電子化する。

 

2)2002年度末までに数値地図25000を、2005年度末までに20万分の1等の小縮尺の電子地図をインターネットにより提供する。また、水深データ、海岸線データ、詳細海底地形データ等については、2002年度からCD-ROM等で提供し、インターネット提供についても検討を進める。

 

また、数値地図2500、数値地図25000、国土数値情報については、2003年度から、一般利用者がインターネット上で手軽に閲覧等できるようにする。

 

3)地理情報の効率的な整備を進めるには、民間データについて適切な品質を備えたものは行政でも幅広く容易に活用できる環境を早期に整備することが重要である。

 

このため、地図データの品質を容易かつ効率的に評価できる「品質評価表」を民間との協力の下、2002年度早期に作成し、その普及を図る。数値地図2500、数値地図25000、森林基本図については2002年度中に、その他の空間データ基盤を含む地図等については2003年度中に品質を明示する。

 

また、政府、地方公共団体の業務で民間データを活用する際の契約形態等について、民間とも協力しつつ2002年度中に調査、検討し、2003年度早期に成案を得て広く周知する。

 

(2)基本空間データ、デジタル画像の電子化・提供の推進

 

国土交通省が保有する空中写真の電子化を進め、2002年度よりインターネットで提供する。また、ハザードマップや環境対策等の基礎となる土地条件図、地質図、活構造等の地理情報を2005年度末までに数値情報として整備し、順次インターネットで提供する等、基本空間データ及びデジタル画像の電子化、提供を推進する。

 

(3)クリアリングハウスの拡充等流通環境の整備

 

2003年度までには、政府が保有する国土空間データ基盤について、原則として、地理情報クリアリングハウスに登録されるよう努めるとともに、地方公共団体、大学等のクリアリングハウスとの接続に向けての取組や検索機能の向上を進め、より多くの情報をより容易に検索できるようにする。

 

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4.GISの本格的な普及支援

 

(1)地方公共団体との協力、地域への支援

 

GISの本格的な普及を図るためには、地理情報の多くを保有する地方公共団体の取り組みが極めて重要になる。このため、地方公共団体への統合型GIS(部局横断的なGIS)の普及を図るため、2002年度に統合型GISの運用に関する指針を策定するなど、積極的な普及施策を展開する。

 

また、2003年度までに、全国で数件程度のGISに係る推進体制が整備され、各地域でデータの整備等が自立的に進められることを目標に指導・助言、技術支援等を実施する。

 

(2)GISを基本とした新たなサービス・産業の創出及び関連技術との連携等

 

GISとその関連技術の連携等による様々な新しいサービスの創造等が期待されることから、GPSや3次元GIS等に関連する技術の開発を推進する。特に、高精度な位置情報の提供のため、2002年度までに電子基準点のデータを常時収集・解析・配信するシステムを構築し、2003年度以降、全国の電子基準点(1,200点)についてリアルタイム化を進める。

 

また、GISを基本とした新たなサービス・産業の創出のため、2002年度から、GISに係る民間動向を定期的に把握するとともに、制度的課題が生じた場合には、必要に応じ、課題解決のための検討を実施する。特に、G-XMLに準拠したGISコンテンツ流通促進に向けた諸課題については、2002年度中に検討体制を整え、必要な検討を進める。

 

(3)GISの普及活動の充実と国際協力の推進

 

GISの整備・普及に係る政府の取り組み等について幅広く広報するため、2002年度からインターネット上に政府のGIS施策等に係る総合的なポータルサイトの開設や関係府省が連携した定期的なセミナーの開催等積極的な普及施策の展開を図る。

 

また、国際間での基盤的なデータ整備等様々な取り組みについて国際協力を推進する。

 

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5.GISを活用した行政の効率化、質の高い行政サービスの実現

 

(1)電子申請・届出等に係る取り組みとの連携

 

申請・届出等における添付地図についてGISの整備・普及の推進の観点から横断的に検討すべき事項(空間データ基盤項目を含む地図等の形式など)について検討し、2002年度早期に結論を得る。

 

また、GISを利用したより効率的な申請・届出等の在り方について、技術的な課題及びその適用分野について検討し、2003年度中に結論を得る。

 

(2)GISを用いた質の高い行政サービスの実現

 

防災、まちづくり、交通、環境、教育等の各行政分野において、GISを活用し、行政の効率化、迅速化及び質の高い行政サービスを実現する。

 
  • 人工衛星画像等を活用した被害把握システム等を2003年度までに整備
 
  • 交通事故関連情報のオンライン提供システムを2002年度に拡充
 
  • 消防広域応援活動支援システムを2005年度を目標に全都道府県、消防本部に導入
 
  • 2005年度を目標に整備している教育情報ナショナルセンターにおいて、GISを活用した 教育・学習を振興
 
  • 2005年度を目標に水文、水質、河川環境情報などのGIS化とインターネット提供等
 

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6.その他計画のフォローアップ等

 

毎年度、進捗状況を調査。必要に応じて施策を修正、追加し、これらの結果は公表する。

 

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